うちは子供の頃は貧乏だった。正確には今も普通(中流)には少し届いていないかもしれない。壊れても買い直せないので「物は大切にする」ということが普通のことだった。
その反動で中々物が捨てられないという状況になってしまったので、良い面悪い面両方あるのだろう。
さて、もう何年も前なのだが、会社で同僚が会議中にノートPCをテーブルの上で手前(自分方向)に引き寄せた。ノートPCの底面には滑り止めのゴム足が付いていることが多い。“引き寄せる”という動作は持ち上げて手前に移動したわけではなく、ズズズズッと手前に引っ張った。ゴム足がテーブルと擦れてズズズズッというよりガタガタガタッと振動を伴う移動となった。
まぁ、面倒だったのだろうなと思っていてその時にはあまり気にしなかったのだが、その同僚は何度か同じことをすることがあった。私的にはこの行為はとても気になることだった。
当時のPCの内部記憶装置はHDD(ハードディスクドライブ)が主流だ。今は一般的なノートPCでは、高速に読み書きができるSSDが大半になってきてはいるが、当時は違っていた。
HDDは、高速回転する円盤からヘッドと呼ばれるアームに支えられた読み取り部がデータを読み書きするようになっている。ざっくり言うとレコードとレコードプレーヤーのような機械的構造をしている。このような仕組みのため、振動に弱いのだ。
先ほどの引き寄せ行為は、外部から振動を起こすことになり、HDDの故障に繋がりやすい。もちろん、HDDにも振動センサーや加速度センサーを持つなど、故障しないように対策しているものもあるが、やはり物理的な振動に弱いことは確かだ。
ほんの少し持ち上げて移動すればいいだけなのだが、どうして故障するかもと考えないのだろうか…と当時不思議に思っていた。
また、一緒に業務をしているビジネスパートナー(外注さん)は、会社で貸与しているPCの扱いが汚い。会社で使用しているPCの多くはリース会社から有料で借用しているリース品だ。このため、一定期間で入れ替えを行うことがあるのだが、PCを返却してもらうと埃まみれで、キーボードには何かの汁の汚れや黒ずみがあちこちにある。
返却は社員が行うのだが、リース会社に送り返す前に私は簡単にキーボードの汚れを拭きとり、清掃をした。しないと「やばい」と思うくらいの汚さだったのを覚えている。せめて返却する時にざっと汚れを拭いてくれるとありがたいのだけれど…。