「月刊 流通雑感」NO.178、2019年 7月号
《目次》
1,社会・消費者動向
(1)日本の若者、留学希望少ない
(2)SNSでの自殺相談2万件超える
(3)ビーガン
2、小売業・卸売業の動向
(1)ココカラは、マツモトキヨシと組むのか?スギHDと組むのか?
(2)ツルハHDがドラッグ首位に
(3)ローソン、加盟店向け相談窓口を7月に新設予定
(4)コンビニをめぐる問題
(5)衣料品、53%売れ残り
(6)第3回スーパー総選挙
(7)丸井3.0
(8)ベーシック・マーケット
(9)西友、再上場目指す
(10)日本の小売業売上高トップ10(2018年度)
3、メーカーのチャネル戦略
(1)食品もスタートアップ企業増える
(2)コンタクトレンズ・メーカー:独禁法違反か?
(3)令和の時代のアイドルは、いつでもどこでも検索できる
4、その他
(1)2019年上期ヒット商品番付
7月に入りました。
梅雨の時期が続き、体調維持が難しい時期ですね。
ところで、先日のG20でのプレスセンターの充実、日本の文化とおもてなしの演出は素晴らしかったですね。来年のオリンピックに向けて、各国の報道機関は日本の素晴らしさを報道してくれたものと思います。
政治的にはどうだったのかわかりませんが、日本の広報は大成功だったと思います。
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社会・消費者動向
(1)日本の若者、留学希望少ない
内閣府が、昨年の11月~12月、日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7カ国の13歳~29歳の男女を対象にネット調査をしました。
短期を含む留学希望は、韓国65.7%、アメリカ65.4%が1位、2位で日本は32.3%で最下位でした。
また、外国に住みたいという希望も日本は19.4%と最下位でした。
日本が清潔で、安全で住みやすいという意味があるのかもしれませんが、その一方でグローバル化時代としては内向き過ぎるという見解もあるように思います。この傾向は、定着していますね。
(2)SNSでの自殺相談2万件超える
厚生労働省が自殺対策として実施しているSNSの相談事業で、2018年度の相談件数が延べ2万2725件に上がったことがわかりました。
相談者は、未成年44%、20代41%でした。また、性別では女性92%、男性8%でした。10代、20代の女性が圧倒的に多いようです。
内訳は、①メンタル不調(24%:8282件)、②自殺念慮(20%:7012件)、③家族(11%:3879件)、④学校(9%:2993件)、⑤勤務(6%:2214件)でした。
18年の自殺者は前年より481人減の2万840人で、9年連続減少でした。ただ、未成年は98年以降、おおむね横ばいが続いているそうです。
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ビーガン
ビーガン、卵や乳製品など動物由来の食品を一切口にしない完全菜食主義の人の名称です。ビーガンは健康志向の人だけではありません。食肉が地球温暖化にもたらす悪影響への懸念があるのです。
国連食糧農業機関によると、人為的に排出されている温暖化ガスの14.5%が畜産業に由来するそうです。イギリスのバークレイズは最近のレポートで「(メタンガスとして排出される)牛のゲップは自動車よりも気候に打撃をもたらす」と報告しました。メタンガスの温室効果は二酸化炭素の約25倍だそうです。
健康志向のほかに、このような地球温暖化への影響を避けるために、「脱ミート」という動きが出ています。そのため、大企業も大豆と小麦を原料にしたハンバーガーを発売したり、大豆やたまねぎを使った牛肉風パテなどを販売しています。
国内では、たとえば、大塚食品が「ゼロミート」を発売しています。大豆を原料に肉を使わないハンバーグ、ソーセージタイプを発売しています。売り上げも好調だそうです。
「完全栄養食」が登場して、市場を拡大しそうですが、今度は植物性の肉代替食品が市場を拡大しそうです。
食品は、健康志向と地球温暖化への影響を避けるために大きく変わっていきそうです。
2、小売業・卸売業の動向
(1)ココカラは、マツモトキヨシと組むのか?スギHDと組むのか?
