与党は、野党が審議拒否する中、単独で賛成討論のみを行って、15日17時過ぎに教育基本法改悪法案を強行採決しました!
 15日の午前中の中央公聴会では、参考人5名中3名が与党案反対の意見を明確に述べていたにもかかわらずです。
 また、与党は、野党の国民新党の糸川委員に対して、「この法案に賛成したら、自民党に復党させ、議席も保証する」との買収工作を行ったことがわかっています。
 野党は、これに抗議し、結束して審議拒否しましたが、それでも与党は無理やり採決を行いました!許せません!
与党は、明日13時ごろに野党不在のまま衆議院本会議での採決を強行しようとしています。
 引用 http://www.kyokiren.net/

タウンミーティングのやらせ問題
今度は自民党への復党をちらつかせた買収工作ですか。

与党は,100時間に及ぶ慎重な審議を重ねたとは言いますが,内容は非公開。
出てくるのはやらせや買収問題ばかり。

子どもたちの自殺も止まらない。
大人も8年連続で年間3万人が自殺している。

教育基本法の前文は,

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、
 民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。
 この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、
 普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、
 教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

といっている。
1947年3月31日に施行されて以来,ここに書かれている理想の実現はどの程度達成できたのだろうか?
理想の実現のために,どれほどの努力を行ってきたのだろうか?
昨今の世の中を見渡すに,どんどん遠ざかっているのではないか?

国民の支持が過半数にも満たないのに,第1党の自民党が政権を握り,
民営化すれば赤字が減ると言って国鉄を解体。
結果,一部上場できたのは一部のJR。
トータルではかえって累積赤字が増加している。
高速道路もそうだ。
建設費の借金を返済したら無料にするといって国民を納得させたはずが,
気がつけば天下り先の温床になり,無料どころか,値上げ・値上げ・値上げ・・・。
挙句の果てに,ETCの宣伝まで行って,無料にする気なんかはまったくない。
料金所があるから大渋滞になるということは誰でもわかっているのに,
ETCで快適な通行とは何事か?!

自民党が国民をだますのは今に始まったことではありませんが,
それでもなおだまされる国民が多いことは不可解です。
もはや,教育基本法の前文がいう民主的で文化的な国家というのは崩壊寸前かと・・・。
子どもたちの自殺が後を絶たない。
とても文化的な国家とは思えませんなぁ・・・。

今回の教育基本法改正は,国の根幹にかかわる,国家の一大事。
非公開で話を進めているだけでも不愉快なのに,100時間審議したので十分とは,どういういう理屈だ?
国民のための政治から,国家のための政治になってしまっていますな。
「人民の人民による人民のための政治」と演説した某国の昔の大統領の爪の垢でも煎じて飲ませたいもの。
(某国の現大統領にも・・・。)

中嶋嶺雄 国際教養大学理事長・学長

●日本の政治学者。東京外国語大学名誉教授(1995年から2001年まで学長)。
 専門は国際関係論、現代中国政治。
  中嶋嶺雄 – Wikipedia

まったくもって人物がわからない・・・。

イノベーティブ・ワンに紹介されている中嶋氏のインタビューによると,
国際教養大学の教員は,
  学生からの評価(スチューデント・エバリュエーション)
  ペアレビュー(同僚評価)
  上司評価
  学長評価
と4つの段階で評価され,
評価結果に応じて,±20%の変動幅の中で新しい年俸が決まる制度を導入しているとのこと。
 参考 イノベーティブ・ワン

利益を追求するために,売り上げや契約数などで評価されるなら,非常に客観的ですが,
大学のこの評価制度は疑問ですなぁ。
学生からの評価では,学生に対するゴマすり教員は問題外としても,
教員の専門分野に関する知識は,学生に理解できないことも多々あるかと思います。
学生にどのような質問をしているのかはわかりませんが,
高い専門性を持っている教員が排除される可能性がありますなぁ。
ペアレビューでは,同僚の自由な意見を制限する恐れが高いかと思います。
多数派の意見とは違う意見を主張すれば,同僚からの評価が下がることを心配するのではないかと。
学長はかなりの権限を持っていますから,学長の提案に逆らわない方向に議論は進むことでしょう。
提案内容に学生にとって不利益になるような心配があっても,教員は意見を述べないでしょうなぁ。
会議の場以外で,例えば,教員同士の日常会話で学長の提案に対する心配事を話すだけで,
学長批判となりかねない状況が生じるかと思います。
こうなれば,学長にとっては同僚が互いに監視しあう,
いわば戦時中の隣組に似た状況になることでしょう。
少数意見が排除されるのは,民主主義ではなくファシズムですな。
上司評価・学長評価についてもファシズムの強化につながりそうですなぁ。

