今日、オバマ大統領が戦後初めて広島を訪問します。これはアメリカの政治戦略という枠を超えたオバマ氏個人の信念に基づく行動であると思われます。恐らくこのような良心的な大統領は当分の間現れないと思われます。
そういう意味では今回のオバマ氏の広島訪問は殆どラストチャンスだったようにも思えます。
というのも、あの悪名高きトランプ氏がいよいよ本当にアメリカの大統領になってしまいそうな勢いだからです。
みんな最終的にはクリントンで決まりだと思っていましたが、どうも彼女は色んなスキャンダルを抱えているそうで、これからますます人気急落することが見込まれているということです。
トランプ氏がこれほどまでに支持を得たのは基本的には所得の格差の問題がアメリカ人全体の生活を圧迫し始めており、精神的な余裕が無くなってきた人が急激に増えたことが原因として考えられます。
本来ならば、民主党のクリントン候補の対立候補だったサンダース氏のように累進課税の強化などにより一握りの人間に集中してしまっている富の再分配を政策として実行するのが全うなやり方だったはずですが、トランプ氏はアメリカ人が経済的な苦境にあるのは、不法移民による低賃金労働力の提供によって普通のアメリカ人の失業が増えていることと、アメリカが世界の警察として他の国ために余計な軍事費を浪費しているからだとしています。そして、不法移民を追い出して、他国の為に金を使うのをやめよう!などと主張して、圧倒的な支持を得てきたという経緯があります。
要するに、今後のアメリカは一国孤立主義に徹するべきであると主張している訳です。これは、これまでのアメリカの政治戦略を根本から引っ繰り返すことを意味していますが、今や多くのアメリカ人がそれでも良いかな?と思い始めているということです。
そうなって、一番喜ぶのが、中国とロシアです。彼らの自由にはさせまいと常に歯止めをかけてきたアメリカがこれからは皆さんお好きなように!と手を引いてしまう訳ですから、これからは中国とロシアのやりたい放題の時代が来るといことです。
そして、日本はどうなるかというと、これまではアメリカの核の傘の元で表向きは平和主義的なスタンスを表明してきましたが、強い日本が大好きな安部さん以来、より積極的姿勢に方向転換し始めていました。それが、アメリカの核の傘が無くなることに成れば、安部さん以上の過激な右寄り発言が一気に勢いを増して、憲法9条を改正して軍隊をもって核武装しようという話になることは必至だと思います。
日本の急激な軍拡姿勢に対して、中国は更に高圧的で挑発的になり、極東アジアは一触即発の状態に陥ることが予想されます。
トランプ氏が大統領になると、一番混乱するのはおそらく日本だと思います。そうなった時に我々はどのように対処すべきなのかを今から真剣に考えておく必要があると思います。