とりあえず一品300円の格安居酒屋に入った。
奴はスーパードライを扱っていないことに、ぶつぶつ文句を言っていた。私の地元の地ビールをけなしたのには腹が立つ。
店内は冷房が効き過ぎている。
男どもは快適らしい。
なんでそんなに冷房が好きなのか?という私の問いに対し、口を揃えて「暑いから」と言う。
それから酒が入ってきたこともあり、昼間と違って奴は饒舌となり、男の新陳代謝、女性の離職理由の一つとして男性が冷房の管理をしていることなどについて語り始めた。
ところどころいいタイミングで和馬がつっこむ。
サラダのおかわりをとりわけてあげようとしたら、和馬は進んで皿を渡してくれた。奴はいらない。の一言だけ。
和馬は感謝の気持ちをいつも丁寧に表現する。
それに対し奴は、「このダメジョ」
何に対する苛立ちかはわからなかった。
素直に謝る。
そしたら笑いだす。
和馬は黙々とレタスを口に運ぶ。360度の視野があるうさぎのように。
「こんなに24歳を感じさせない女はいないよね。」
〈いい意味で?悪い意味で?え?〉
「確かに」
レタスを食べるのを中断した和馬が言う。
そのあと奴に、幼稚園児、クソガキなどと幾度も罵倒された。
それは私に甘えているから言えるのでは?とも考えていたが自信が無かった。
和馬に私が幼稚である理由を聞こうとしたら、奴が口を挟んで、すべてだ、などのように理由にならない理由を言う。
聞く気も失せる。
話題は男独特の風俗やAVに移った。
女子同士では絶対に出ない話題なので、とても新鮮だった。
それで終わらないのが奴らのおもしろいところで、社会の中のそれらの立ち位置を洞察し、風俗やAVが性犯罪の抑制に寄与していると結論を述べていた。
やがて飲む前に買ったタバコは皆そこをつき、取り皿大の大きさの灰皿はあふれかえっていた。
今さらになって店員がおそるおそる灰皿を交換しに来た。
デザートのパフェが甘すぎたこともあり、さらに私たちはハイボールを飲んで、お開きとなった。
奴らは先に着いたらしい。セブンイレブン前の喫煙所にいるとのこと。
先輩を二人待たしている、というのが恐縮だった。
まして自分から誘っておいて。
駅から若干の下り坂。
日はまだ落ちていない。
蒸し暑いこの盆地は夕方になってもなお空気がよどんでいる。
故郷の高台のすがすがしい空気が恋しくなった。
「おせーぞ、アホ」
奴は灰皿の横にしゃがんでアメスピをふかす。
目つきが鋭い。不機嫌な表情をする。
極めつけは和馬。ちゃんとベンチには座っているが、どう見ても出勤前の黒服を統括するマネージャーだ。この二人が合わさると、どっから見ても私たちは危ないオーラを醸し出している。
通行人の視線が痛いが動じない。
どこの店で飲むかは決めていなかったから、繁華街をぶらぶらする。
道行く女性の一人一人を賛辞する奴。
ここは男のノリだから、同調する。
たまに和馬もからむ。
松雪泰子が好きらしい。柴咲コウでもいいらしい。彼はそれ 以外は語らなかった。
奴はすれ違った巨乳の女性を褒めたたえる。
曰く巨乳か貧乳、極端じゃないと嫌らしい。
初めて抱き合ったときに言っていた。
このつまらない身体に対し、きれいなおっぱい、と。あれは嘘だったのだろう。きれいな女性はたくさんいる。
目移りしたって当たり前。ただ、私じゃ満足してくれないんだ。そんな思いが募るばかりで、私の脳裏には、常に沙那さんがいる。
先輩を二人待たしている、というのが恐縮だった。
まして自分から誘っておいて。
駅から若干の下り坂。
日はまだ落ちていない。
蒸し暑いこの盆地は夕方になってもなお空気がよどんでいる。
故郷の高台のすがすがしい空気が恋しくなった。
「おせーぞ、アホ」
奴は灰皿の横にしゃがんでアメスピをふかす。
目つきが鋭い。不機嫌な表情をする。
極めつけは和馬。ちゃんとベンチには座っているが、どう見ても出勤前の黒服を統括するマネージャーだ。この二人が合わさると、どっから見ても私たちは危ないオーラを醸し出している。