利潤に追求ではない教育の場では,このような評価方法では意味をなさないかと思います。

参考までに,中嶋氏は多数の本を出版しております。
 『日本にアジア戦略はあるのか――幻想の中国・有事の極東』(PHP研究所, 1996年)
は,岡崎久彦氏との共著ですが,
岡崎氏は新しい歴史教科書をつくる会の賛同者です。

また,2000年以降,古森義久氏との共著が多いのですが,
古森氏は,このような記事を紹介した人物のようですなぁ。

ハリケーンカトリーナ報道
 2005年8月末、アメリカ合衆国南部を襲ったハリケーン・カトリーナの被災地について、
  『こうした略奪を働く人間たちのほぼ100パーセントが黒人なのである。
   テレビの映像や新聞の写真でみる限り、略奪者はみなアフリカ系市民、つまり黒人だった。
   この事実は現地からの他の一部の報道でも裏づけられていた』、
  『それにしても略奪者は100パーセント黒人なのである』
 (平常時には隠れていた人種問題が浮き彫りに)と断定した。
 しかし、白人による略奪はテレビでも報道されており、古森の発言は事実と異なる。
  引用 古森義久

古森氏は,人種差別をあおるような偏向的主観の持ち主のようです。

類は友を呼ぶとはよく言ったものです。
共著で出版するにしても,相方がこのような人物ということから,
中嶋氏も彼らに近い考えを持つ人物なのかも知れませんなぁ。


【義家弘介】 横浜市教育委員会教育委員、東北福祉大学特任講師

言わずと知れたヤンキー先生。
氏の活躍がドラマになったり,再生会議の委員の中では最も知名度のある方の1人ですな。
 知らない方は,こちらを参考に。

先日の福岡県で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した問題の調査のために,
文科省・小渕優子政務官とともに遺族から事情を聴くなど,精力的な活動を行っていますなぁ。
ただ,メディアに質問されて遺族が答えている内容を改めて質問するなど,
遺族に対する無神経さを疑ってしまいました。
再生会議の委員としては,まだ35歳という点で,経験不足かと心配しております。

ところで,産経新聞では次のような記事が紹介されていました。

  最も波紋を呼んでいる人選が、
  事務方の教育再生会議担当室長も兼任する「ヤンキー先生」こと義家弘介横浜市教育委員だ。
  義家氏は共産党機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューで教育基本法改正に疑問を表明。
  雑誌「世界」の反国旗・国歌特集にエッセーを寄せている。
  自衛隊のイラク撤退を求める声明の賛同者にも名を連ねた。
   <産経新聞>10/16 08:39
   引用 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/23462

左派「しんぶん赤旗」「世界」へインタビューやエッセーを寄せているとなれば,
右派の産経としては静観できませんなぁ。

義家氏は10月18日の第1回教育再生会議において,
 「地方分権により各地方に任されるようになったが,
  教育委員会が責任を果たしていない実態がある。その改革が必要。」
と語っておりますが,
教育委員会の変え方によっては,教育問題をより深刻なものにする可能性があります。
委員の中に門川大作 京都市教育委員会教育長がおり,
おそらくは理想的な教育行政のあり方のように京都の実践を報告してくるでしょうから,
若いゆえにだまされてしまいそうで心配ですなぁ。

義家氏に関しては,現状では大きな問題点は見当たらないようですな。

【張 富士夫】 トヨタ自動車株式会社会長

●ソニーの社外取締役。また経団連副会長、日本自動車工業会会長、財務会計基準機構理事。
●しばしばJR東海の現会長 葛西敬之(張氏と同様,教育再生委員)と並んで「名古屋のドン」と言われる。
 参考 張富士夫 - Wikipedia

