雨が降る。
8月の半ば。もうじき夏は終わる。
やがて日は短くなるだろう。
触れる体温、ことさら強い感情に揺さぶられる。
もう時期を逃したようにも感じるけど、
求める気持ちは止まらない。
きっとあいつの方が大人。
私は出していない、この気持ちを。
こちらに迷惑をかけないようにと我慢しているのではないか?
親友はそう言った。
「ねぇ。」
「何?」
「見てこれ。」
「うちわ?」
「うん、来る時友達がバイトして配ってた。」
”ビール一杯無料”と書いてある。
「先生にあげる。」
別に酒好きを公言した覚えは無い。
他の講師がもらしているとも考えられない。
ただ、勝手に本質を見極めているのか?(笑)
「あら、いいのかい?」
「うん、いくらでももらえるから。」
「そう、ありがとう。」
お返しに某牛丼チェーンの卵無料券を渡した。
「気をつけてね。」
「うん、先生も。いっつも遅いから。」
「私は大丈夫だよ。でもありがと。」
つかの間の沈黙。
「雨大丈夫かな。」
「うん、ちょっとだし。」
「待って、上から傘もってくる。」
「いいですよ。」
「いや待て。」
と、なぜ言わなかったのか。
微妙な距離で帰りの挨拶をする。
数十分後に退勤したが、雨は元気に降り出した。
この街のどこかで、あいつも同じ雨に濡れているのだろう。