Fender USA 1957年製 Tweed Champ 5F1 [Large Box&8”]
Fender USA 1957年製 Tweed Champ 5F1 [Large Box & 8” Speaker]
Fender Tweed Champの完成形 8インチスピーカーの5F1の最初期の貴重な個体が入荷致しました。
当店で以前にNarrow PanelのFender Tweed Champを数台年代別に紹介しました。
そして個人的にずっと研究していたのが、シリアルナンバーの何番辺りから[Large Box & 6" Speaker]から[Large Box & 8" Speaker]になったのかという点でした。
現在でも復刻されているTweed Champ 5F1が57モデルの8インチスピーカー仕様であることからも分かる通り、Tweed Champは57年の途中に8インチスピーカーになった瞬間に完成と相成ったと言えます。
今回入荷した個体はその答えを示している貴重な一台となります。
その一つの理由としてバッフル板が元々6インチの素材を使って8インチ用に拡張している点です。
当然、後から改造されたのではなく出荷時に8インチスピーカーで出荷されていますので、最も初期に出荷された8インチスピーカー仕様のTweed Champと言えます。
更に素晴らしい点は、ハンドルを除けば真空管からネジ一本に至るまで出荷当時のまま2024年現在まで維持しつつ出音も素晴らしいサウンドを出力している史料的価値としても高い個体です。
それでは細かく見ていきましょう。
上部とコントロール部の画像です。ハンドルのみ交換されておりますが持ち運びに安心です。
バックビューです。オリジナルカバリングです。
バックパネルを外した画像です。電源ケーブルもオリジナルです。
シャーシ内部の左側の画像です。ネジ一本に至るまで全てオリジナルを維持しております。
シャーシ内部の右側の画像です。ネジ一本に至るまで全てオリジナルを維持しております。
ポットデイトが確認できます。304 725 = Stackpole 1957年25周目製造ということが分かります。
オリジナルスピーカーの画像です。最も初期のロッドの8インチスピーカーです。
若干薄くて見えづらいですが、GHのスタンプが押されています。GH=1957年8月というDate Codeです。
こちらにもう一箇所スタンプが確認できます。GH=1957年8月というDate Codeです。このアンプの出荷時のオリジナルスピーカーという証拠になります。
スピーカーに押されているデイトスタンプです。スピーカーの型番が8EV-29でEIAコードが465でOxford社製、デイトコードが714=1957年14周目という意味です。
オリジナルスピーカーのオリジナルコーンです。
今回のキモです。バッフル板の画像です。
ご覧の通り6インチ用に開けられてる下穴がありますが一度もネジを挿入した形跡がなく、8インチ用の外周のカットもフリーハンドで恐らく糸ノコで拡張されています。歴史的・史料的に価値のある箇所がこの部分です。
キャビネット内のラベルも綺麗な状態で残っております。GH=1957年8月のスタンプとシリアルナンバー[C-0485X]が確認できます。
この個体から推測するに8インチスピーカーに変更されたシリアルナンバーの区分は
〜4800番付近までが6インチスピーカー
4800〜以降が8インチスピーカーと言えそうです。
取り出したシャーシの画像です。真空管も出荷当時のままです。
オリジナルの電源トランスです。型番は[NYT 5396]です。
オリジナルの出力トランスです。型番は読みづらいですが、恐らく[110]だと思われます。
シャーシに刻印されたシリアルナンバーです。もちろんキャビネット内のラベルの番号と一致しております。
以上、如何だったでしょうか。
Fender Tweed Champの完成形でしかもほぼフルオリジナルでサウンドもバリバリ元気の良い個体です。
歴史そのものを手に入れたい方はこの機会に是非。
Gichi
HOWL GUITARS