古風な夏は | お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

私の母親が突然「がん」と診断された。「がん」と闘い、一生懸命に生きた母と後悔ばかりの子の闘病生活を綴る。そして、2018年ついに私自身にも「がん」との診断が…。

夏らしさって何だろうと思うことがある。もちろん気温は30℃を超え、暑すぎる毎日だったり、花火大会や祭りなどの催し物、食べ物ではスイカや素麺、行楽は海水浴とかキャンプでしょうか。

 

気温はともかくとして、何だか自分の周りから少しずつ夏を感じさせるものが消えていっているような気がします。

 

子供の頃嫌だったのが、蚊取り線香。蚊取り線香を点けておくと、翌朝学校に着ていく制服のズボンや、ハンガーに掛けてあるYシャツに匂いが付いてしまいます。

 

今は、電子蚊取りとか、匂わない薬剤のものなどが発売されていますが、やっぱり昔はあの独特の香りの付いた蚊取り線香でしたね。

 

そういえば、風鈴の音もあまり聞かなくなりました。うちも生前お袋が軒先にぶら下げていましたが、ご近所迷惑になるからやめてくれと私が言ってやめてもらいました。今は、ご近所の公園で子供が遊んでいる声がうるさいと苦情を訴える人が居る時代ですから、やむを得ないと思います。もちろん、お袋はとても残念そうでしたが。

 

ここ数年、母方の親戚のお寺の墓参りに行くと、お寺の軒に吊り下げられたウィンドチャイムが綺麗な音を奏でていることに気づきました。心が休まる気持ちのいい音を奏でています。お寺のように敷地が広い場所ならば、こういうのもありかも知れません。うちがあるのは住宅地なのでやはりちょっと音の出るものはご近所迷惑になってしまいます。

 

いつの頃からか、世の中が寛容さがなくなってしまったような気持ちになることがあります。個人というのか、個別主義というのか、戸別主義と言っても良いのかもしれません。皆、個人の幸せを第一に考える。それが当たり前なんですが、せめて身近な家族や周りの人のことも考えられると良いのですが、とてもそんな余裕なんてないのでしょうね。

 

家族と言うと、よく考えたら、今は一人一部屋がある家も多いのでしょう。うちは、子供の頃は二間の賃貸に4人家族が住んでいましたから、家にいれば必ず家族が一緒の部屋に居ました。プライベートなんてないようなものです。そうすると自ずと周りに気遣いしないわけにはいかなくなるのです。精神的にも疲れることですが、それが日常だったのです。

 

ちょっと脱線してしまいましたが、世の中が妙に淡泊に感じられることもあります。昔からの風習がなくなっていくのも、時代の流れと言えばそういうものなのでしょう。

 

ただ今でも、祭囃子の太鼓を練習する音は時々聞こえてきます。そうすると、あぁ祭りがあるのだな、夏なんだなと改めて感じるのです。

 

そういえば、高校野球は始まっているんでしたっけ? もう学生さんは夏休みかな? 親戚も少なく、家族も居ないと、本当に世の中の季節の移り変わりに鈍感になりますね。