Startin' over… -67ページ目
本格的に梅雨入りした。
馬鹿みたいに音を立てて降る雨は好きだ。
すべてかき消して欲しい。
将来のことなど全く考えず、自分の気持ちを簡単に踏みにじり、
金のために時間を過ごすことには慣れていた。
誰かが横にいてくれるとも思っていない。

本気で自分は、精子の掃き溜めに過ぎないと思ったことがある。
別にしたくて許したわけではない。
勘違いする方が悪い。
お前には金を使うのがもったいない。
一緒に外を歩くのは恥ずかしい。
友達に自慢できない。
けど、はけ口は欲しいから俺の家まで来い。
結局そういうことだったんだ。
それくらいの価値しか私には無い。
誰かに愛されるかもしれない。
その極度に低い推量さえ高望みだったと何度も
自分に言い聞かせた。
鏡を見るたびに、自分の顔を切りつけたくなることもあった。
スキンケアも、メイクも適当になり
私は女なんかじゃない、男になり損ねた欠陥品だ。
渇いた涙が、心の内側で流れている。
残念ながら身体は女。だから公共財としての掃き溜め用として扱われるだけ。
でも、あいつは私に触れた。
※いつも御覧頂き誠にありがとうございます。この先には若干の性的描写がございます。18歳未満の方及び不快に思われる方は、読み飛ばして頂きますようお願い申し上げます。






















和馬も風呂から出てきた。
こたつで向かい合う親友同士。
どこかお互いに誇らしげだ。
そんな姿を心の中で全力で軽蔑しながら眺める。

日本酒を軽く煽り、適当にバラエティ番組を観て笑い合う。
話すネタも尽きてきた。

程なくして奴は寝付いた。
電気を消し、和馬と二人きり。
代わる代わる立ち上がる
マルボロとグリーンのアメスピの煙が会話しているようだった。
和馬の膝の上に頭を寝かせた。
さっき奴にしたように。
彼は友達。
全くときめかない。
向こうだってそうだろう。
和馬が全力で愛していたのはサナだ。
すぐさま薬指のごつい指輪は外れることになったが。
その裸の指が、私のブラの中に入ってくる。
「変態だったんだ。」
耳元で囁かれる。
わざとらしく声を漏らしてみる。
満足そうな和馬の笑顔。
もしセックスが愛情を確かめる行為なら、
この互いに軽蔑に満ちた身体の接触はなんと言えばいいのだろうか。
「自分で腰動かしてんじゃねーよ。」
口を塞がれた。
近くにあったクッションで顔を潰された。
ニットがまくり上げられ、ブラのホックは外された。
「やばい。いれたくなってきた。」
懇願するような口調。
奴のときと似ている。
「残念な男ね。」

そう思いながら、風呂場へ和馬を誘導した。
一人で寂しい時、
慎吾のにおいが恋しくなった。
数学のテキスト片手に、私のノートを覗き込む。
そのときのPhillip Morrisの香り。

どうしようもなく、彼と同じ味をあじわいたくて
煙草に火をつけてみた。
19歳の頃だろうか。

今やマルボロの虜となっている。
今日も眠れない。
最近コーヒーと煙草の量が増えたみたい。
それと逆に、食事量は減っている。
一日一食、コーヒー4杯。それに加え栄養ドリンク。
夕方から夜にかけ、できるだけ良いサービスを提供しなければいけない。
だから自分の体なんてどうでもいい。
心だって。

本当は、寄りかかりたいけど
それが無理だから
乱暴な方法でやり抜いてきた。
多少ぶっこわれるようなものであっても。