教育に関してどのような考えの持ち主かわからず,経団連について調べてみた。

●長年、自民党を中心に政治献金を続け、「自民党の金庫」と呼ばれた。
 自民党は経団連から多額な政治献金を受け取っている。
 1993年、リクルート事件などの汚職を理由に政治献金の斡旋を中止したが、2004年に再開。
 2004年度の会員企業の政治献金は、自民党向けが22億2000万円、民主党向けが6000万円で、
 他党への献金は無かった(『産経新聞』8月24日号)。
●2005年6月21日に
 ホワイトカラーエグゼンプション(ホワイトカラー労働時間規制撤廃制度)の実現を促す提言をした。
 しかし、残業手当全面撤廃はするがドイツ・オランダのように残業禁止の義務化を全くしない。
 参考 日本経済団体連合会 - Wikipedia

どうもよくわからない。
さらに,調べてみると,このようなものが…。

2005年1月18日に経団連が発表した「わが国の基本問題を考える~ これからの日本を展望して ~」には,
次のようなことが書かれている。
●政治寄付を促進する制度整備
政党は、その思想・信条に賛同するものによって支えられるべきであり、
民間の自発的な政治寄付の意義を再認識し、これを促進していく必要がある。
政党は、民間からの寄付を政策立案・推進能力の強化に充てるとともに、その使途を公表すべきである。
併せて、政治資金規正法の抜本的な見直しを含め、法制・税制の整備を行うべきである。
●教育問題
(1) 現行の教育の問題点
学力面では世界のトップクラスを目指すとともに、個人の個性や能力を伸ばす教育へ、
「多様性」「競争」「評価」を基本とした大胆な改革を行う必要がある。

(2) 教育改革の方向性
① 多様な主体による教育への参入
現在、小中学校の在学者の9 割以上が公立学校に在籍している。
公立学校では、ほぼ同一の方法で標準的な内容を教えることが期待されているため、
独自色の強い教育を実践することは難しい。
多様な教育を実施するためには、私立学校の比率を高めるほか、
公設民営型学校の促進や株式会社立学校、NPO立学校などによる学校の設置・運営を促進し、
教育の質の向上に向けて相互に競争、切磋琢磨する必要がある。
そのためには、学校の設置者を国と地方公共団体、学校法人に限定した
教育基本法第6 条、学校教育法第2 条を改正すべきである。

② 生徒の選択結果を反映する補助
社会のニーズに応えた質の高い教育を行っている学校に、予算を重点的に配分しなければならない。
そのためには、生徒の選択結果を反映して学校への補助金を交付するバウチャー制度が有効と思われる。
例えば、初等中等教育では、児童・生徒や保護者に教育バウチャーを渡し、
通学する学校を選ぶ権利を与えるようにすれば、多数から支持された学校に多くの補助金が配分され、
社会や教育の受け手のニーズに合致しない学校は、自然淘汰されることとなる。
併せて、これからの教育予算のあり方を検討する上で、私学への助成根拠を明確にする観点から、
法的な見直しを行うべきである。

③ 時代の変化に適合した教育内容
優れた人材の育成には学校の教育力の向上が不可欠であるが、
何を子どもたちに教えるかという問題も極めて重要である。
21 世紀のグローバル社会において、
日本人はこれまで以上に国際社会において積極的に役割を担っていくことが求められる。
国際社会で活躍するためには、
国際人である前に日本人としての素養をしっかりと身につけていることが必要である。
こうした観点から教育内容を見直す上で、教育基本法の見直しが求められる。
第一に、戦後の教育で不十分であった日本の伝統・文化・歴史に係わる教育を充実させることである。
郷土や国を誇り、他国の人にも魅力ある国にしようという気持ちを育むための教育である。
また、戦後の教育では個人の権利の尊重に重きが置かれてきたが、
その結果、権利のみを主張する無責任な利己主義の弊害も見られることから、
権利と義務は表裏一体であることを教育の中でも強調していく必要がある。
こうした点を、教育基本法に示された教育理念の中に盛り込むべきである。
第二に、政治に関する教育である。
現在の教育では、有権者としての権利を行使することなどの重要性を十分教えていない。
従って、教育基本法に、政治に関する教育の重要性を追記すべきである。
第三に、宗教に関する教育である。
自然や生命に対する畏敬の念を育むことや、
異文化理解の素地となる宗教に関する知見を深めることの必要性が高まっている。
しかしながら、公立学校の教育現場では
特定の宗教のための教育を行わないとする教育基本法の規定に基づき、
宗教に関係するあらゆる行為を排除するという極端な運用がなされるケースがある。
従って、教育基本法の中で、
社会生活における宗教の持つ意味を理解することの重要性をより明確に示すべきである。
このほか、国が、教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにすることが必要であり、
条文解釈をめぐる教育現場での混乱を解消することが望まれる。