ココカラファインが人気で、マツモトキヨシHDとスギHDの両方から、経営統合を含めた提携を正式に申し込まれています。
ココカラファインは、関西と関東を中心に1354店を出店しています。マツモトキヨシは関東中心ですが1654店を展開しています。スギHDは愛知県や岐阜県中心に1190店を展開しています。
マツモトキヨシと経営統合すれば、関東と関西を充実して、マツキヨのPBもより拡販することが可能です。
スギHDと経営統合すれば、関東・関西・中部と既存店同士の競合もなく、業務を拡大できます。また、スギHDは薬剤師を約2900人抱えていますが、ココカラファインも約2100人抱えています。統合で、調剤や介護、保健指導などのノウハウを持ち寄り、強味を伸ばすことが可能になる可能性があります。また、ココカラファインが2018年から開始している薬剤師がテレビ電話でクスリを説明する「遠隔服薬指導」を拡大することも可能だと思います。
いったいどちらと経営統合するのか?とても関心をもたれています。経営統合が実現すれば、一気に業界首位にたちます。
(2)ツルハHDがドラッグ首位に
2018年度決算が出揃いました。その結果が以下の通りです。
1位:ツルハHD:7824億円
2位:ウエルシアHD:7791億円
3位:コスモス薬品:6100億円
4位:マツモトキヨシHD:5759億円
5位:スギHD:4884億円
6位:ココカラファイン:4005億円
小売業では、しばしば1兆円以上の売上高にならないと生き残れないといわれています。そういう意味では、ココカラファインがマツモトキヨシと経営統合しても、あるいはスギHDと経営統合しても、どちらでも1兆円にならないのですね。微妙な業務提携話なのかもしれません。ツルハ、ウエルシア、どちらももう少しで1兆円ですね。後、数年かかるのでしょうか?
(3)ローソン、加盟店向け相談窓口を7月に新設予定
ローソンは、7月上旬をめどに法律事務所内に加盟店向け相談窓口を設けるそうです。
また、社内にも加盟店の相談に応じる専門チームを新たに設けるそうです。「オーナーが一人で悩まないようにする」という考えはとても素晴らしいと思います。加盟店あってのフランチャイズです。加盟店が元気で、初めて社会にとっても有意なFCなのではないかと思います。
(4)コンビニをめぐる問題
コンビニを巡って報道が多くなっています。
加盟店(フランチャイジー)が儲からなくなってきているのです。
その上、人手不足もあって、24時間営業を継続するのが難しい加盟店も出てきているのに契約書に24時間営業と書いてあるので、それをまもらないといけないようです。
また、食品廃棄の問題もあります。消費期限が迫った弁当やおにぎりを値引き販売したいのですが、実際にはできないことが多く、それが加盟店のコスト増になっています。
このような諸問題に対して、大手コンビニの本部は、24時間営業をやらない場合にどのようになるのか実験をしていますとか、消費期限が迫った弁当などの購買促進のため、ポイントをつけますとか、なんだか時間稼ぎのような、批判を和らげるための行動をとっているように見えます。
そんな中、公正取引員会は、24時間営業について、本部側が見直し要請を一方的に拒否すれば「独禁法違反の可能性は排除できない」との見解を示し、今年の夏にコンビニの加盟店調査を実施する企画を考えています。その調査では、①本部は加盟店に24時間営業を不当に強制していないか、②加盟店の見直し要請を一方的に拒んでいないか、などを焦点とするようです。
このようなコンビニを巡る諸問題について、セイコーマート社長の丸谷氏は、明確な意見を表明しています。(2019年6月6日:木曜日:日経新聞)
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問題の一つ目は店舗に24時間営業のするかどうかの選択肢がないこと。
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価格の自由度がないこと。
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テリトリー権。セイコーマートは半径150メートル以内には出店しない(当初はセブンイレブンも半径500メートルには出店しないと表明していた)
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本部に払うロイヤリティの高さも問題。人件費や光熱費が高騰して、オーナーのコストは負担はどんどん高くなっている。
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本部が24時間営業にこだわる理由として、丸谷氏は明確に答えています。「売り上げだろう。店を開ければ売り上げが立ち、本部はロイヤリティが入る。本部が利益を取りすぎる構造が問題で、24時間営業の強制は良くない。」
大手のコンビニの本部の社長は、このように明確には答えず、「実験をしています」とか「オーナーの判断に任せます」と述べるのみで、上記のような問題は認識していても、本部の利益減少になることは積極的に言及しないようです。しかし、この問題は3ヶ月過ぎると消費者は忘れるというようなものではないので、今後の事業の継続性を考えて、本部と加盟店の業務分担、粗利配分をまじめに再考する必要があると思います。