クリントン VS トランプ テレビ討論会 第三回目の印象 | Ty Hassyの敢えてwokeなブログ

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2016-10-20-PresidentialDebateFinal from hsgch3 on Vimeo.

 

 日本時間の10月20日の10時からアメリカ大統領選挙の第3回目のテレビ討論が開催されました。  

 今回は、ドンピシャの平日でしかも会議と重なったために、ライブで見ることは全く不可能でした。結局、夜になってからYou Tubeの動画で見ることに成りました。

 ということで、もう既にニュースで報道されているし、今更という感が否めず、気の抜けたビールの様な投稿に成ってしまいましたが、取りあえず、そのニュースも見逃した方のために一応印象を書き残しておこうと思いました。

 最初は、それぞれが大統領になった時にどのような最高裁判所の判事をノミネートするかという質問に対して、クリントン氏は、民衆の立場に立ち、大企業や金持ちを優遇する人ではなく女性や同性愛者の人々の権利も尊重する人をノミネートするとしたのに対して、トランプ氏は妊娠中絶反対で合衆国憲法修正第2条の銃の保持の権利を尊重し憲法を本来の趣旨通りに尊重する判事をノミネートしたいとしました。

 次に司会者が銃規制についてのそれぞれの意見を聞いたところ、クリントン氏は、合衆国憲法修正第2条の銃の保持の権利を尊重するし、個人の自由を尊重するが、年間3万3千人が銃で亡くなっている現状を考えるにつけ、子供を銃の事故から守る為など、多少の制限があってしかるべきだと思うとしました。

 トランプ氏は、現実には銃規制が厳しくても銃による死者が最も多い場合もある。基本的には合衆国憲法修正第2条の銃の保持の権利はいかなる制限も受けるべきでないとししました。

 次に妊娠中絶についての両者の見解を聞いたところ、クリントン氏は基本的には女性の選択の自由が保障されるべきで、本来女性自身が選択すべき問題に政府が介入するべきではないとしたのに対して、トランプ氏は、生命は尊重されるべきで無制限に胎児の命が奪われるのを放置すべきではないとしました。

 この銃規制と妊娠中絶の問題は、これまでの大統領選挙でのお決まりの争点だったので久しぶりにその話題が出て、それぞれがお決まり通りに保守とリベラルの見解を披露したという感じでした。

 次に移民問題についての見解を聞かれ、トランプ氏はメキシコからの不法移民と麻薬の密輸によって、多くのアメリカの青少年の安全が脅かされている。これらの侵入を防ぐためにも国境に壁を作ってでも不法移民と麻薬密輸は防がなければならないとしました。

 クリントン氏は、アメリカで生まれた多くの子供たちが親が強制送還されることによって家族がバラバラにされる危機に直面している。より開かれた移民法に見直していくべきであるとしました。

 その後、クリントン氏がロシア政府がトランプ氏の当選に向けて様々な工作をしている事実を指摘し、外国政府がアメリカ大統領選挙に介入しようとすることなど前代未聞であるとしたのに対して、トランプ氏はロシアと協力関係を築けた方が良いに決まっているし、民主党政権はロシアに甘くみられており、核兵器削減でもロシアは好き放題しているのにアメリカだけ不利な立場に追い込まれているとしました。

 それに対して、クリントン氏はトランプ氏こそ日本や韓国やサウジアラビヤに核保有を勧める発言しており、核の削減どころが核の拡散を助長しているとしたのに対して、トランプ氏は皆アメリカに頼るだけでなく自分で自分の国を守るように言っているだけだし、アメリカに守って欲しかったらそれなりの金を出せと言っているだけだとしました。

 次にそれぞれの経済政策について聞かれたのに対して、クリントン氏は政府主導によるクリーンエネルギー事業の推進などによる中間層の収入と雇用機会を増加を期し、小規模事業への援助による雇用の創出と、最低賃金の底上げによる所得の増加、そして貧困層の大学の学費免除などの施策よって庶民の生活を豊かにすることを目指すが、その分の財源は大企業や富裕層に出してもらうことに成るとし、それに比べて、トランプ氏の政策は大企業や金持ちへの大幅減税をするだけなので、問題解決には繋がらないとしました。

 それに対して、トランプ氏はクリントン氏の政策は大幅増税に繋がるだけであるとし、自分は、今、日本や韓国やドイツの為に使っている軍事費をそれぞれに国に払ってもらい、NAFTAもTPPも見直して、外国に流出した雇用をアメリカ国内に戻して、アメリカに有利な内容にする。その上で、大幅減税を実施するとしました。

 クリントン氏は富裕層以外への増税はしないし、財政赤字が増えることは一切ないとし、これまで財政赤字を増やしてきたのは共和党であり、我々がその尻ぬぐいをしてきたのであるとしました。

 そして、司会者がトランプ氏に、保守的な専門家でさえ口をそろえてトランプ氏の経済政策を非現実的であるとしているがどう思うかという質問に対しては、トランプ氏は中国やインドが高度経済成長を実現しているのにアメリカの成長率は1%以下である。民主党政権によって仕事が全部外国に流出したからである。先ずそれを取り戻すことが先決であるとしました。

 それに対して、クリントン氏はトランプ氏は仕事の海外流出や貿易不均衡を問題にしているが、中国からの不正輸入は大きな問題になっているのに、トランプ氏がこのラスベガスに建てたホテルにはその中国から不正輸入された鉄骨が使われているとして、トランプ氏の言行不一致を指摘しました。

 ここまでは、これまでの1回目と2回目の討論ではあまり掘り下げられなかった政策論議が、比較的きっちりと行われたので、そういう意味では今まで討論の中では一番内容があったと思いました。

 ここから後は、それぞれの大統領としての適性についての話題になりましたが、前回同様のトランプ氏の女性に対する扱いの酷さと、クリントン氏のメール問題の繰り返しで目新しいものはありませんでした。

 今回の討論会は今ままでの中で一番まともな政策論争がされたと言えますが、いずれにしても、トランプ氏の政策が、司会者が言った通り、殆どの専門家が非現実的であるとしているように、スローガンやアジテーションの域を出ておらず、具体性に欠けるだけでなく実現可能な政策とはいえないものばかりあることが良く分かる結果となりました。

 いずれにしても、今回の討論会を見てトランプ氏を支持しようと思うようになった無党派層は殆どいないだろうという印象を受けました。