Startin' over… -88ページ目
※いつもご覧頂きまして誠にありがとうございます。この先には若干の性的描写が含まれますので、18歳未満の方及び不快に思われる方は、読み飛ばして頂きますようお願い申し上げます。













気付いたら素っ裸にされていた。
電気が消されたその部屋で、今私は奴の棒を目の前にしている。
「舐めてほしいな。」
拒否するなんて選択肢は頭に無かった。
ただ、なんでこんな時に、の一心。
まだ終電で帰ることは諦めていない。
早く一人で発射してほしかった。


顔を埋める私の髪を奴が撫でる。
目が合った。
満たされたような笑顔。


奴の耳たぶにキス、そして噛む。
首を攻め、鎖骨、二の腕、胸の上部、乳首、腹、腰、脇腹、背中。
舐めては、キスマークがつくくらい強く吸い上げる。奴の息が上がっている。
同じように太股、膝、ふくらはぎの感覚も呼び起こし足の指一本一本口に含む。奴の息遣いが荒くなる。
「どぉ?」
涙目なのか?「ヤバイ…」
「こんなの初めて?」
「うん…ヤバイ、気持ちいい。舐めて…」
私の一連のこの行為に、全く愛情が含まれていなかったとは言い切れない。

お尻に軽く歯をかけて、肛門のまわりを指でなぞる。袋を舐め、しゃぶり舌で転がして、棒に行き着いた。やさしくキスをする。
「…先っちょがいい。」

奴の首がのけ反る。
目を細めた表情が美しい。こちらに視線を向ける余裕も無いようだ。
棒をゆっくりさする。
奴の吐息が漏れる。
「気持ちいい…ヤバッ」
スピードを上げてみる。
奴が腰をくねらす回数も増える。
足首を壁にぶつけても気付いていない。
もう制御できないのだろう。苦しそうだが悦に浸っている表情。
「…出る。出ちゃう…口、口に出す。」

さすりながらそびえ立つ塔の頭を唇で包んだ。


不思議な味の液体。


力が抜けた奴の身体は、何度も胸を上下させる。


「飲んでもらったこと、そう言えば…今までなかったな。」


横になると、奴が力強く抱きしめてきた。
まだ意識が朦朧としているようだ。


奴が私の背後にまわり、また抱き着く。


「電車なくなっちゃったね。」
いたずらっぽく奴が言う。
しかしやる気が起きない。お腹だって空いている。
奴のベッドに寝っころがる。効き過ぎている冷房を止める。暑い季節は暑いままでいい。水分さえ摂れば。冷房対策なんぞいう言葉が生まれる現代はなんておかしなものか?夏になるたびに思ったりする。
だが、暖房のきいた部屋で食べるアイスは好きなんだよな。


10時を過ぎたので、いてもたってもいられなく、台所に立った。
帰ってきたころに出来上がればいい、そう思って。

フライパンが無いので鍋で代用。切ったたまねぎを入れる。
コンロの下のドアを開け、サラダ油のボトルを手にとる。
「珍しい種類の油…え?」
麦茶のような色をしたその油。
まだほとんど使われていないその油。
賞味期限は7ヶ月前。

膝の力が抜けた。

考えてみれば奴のうちで料理をするのは初めてだ。

仕方が無いから、豚肉そのものの油で調理した。
出来ればたまねぎが飴色になってから肉を放り込みたかった。

その後刻んだピーマンを入れてしばらく炒め、たまねぎが柔らかく、透き通ったところで火を止め完成。


オレンジ色の縁取りがある皿に盛りつける。


テーブルまで運ぶ。

熱を持った鍋以外の洗い物を済ませる。


時計は10時半。


帰ってこない。



和馬は今奴の家に私がいるなんて知らないから、奴なりに怪しまれないように適度にのんびりしているんだろう。


皿にラップをかける。


帰ってこない奴に苛立ちを覚える自分に苛立った。


だけど、お腹すいた。

仕方が無いから、形容詞の活用表に目を通す。
男性形、女性形、中性形、複数形…ый、…ая、…ое、…ые。
練習問題の復習してないし。覚えられるのか。
思いっきりマルボロを吸い込む。







「ただいまー。」


11時を過ぎたとき、やっと奴が、いや、ごはんタイムが帰ってきた。


奴は私がつくった炒めものを一瞥したあと、冷凍庫からおかんがつくった煮物を取り出した。


『いただきます。』

つくんない方よかったのかな?うまいはずがない。
煮物と言えば究極のおかんの味、それに比べこの適当くさい炒めもの。
奴が私に気を遣って食べてくれるんじゃないかと思うと、悔しくてたまらなかった。
それを悟られたくないから、奴に負けじと煮物を口に運んだ。
奴は私の料理も食べてくれた。だけど、
この煮物を前にして、奴の「おいしい。」、今日は信じられなかった。


食べ終わってビールを少し飲んでいた。
奴が私の腰をつかんできた。
「いいじゃん、終電までまだ時間あるよ。」
奴の家の前に立ったとき、怒ってるんじゃないか?
イライラしているのは私の方なのに、ドアを開けるのが少し怖かった。

「おう。」
0.01秒前まで心細げな表情だったかのような笑顔。
腹を立てていたことに罪悪感を覚える。
「ごめんね、遅くなっちゃって。」
とりあえず持ってきた食材を冷蔵庫に詰める。


一服して少し話したあと、「じゃあこれから和馬ん家行ってくるから、一時間くらいで戻るわ」

奴は原チャのカギとタバコだけ持って出かけて行った。
少しは早く帰ってきてくれるだろうという淡い期待を抱いた。奴もお腹が空いているだろうし。

時計は9時半を指していた。
ロシア語のテキストを開く。
ごはんを食べたら出来るだけ早く帰りたい。
もう酒なんてどうでもよくなってきた。
いったい私は何をしにここに来たのだろう。