人材紹介ガイド -3ページ目

人材紹介・バブル崩壊

リーマンショックに端を発する世界同時不況の始まりを浮け、求人マーケットは一気に縮小しました。それに伴い、人材紹介業全体の売上高はピーク時の半分程度まで落ち込んで行きました。人材紹介会社を取り巻く環境はバブル時期と百八十度変わり、これまで採ってきた経営戦略がすべて裏目となってしまう結果となりました。時流に乗って一気に拡大をした紹介会社ほど、大きな打撃を受けて、いち早く経営難へと陥ったのです。
若者受け狙ったカジュアルな就労環境や人事制度は重い固定費用となって経営に響くことになりました。そして、量的拡大を狙って大量採用をした明るい体力のある若手社員そのものが、分業制による質の低いシステムマッチングしか行えず、不景気の中で売り上げを上げるのに必要な資質を持っていないことから、その赤字人材に対する人件費が経営を抜き差しならぬところまで圧迫しだしたのです。
人材紹介の社員も経営も、既にある需要に対して応えるだけの営業・経営を行ってきた結果、経営の本質である顧客の創造ができない体質となってしまったのです。
不景気時期になると、潜在需要を顕在化させる顧客の創造ができない企業はジリ貧となるばかりです。拡大路線を採ってシステム化と分業化を進めてルーティンワーク(作業)を行わせていた社員が、いきなり変化するのは不可能であり、各社が大量のリストラに踏み切ることになりました。そしてオフィスや支店も費用のやすいところに集約し、一気に若者にとって受けのよくない業界となったのです。それまで新卒の就職活動で人気業界であった人材ビジネスは今年のランキングでは不動産業界に次ぐワーストとなっていました。カジュアルな部分で会社とつながっている社員は会社がそのカジュアルさを無くした途端にモチベーションを落とし、リストラを行った後も復活の糸口を見つけられずに経営難が経営危機へと発展しつつある紹介会社もチラホラと見ます。また、派遣や求人広告においては紹介業よりも大きなダメージを受けており、紹介業以外も行う総合人材サービス企業は紹介業のダメージだけではない何重もの打撃を食らうことになったのです。
さあ、経営の本質、仕事の本質が問われる時代が到来しました。バブルで歪んでしまった人材紹介会社が真の姿へと軌道修正できるチャンスです。変化に適応できない企業が淘汰され、次の時代を作るリーディングカンパニーが生まれてくるでしょう。

人材紹介・バブル

2002年から2007年の間、人材紹介のマーケットは好景気に伴う企業の採用ニーズの高まりにより、急激に拡大していきました。本来はそれまで中途採用の市場において主流であった「求人広告」で扱われるべき若手大量採用のシェアも獲得していったのです。背景には求人数の増加による売り手市場がありました。企業としては求人広告を出して待っていても、他にターゲットを持っていかれる恐れがあるため、人材紹介会社を使って求職者への積極的な声掛けとグリップを行おうとしたのです。となると、人材紹介会社に求められるのは、量的行動でした。それが売り上げにも直接的につながったのです。各人材紹介会社は体力があってフットワークの軽い、明るく人と接することのできる兵隊を新卒採用で大量に仕入れに掛かりました。裏側には体力に限界を感じた社員がボロボロになってつぶれていく高離職率もありましたが、それを凌駕するほどの採用数を誇ったのです。そういったカジュアルな若手に応募してもらい、会社に魅力を感じてもらうため、若者受けをする会社制度を整えていったのです。若者が好きそうな福利厚生や人事制度、若者が好きそうな就労環境、若者が好きそうなお洒落なオフィス、若者が好きそうな広告ブランディング。人材紹介会社は自社の社員と顧客である求職者双方のターゲットが若者であったため、カジュアル経営をすすめていく結果を生み出してしまったのです。
また、求人はいくらでも獲得できたため、営業の重点は求職者の確保とグリップでした。転職市場をカジュアルな広告であおることにより求職者を自社への登録につなげ、完全分業化を行ってシーエーを増強することにより、大量の若手を転職へとつなげてきたのです。
人材紹介会社の大規模化と分業化はアナログでの紹介業務遂行に限界をきたし、システムの必要性を高める結果となりました。しかしながらシステムでのマッチングにも限界があり、人材紹介のマッチングの質は低下しました。システムを必ず使わなければいけないことの負荷、アナログでのフォローの必要性が不可避であることが重なり、労働時間はハードなものとなる一方でした。それでも、高景気時は質を量でカバーできていたのでよかったのです。各社共に拡大路線を取り、土地神話ならぬ紹介神話が横行したまさにバブルだったと言えるでしょう。

人材紹介・トップテン

昨日の続きです。
矢野経済研究所調べ、2007年度、人材紹介業売上高ランキングです。

四位 テンプスタッフ
五位 パソナグループ
六位 リクルートスタッフィング
七位 キャプラン
八位 ヒューマンリソシア
九位 日本MSセンター
十位 テクノブレーン

四位から六位、そして八位の会社は人材紹介よりも人材派遣が有名です。六位のリクルートスタッフィングは完全に派遣会社なのですが、なぜ紹介業の売上高があるのかというと、紹介予定派遣という仕組みがあるからです。一定期間は派遣社員として働いてもらい、お互いに気に入ったら正社員雇用をしてもらうという制度です。その切り替えの際に、紹介料を課金しているわけですね。なので、純粋な紹介業の売上としてカウントしないのであれば、パソナを除き、ランキングから外してもよいかもしれません。パソナグループにはパソナキャリアという紹介専門の会社があり、ここは売り上げ的にも四番手につけていると言われています。
続くキャプランは伊藤忠商事系の紹介会社で、上位四社と同様に、広い職種を扱う総合型の紹介会社です。ここからは僅差で並びますが、特化型の紹介会社二社が他の有名な総合型を押さえてトップテンにランクインしています。
日本MSセンターは老舗の特化型であり、一般企業の管理部門(経理財務・人事総務・法務・経営企画)、および会計事務所・監査法人・法律事務所に特化しています。昨年の景気変動の中でも高収益を叩きだしているという話は業界内で話題となっており、その経営戦略に注目が集まっています。もともと若手ポテンシャル大量採用といった人材紹介バブルとは関係の無い領域で堅実に実績を積み上げてきたということで、ハブルが弾けても総合型ほどは影響を受けなかったのかも知れません。総合型紹介会社の中にはMSセンターを真似しようと社内の管理部門専門部隊を増強している話をあちらこちらで聞きますが、どうやら特殊な領域の為、ノウハウ不足であまりうまくいっている話を聞きません。
十位にランクインしたテクノブレーンは、ITに特化しており、このランキング年度では荒稼ぎをしたものの、リーマンショック後のランキングではどこに位置付けるのか、IT業界の動向とも密接に関わってくると思われるので楽観視はできません。
しかしながら、今後はこのような特化型の中規模紹介会社が、独自のノウハウをもとに質の高いコーディネートでシェアを奪っていくことが予想されます。
ランク外ではありますが、上場しているエスエムエス、そしてキャリアブレインなんかは、医療や介護に特化しており、不景気の波を全く受けずに成長を続けています。2008年度のランキングでは、準大手・中堅総合型が売り上げをごっそり落として順位を落とし、反対に特化型でその領域のナンバーワン・オンリーワン企業が不景気時期に必須となるその提案力を活かして順位を上げてくるでしょう。トップ以外の総合型が非常に厳しい経営難に陥っていることを考えると、これまでの総合型同士の争いではなく、リクルートエージェント対特化型エージェントといった構図がこれからの業界地図となっていくのかも知れません。