通行人の視線が痛いが動じない。
どこの店で飲むかは決めていなかったから、繁華街をぶらぶらする。
道行く女性の一人一人を賛辞する奴。
ここは男のノリだから、同調する。
たまに和馬もからむ。
松雪泰子が好きらしい。柴咲コウでもいいらしい。彼はそれ 以外は語らなかった。
奴はすれ違った巨乳の女性を褒めたたえる。
曰く巨乳か貧乳、極端じゃないと嫌らしい。
初めて抱き合ったときに言っていた。
このつまらない身体に対し、きれいなおっぱい、と。あれは嘘だったのだろう。きれいな女性はたくさんいる。
目移りしたって当たり前。ただ、私じゃ満足してくれないんだ。そんな思いが募るばかりで、私の脳裏には、常に沙那さんがいる。
ものすごくそれからダラダラした。
目を合わせてくれなくなった奴に、寂しくしている私。
それを察したのか和馬が私の話相手をしてくれる。
艶のあるアッシュの髪をいつもしっかりワックスで逆立てている。
長身で細い体、ロック系のファッションと見事にマッチしている。
実年齢よりかなり大人の雰囲気を醸し出しているが、さらりとしたきれいな肌は彼が若いことを物語っている。
和馬がふざけて私のサングラスをかける。
フレームはブラウンを基調としたヒョウ柄。
そしてしゃがんだ状態でタバコを吹かす。
一端の夜の帝王である。
しかし本性は、マルモを見て一人号泣するような男の子である。
奴がアクセルで、和馬がブレーキ
そんな関係だろうか。
いや、もっと深くでつながっている。精密機械の歯車のように。
夕方まで大学内のあちこちでダラダラし、それから演劇サークル主催のお笑いライブを見に行った後、コンビニの前でたむろしていた。
「あ~なんまビール飲みたい」
「飲めし」
コンビニの方を指さし奴が言う。
和馬はアリを指に乗せて遊んでいる。
「一人で飲みたくないもん、和馬さん飲みにいくべー」
「うん、俺は別にいいよ」
立ち上がりその辺をふらふら歩き回る。大人っぽい表情から想像つかないが、少し不思議ちゃん、しかし誰よりも空気読み。
奴は何度か私を罵倒したのち、「仕方ねーなー」と言いながら、19時に駅前で集合ということになった。
沙那さんも誘ったが、今日は別の飲み会があるらしく、「楽しんでおいでー」と返信をくれた。
男組は原チャリ通学のため一度帰宅。
二人を見送ったあと、バスに乗り込んだ。
目を合わせてくれなくなった奴に、寂しくしている私。
それを察したのか和馬が私の話相手をしてくれる。
艶のあるアッシュの髪をいつもしっかりワックスで逆立てている。
長身で細い体、ロック系のファッションと見事にマッチしている。
実年齢よりかなり大人の雰囲気を醸し出しているが、さらりとしたきれいな肌は彼が若いことを物語っている。
和馬がふざけて私のサングラスをかける。
フレームはブラウンを基調としたヒョウ柄。
そしてしゃがんだ状態でタバコを吹かす。
一端の夜の帝王である。
しかし本性は、マルモを見て一人号泣するような男の子である。
奴がアクセルで、和馬がブレーキ
そんな関係だろうか。
いや、もっと深くでつながっている。精密機械の歯車のように。
夕方まで大学内のあちこちでダラダラし、それから演劇サークル主催のお笑いライブを見に行った後、コンビニの前でたむろしていた。
「あ~なんまビール飲みたい」
「飲めし」
コンビニの方を指さし奴が言う。
和馬はアリを指に乗せて遊んでいる。
「一人で飲みたくないもん、和馬さん飲みにいくべー」
「うん、俺は別にいいよ」
立ち上がりその辺をふらふら歩き回る。大人っぽい表情から想像つかないが、少し不思議ちゃん、しかし誰よりも空気読み。
奴は何度か私を罵倒したのち、「仕方ねーなー」と言いながら、19時に駅前で集合ということになった。
沙那さんも誘ったが、今日は別の飲み会があるらしく、「楽しんでおいでー」と返信をくれた。
男組は原チャリ通学のため一度帰宅。
二人を見送ったあと、バスに乗り込んだ。