昨今の新入社員は非常に厳しい環境におかれる。


我々の世代は、雑用というものが多く、その中から仕事を少しずつ学び、成長できた。


いまは、雑用がパソコンに取って替わり、派遣社員も存在する。


今の新人は、早い段階で高いレベルの仕事が求められるのである。


面倒を見てくれる先輩も少ないなか、右往左往しながら仕事の答えを出していけなくてはならない。


精神的にダメージを受けて辞めていく新人もここのところ多い。


そんな新人に一言言いたいのは、


”小さな成功体験を大事に”


先輩と比べてたらできないことだらけ。そんなことで自分を過小評価するのではなく


日々自分が成長できたことを振り返ってみる。どんなことでも良い、


その中に、自分の強みが隠されていて、将来一人前になるヒントがある。





マネージメント研修での主要テーマは、部下の指導方法である。


”状況に合わせてリーダーシップスタイルを変えましょう”、とか


”傾聴を行い、部下の主体性を向上させましょう”、さらには、


”部下の個性を把握し、それに応じて指導方法を調整しましょう”といったことが共有される。


これらのことは非常に重要なノウハウで、現場で試せば、少なからず効果が出る。



でも、私は、その前に一つ検討すべきテーマがあると思っている。


それは、自分(マネージャー)の認知の歪みを是正すること。


認知の歪みの是正は、認知行動療法で使われる。


要は、自分の思考の悪癖を認識し、それを取り除きながら物事や人を見ていきましょうというもの。


認知の歪みはいくつか種類があるのだが、部下指導で多くの場合に課題となるのが、


”すべき思考”。


これは自分で勝手に考えた基準が、常識的に当然と思う思考。


たとえば、”社会人であれば、毎日会社に行き、一社で定年まで勤め上げるのが普通だ”


”上司であれば、部下の意見を聞き入れ、動機付けしてくれて当たり前。


といった独善的な考え。


部下に対しての”すべき思考”の例は、


”部下は上司の言うことを聞いて当たり前”


”指示がなければ自分で仕事を探すのが、うちの社員だ”


といったもので、自分の経験値をもとに勝手に部下像を作り上げてしまってるケースが多い。


現実は、自分のこの基準にあてはまらない部下ばかりだから、


理不尽にレッテルを貼ったり、部下を過小評価してしまい、マネージメントに歪みが生じてくる。


上に立つものは、まずは、この自分の歪みや部下への偏狭な期待値を認識・是正し、


部下を一人の個性豊かな人間として尊重していくことから始めるべきかと思う。


これこそがマネージメント研修の出発点になるべきテーマであろう。





組織にいるとひろんな人がいる。


”あの人はどうしたあんな考え方、行動をとるのだろう。”


多くの場合、自分の常識を基準にそれを判断し、評価している。


それが、尊敬という念になる場合もあるが、だいたいが批判の対象となる。


そのネガティブな感情が、チームワークに少なからず影響を与え、無駄なエネルギーを使うことになる。


では、組織人として人のそれぞれ違う個性をどう捉えるべきか。


参考になるのが羽蟻の巣。


卵を孵化させるのに巣の温度調節が非常に重要である。


それを一定に保つために、多くの羽蟻が巣の周りにとまり、自分の羽で扇ぎながら温度調整をする。


羽蟻の温度の関する感度はまちまち。ちょっとした気温上昇で、反応して扇ぎ出す蟻もいれば


かなり気温上昇してからやっと気がついて扇ぎ出す蟻もいるらしい。


実際に温度が急上昇すると、感度の良い蟻が勢い良く扇ぎだすが、しばらくすると疲れてくる。


そうすると、感度の悪いスタミナたっぷりの蟻が扇ぎだす。その感度の違いによって、


巣は一定且つ継続的に温度を保つことを実現しているらしい。


人間の個性もそう捉えるべき。


自分のフィルターではなく、組織が存続するために苦手な相手の個性はどう役立っているのか


一度考え直してみるべきだと思う。


常に改革を反対し、保守的な人に対して、”あいつはいつもネガティブばかりなことを言う”


愚痴るのではなく、もしかして、改革をする上では必要な検討事項を言っているのかもしれないと考える。


ロジックが苦手な人は概して感覚的。あいつは馬鹿だと蔑むのではなく、その感性を一度虚心坦懐に


受け入れてみてはどうか。


すぐに切れる上司に憤りを感じるのは当然だが、もしかしたら他の場面で組織の推進力になっているかも


しれない。


一度自分の認知の傾向をはずして考えると、違った形の連携の姿が見えてくるかもしれない。




感度の良い蟻が、悪い蟻を巣から蹴落としていたら、巣は存続しないだろう。















コンサルティングをやっている中で、お客様からよく相談される項目として


”人脈を広げたいのですがどうしたら良いですか?”


というものがある。


組織内でのネットワークは持っているけど、社外のネットワークがなかなか広がらない。


異業種交流会、勉強会に行っても、その場限りの名刺交換で終わってしまう。という悩み。


そもそも何で人脈を広げたいのだろう。


おそらく広げることで、様々な人の知恵や情報を吸収し、自分の仕事に役立たせ、


より質の高いアウトプットを出すためなのだろう。


相手から価値をもらうためには、当然自分の相手に価値を提供できる存在である必要がある。


つまり社会人の人脈はお互いが価値を交換できる関係性を作ることにある。


相手に役立つ情報や知識を提供できてはじめて相手も情報を提供してくる。


外部の交流会に積極的に参加するフットワークも大切だが、


自分が外部の関係者に情報提供できるナレッジを持っているかどうか確認してみることがから始める


べきであろう。


内向的で暗い人間でも、自分なりのエッジを持っている人は、自然と周りが寄ってくる。





”戦略は組織に従う”イゴールアンゾフの言葉。


私もこの考えに大賛成。コンサルテーションの場面では常にこのスタンスで話を進める。


もっと言えば、戦略は組織と人的リソースに従う。


保守的な人が集まっている組織では、革新的なビジョンを立てるのではなく、


現状の戦略の良い部分を認め、それを深化させていくべきかと。


個人指導の場面でも同じ。


その人の持っている強み、つまりリソースをとにかく引き出し、確認していく。


そして、それを現場で実践してもらい自分のビジョンを実現してもらう。


こういったアプローチで仕事ができたときに、こちら側もやってて良かったと思う。