「月刊 流通雑感」NO.177、2019年 6月号
《目次》
1、社会・消費者動向
(1)消費より貯蓄へ向う傾向
(2)クリーンイーティング
2、小売業・卸売業の動向
(1)イオン岡田社長インタビュー
(2)セブン、販売期限が迫った商品の購入にポイント導入
(3)ローソンスタッフ
(4)好調のドラッグ、決算が出揃う
(5)二分の一ルールへ
(6)アマゾンとライフが協業
3、メーカーのチャネル戦略
(1)セイバンのチャネル戦略
(2)誰でもがトイレタリー用品やメイクアップ化粧品のブランドを立ち上げれる時代に
4、その他
(1)キーエンス、高収益の秘密
(2)ライザップ、赤字193億円
最近の報道を読んでいますと、相変わらず「みんなで渡れば怖くない」方式が多いように思います。小売業の仕入れの「三分の一ルール」から「二分の一ルール」への変更。コンビニの24時間営業の見直し。
企業によって、方針や戦略は異なっていいのですが、なんだかいつも同じことをしたがるのが日本式なのでしょうか?
だからイギリスのオカドのような受注した生鮮食品をロボットが箱詰めする徹底した自動化した物流が強味のネットスーパーのような小売企業は出現しそうにありませんね。そのオカドをいち早く買収したアメリカのクローガーのようなセンスもないようです。
個性的な企業がもっと多く出現すると楽しいのにな~と思います。
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社会・消費者動向
(1)消費より貯蓄へ向う傾向
家計調査の1~3月の結果が出ました。2人以上世帯での月平均の消費支出は29万2284円で前年同期比1.9%増加でした。しかし、消費が活発になってきているとはいえないようです。2018年度の黒字率「可処分所得から消費を差し引いた値/可処分所得」は30.8%なのです。お金は、消費の代わりに貯蓄に回っているようです。将来に対する懸念(年金・医療費など)が強いようです。そのため、消費も保守的な傾向になっているように思います。
(2)クリーンイーティング
アメリカの若者中心に「クリーンイーティング」という表現が支持されてきているようです。クリーンイーティングは、ヘルシーな食生活の総称なのですが、このクリーンイーティングが生活の質を改善するかと思うかという質問に対して、非常に改善すると答えた人の割合が、18~24歳(55%)、25~34歳(42%)、35~54歳(26%)、55歳以上(26%)という調査結果があるそうです。
若者ほど、サステナブルやエコに対する意識が高く、アメリカでオーガニックが流行しているのも若者の影響が大きいようです。プラステック容器を使わないとか、農薬を使わない自然食品を好むとか、自然・緑を大切にして、無理をしない生活を好むように感じでしょうか。
彼らは、洋服についても「過フッ素化科学物資や難燃剤を使わない」ものを好むようになるのかもしれません。クリーンビューティも重視されています。そのために、オネストカンパニーのオネストビューティが売れています。
クリーンイーティングとクリーンビューティがこれからキーワードになっていくのでしょうか?
2、小売業・卸売業の動向
(1)イオン岡田社長インタビュー
イオンの岡田社長のインタビュー記事が、日経の5月19日号の2面に掲載されていました。
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イノベーションについて・・・「イオンにとってのデジタルの中核拠点を中国に置く」「日本でやってもらちがあかない。世界で最もイノベーションが起こっているところにいないとだめだ」
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未来の消費について・・・「流れは反・巨大ブランドだろう。今はスタートアップ企業の小さなブランドが、すごく短期間にシェアを取る。ネットでどんどん拡散して、小売店を通じなくても売れるので、あっという間に伸びる」
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未来の小売業について・・・「みんなが同じものを売っている限りアマゾンに勝てない。絶対に独自の商品が必要だ。商品製造からお客に送り届ける物流までを含めた製造小売にならないと生き残れない」
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いずれもとても参考になります。②については、この流通雑感の今月号の3の(2)でも取り上げています。時代が変わったといわざるを得ません。③の意見を聞くと、小売業の業態論というのは今後意味を持つのかという疑問がわいてきます。今後は、小売業も独自商品の開発競争になっていくのでしょうか。
(2)セブン、販売期限が迫った商品の購入にポイント導入
イオンの岡田社長は、日経のインタビューで、「当時、加盟店は大変儲かったのだが、40年が経過し、事業モデルが時代にそぐわなくなった。加盟店にはもっと自主的な判断で経営する権利があるはずだ」とおっしゃっています。本部だけが大儲けで、加盟店が売上高低迷・コストアップで苦しんでいるのはおかしなことです。
セブンイレブンは、今秋から全店で、販売期限まで4~5時間に迫った弁当やおにぎり、麺類などの購入客に対して、電子マネー「nanaco」のポイントを還元します。その費用は本部が負担します。現在、セブンイレブンでは、商品廃棄については、廃棄に伴う損失の85%を加盟店が負担し、本部が15%負担しています。本部が、ポイントを付けることによって、廃棄が少なくなれば、加盟店にとってもメリットがあります。
ローソンは、5月17日、ポイント還元の実験を愛媛県と沖縄県の全店約450店出始めると発表しました。目印の付いた商品を夕方以降に購入すれば、「dポイント」「ポンタポイント」に税抜き5%の還元をするそうです。
どちらも加盟店にとっては、メリットのあることです。
(3)ローソンスタッフ
ローソンスタッフは、新潟市に本社があります。ローソンの各店舗に店員を派遣する会社です。外国人には30時間の研修を実施しています。ベトナムと韓国に研修施設を作り、留学予定者に接客などの基本動作を教えています。
ローソンの新型レジには、誤った操作をすると中国語やネパール語など4カ国語で注意画面が出ます。そのようにハードでも外国人を支えています。
充実した研修に加え、客層もニーズも多様なコンビニの接客が「日本語の生きた勉強」になるという側面もあって、飲食店のアルバイトにくらべ人気です。
私の自宅の近所にあるローソンにも外国人スタッフがいますが、日本人のアルバイトよりも働き者で好感が持てます。その陰で、ローソンスタッフさんが頑張っているのですね。
(4)好調のドラッグ、決算が出揃う
好調のドラッグ業界の決算が出揃いました。2019年3月期実績は以下の通りです。
1位:ウエルシアHD 売上高7791億円 営業利益額290億円
2位:サンドラッグ 売上高5880億円 営業利益額352億円
3位:マツモトキヨシHD 売上高5759億円 営業利益額360億円
4位:スギHD 売上高4884億円 営業利益額258億円
5位:ココカラファイン 売上高4005億円 営業利益額129億円
これをみるとウエルシアの営業利益額が少ないのはなぜなのかと疑問に思います。売上高営業利益率は、ウエルシアHD(3.7%)、サンドラッグ(6.0%)、マツモトキヨシHD(6.2%)、スギHD(5.3%)、ココカラファイン(3.2%)、となっています。マツモトキヨシやサンドラッグが売上高営業利益率が高くなっています。マツモトキヨシは、PBの売上高が1割と高いそうなのでそれが寄与しているのでしょうか。各社の商品別売上高構成比などを比較する必要がありますね。