④ 組織的な学校管理・運営と評価
教育主体の多様化、教育予算や教育内容面での改革が、教員や学校の教育力向上に結びつくためには、
教員や学校の取り組みに対する評価を徹底することが不可欠である。
特に、高等教育機関においては、研究のみならず教育にも注力することが求められ、
教育への取り組み実績についても評価する必要がある。
こうした観点から、教育基本法に、
高等教育機関における教育機能の重要性について新たに規定を設けるべきである。
また、学校運営にあたっては、外部ノウハウ・人材を積極的に活用することが求められる。
このほか、教員に関する問題として、教育基本法に教員の自己研鑽努力義務を規定するとともに、
教職員組合が職場環境、待遇の改善などの活動に徹することを期待する。

⑤ 家庭や地域の役割
教育の基本は家庭であり、基本的な生活習慣、基本的倫理観などを身につけさせるのは保護者の義務である。
また、児童、生徒、学生や保護者など教育サービスを受ける側が、
学校と協力して教育を良くしていこうという姿勢も必要である。
さらに、家庭でのしつけを補う上でも地域社会の果たす役割は大きいこと、
産業界が学校と交流・連携することを通じて教育の質を高めることも求められることから、
教育基本法に、家庭教育の重要性や学校、家庭、社会の交流・連携の重要性、
教育を受ける側の責務を規定することが望まれる。
引用 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/002/honbun.html#part6

さすがは世界にエコノミックアニマルと言わせた(と言わせている)日本人を大量に生み出した
財界の方たちだけのことはありますなぁ。
早い話が,政党に金を配ることで,自分たちの意見を取り入れやすくしようとしているわけです。
極端な話,どの政党が与党になったとしても,金で言うことを聞かす集団ということです。
自民党へ22億2000万円,民主党へ6000万円という政治献金も彼ら流に言えば分散投資ということでしょう。
庶民にしてみれば大変な金額ですが,
1999年4月1日に引き下げられた法人税がさらに引き下げられれば,
この程度の献金は1年で元がとれるかと思います。
政治が彼らの言いなりになれば,日本の民主主義を崩壊しますなぁ。
会社の乗っ取りどころか国の乗っ取りを,堂々とやろうとしているわけですから。


教育に関して言えば,彼らの主張する多様性とは,
多様な個性を持つ子どもに対応するふりをした,
ビジネスチャンスとしての多様な学校を求めているわけです。
そのために障害となっている教育基本法第6 条、学校教育法第2 条を改正すべきと主張し,
バウチャー制度が有効と提言しているわけです。
日本の一般企業同様に社会や教育の受け手のニーズに合致しない学校は、自然淘汰されるとして,
一見すると今日のダメな学校は公立も含めてなくなって,いい学校だけが残るかのように言っていますが,
在籍中に淘汰されてしまった学校に通う子どもの気持ちは,
どのように法整備されても傷つくことになるでしょう。
そういう視点がまったく見えていない。
20年ほど前のイギリス・サッチャー政権が失敗した教育改革をあえて導入しようとするのも,
ブレアの成功例(イラクでは失敗したが…)を参考に立て直すことが可能で,
新たなビジネスチャンスが生まれるだろうとでも考えているのでしょうかねぇ。
参考 
サッチャー政権の教育改革 http://blogs.yahoo.co.jp/techno_bow/trackback/617565/2897281

また彼らは,
 戦後の教育では個人の権利の尊重に重きが置かれてきたが、
 その結果、権利のみを主張する無責任な利己主義の弊害も見られる
とも主張しています。
少なくとも多くの国民は,公共の福祉に反しないように権利を行使しようとしていますが…。
上記のようなことを主張し,達成するために,
公共の福祉を考えない経団連の方たちこそ利己的ですなぁ。
滑稽な話と笑い飛ばしたいところですが,
この「わが国の基本問題を考える ~ これからの日本を展望して ~」という提言は
2005年1月18日に発表されており,2006年9月にスタートした安倍氏が言っていた教育バウチャー制度も
これに基づいているのでしょう。

すでに安倍氏は経団連の言いなりということを証明するように,
教育再生会議の委員として張氏が参加しているわけですな。

ここしばらく,教育再生会議のメンバーを調べていましたが,だんだん気持ちが重くなってきました。
庶民にとっては,教育崩壊会議の方が適切な名称なのではないかと…。