焼き鳥屋を出たあとに、そのまま帰るのはご免だと思い、
積極的に慎吾の腕に自分の腕を絡ませた。
「こらっ。」
「いいじゃーん。」
「誰かに見られたらどうすんの。」
「もう11時過ぎてるよ。普通は子供は出歩かないよ!」
「親見てたらどうすんだよ。」
「私、大人っぽくみえない?」
その時は若さも十分あったが、念入りに保湿した。
kateのダークパープルのアイシャドウと、お小遣いを叩いて買った
マキアージュの『ダイヤモンドティアアイラーナー』だったかと思う。
今はくぼんでしまったが、分厚いまぶたを何とかすっきり見せようと
メイク法・色選びにどれだけ時間をかけただろうか。
粉雪が舞う冬の日であった。
慎吾のジャケットのポケットに手を入れ、ぬくもりを感じていた。
”先生”を独り占めしたかった。
そのためには、女として見てもらう。
そのときはそれしか頭に無かった。
子供でいるのが、嫌で嫌でたまらなかった。
「いや、色っぽいよ。」
心の中で勝ち誇った笑顔を見せる。
「先生。」
「何?」
「帰りたくないよ。」
「私を抱いた時、どんな感じだった?」
「感動したよ。」
「どういうこと?」
「それは・・。」
諦めきれないほど人を好きになった時、自分を見失わず
大人になることができるだろうか。
「よかったの?」
「お前こそよかったの?」
「うん、ずっとそうしたかったから。」
「どうしたの?」
「いや。」
恐らく私には無理である。
慎吾の立場など考えずに自分の気持ちも身体も押し付けた。
結果彼は受け入れてくれたが、普通は、いや講師としては・・・
「よかったけど、いけないことだけど、よかった。」
「感動したよ。」
「どういうこと?」
「それは・・。」
諦めきれないほど人を好きになった時、自分を見失わず
大人になることができるだろうか。
「よかったの?」
「お前こそよかったの?」
「うん、ずっとそうしたかったから。」
「どうしたの?」
「いや。」
恐らく私には無理である。
慎吾の立場など考えずに自分の気持ちも身体も押し付けた。
結果彼は受け入れてくれたが、普通は、いや講師としては・・・
「よかったけど、いけないことだけど、よかった。」
雨が降る。
8月の半ば。もうじき夏は終わる。
やがて日は短くなるだろう。
触れる体温、ことさら強い感情に揺さぶられる。
もう時期を逃したようにも感じるけど、
求める気持ちは止まらない。
きっとあいつの方が大人。
私は出していない、この気持ちを。
こちらに迷惑をかけないようにと我慢しているのではないか?
親友はそう言った。
「ねぇ。」
「何?」
「見てこれ。」
「うちわ?」
「うん、来る時友達がバイトして配ってた。」
”ビール一杯無料”と書いてある。
「先生にあげる。」
別に酒好きを公言した覚えは無い。
他の講師がもらしているとも考えられない。
ただ、勝手に本質を見極めているのか?(笑)
「あら、いいのかい?」
「うん、いくらでももらえるから。」
「そう、ありがとう。」
お返しに某牛丼チェーンの卵無料券を渡した。
「気をつけてね。」
「うん、先生も。いっつも遅いから。」
「私は大丈夫だよ。でもありがと。」
つかの間の沈黙。
「雨大丈夫かな。」
「うん、ちょっとだし。」
「待って、上から傘もってくる。」
「いいですよ。」
「いや待て。」
と、なぜ言わなかったのか。
微妙な距離で帰りの挨拶をする。
数十分後に退勤したが、雨は元気に降り出した。
この街のどこかで、あいつも同じ雨に濡れているのだろう。
8月の半ば。もうじき夏は終わる。
やがて日は短くなるだろう。
触れる体温、ことさら強い感情に揺さぶられる。
もう時期を逃したようにも感じるけど、
求める気持ちは止まらない。
きっとあいつの方が大人。
私は出していない、この気持ちを。
こちらに迷惑をかけないようにと我慢しているのではないか?
親友はそう言った。
「ねぇ。」
「何?」
「見てこれ。」
「うちわ?」
「うん、来る時友達がバイトして配ってた。」
”ビール一杯無料”と書いてある。
「先生にあげる。」
別に酒好きを公言した覚えは無い。
他の講師がもらしているとも考えられない。
ただ、勝手に本質を見極めているのか?(笑)
「あら、いいのかい?」
「うん、いくらでももらえるから。」
「そう、ありがとう。」
お返しに某牛丼チェーンの卵無料券を渡した。
「気をつけてね。」
「うん、先生も。いっつも遅いから。」
「私は大丈夫だよ。でもありがと。」
つかの間の沈黙。
「雨大丈夫かな。」
「うん、ちょっとだし。」
「待って、上から傘もってくる。」
「いいですよ。」
「いや待て。」
と、なぜ言わなかったのか。
微妙な距離で帰りの挨拶をする。
数十分後に退勤したが、雨は元気に降り出した。
この街のどこかで、あいつも同じ雨に濡れているのだろう。