チェンタウロⅡMGS | 鳳山雑記帳アメブロ版

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 1991年に配備開始されたイタリアのチェンタウロ戦闘偵察車は8輪で52口径105㎜砲搭載、最高速度108km/h、行動距離800㎞、重量26トンの装輪戦車でした。この種の車両はアメリカのM1128ストライカー機動砲、フランスのAMX-10RC、南アフリカのルーイカットなどがあります。イタリアの場合日本と国情が似ていて、長大な海岸線を守らなければいけないため、敵が上陸してきたとき主力戦車到着まで戦線を持ちこたえなければなりません。そこで機動的に動き、ある程度の対戦車戦闘も可能な車両の必要性が生じました。日本の16式機動戦闘車も同じ理由で採用されたと思います。

 

 一昔前なら主砲が76㎜など主力戦車よりは劣る火力しかありませんでしたが、最近の装輪戦車は105㎜ライフル砲という戦後第2世代戦車並みの主砲を備えたものが出てきました。とはいえ、軽い車体で戦車並みの主砲を撃つのですから反動が強く、発射した瞬間大きく車体が揺れます。ですから走行間射撃は緊急時のみで通常は停止してから発射するのだと思います。

 

 16式機動戦闘車のように走行間射撃でほとんど反動無く撃てる方が異常なのです。反動を押さえる工夫がなされているのか、演習時には火薬量を抑えた砲弾か空砲を撃っているのか分かりません。ご存じの方はご教授ください。

 

 それはともかく、2020年120㎜滑腔砲を搭載したチェンタウロⅡが登場しました。重量30トンに増えたのは120㎜の射撃に耐えうるよう構造を強化したのと、防御力を上げたのでしょう。とはいえ、これらの装輪戦車は前面装甲で20㎜機関砲の直撃に耐える程度、側面・背面で12.7㎜機関砲の直撃に耐える程度の防御力しかありません。チェンタウロⅡはIED(即席爆発装置)や地雷に対する防御力が向上したと言われます。追加装甲で40㎜弾までなら耐えうる防御力にもなるそうです。

 

 これでは敵主力戦車と正面から撃ちあうことはできないんですが、あくまで味方の主力戦車が到着するまでの時間稼ぎなのでしょう。チェンタウロⅡの射撃動画を見たんですが、30トンではさすがに120㎜滑腔砲の反動を押さえることは困難なようです。発射の瞬間大きく車体が揺れました。ただ装輪戦車は待ち伏せが基本で戦車同士の直接の撃ち合いは想定していないのでこれで良いのでしょう。

 

 攻撃力だけなら現用主力戦車並みの恐ろしい装輪戦車だと思います。チェンタウロⅡの優秀性に目を付けたブラジルは、早速2022年採用決定、98両調達予定だそうです。最終的には228両にもなると言われ、イタリア陸軍の96両を上回るユーザーになるかもしれません。では日本に120㎜滑腔砲搭載の装輪戦車が必要かと言えば、私は今の105㎜ライフル砲で十分だと思っています。あくまで主力戦車が到着するまでの時間稼ぎなので、敵上陸部隊と正面から撃ち合う必要はないと考えるんですよ。待ち伏せで側面や背面を攻撃するなら105㎜砲でも十分ですしね。敵戦車を正面から破壊したいなら各種対戦車ミサイルもありますから。

 

 ブラジルの場合、戦車がレオパルド1やM60A3なので戦車の代替としてチェンタウロⅡを採用したのでしょう。ブラジルは今のところ他国と戦争する可能性は低いですしね。局地的紛争程度ならチェンタウロⅡで十分だし120㎜滑腔砲の威力で十分な抑止力になると考えているのかもしれません。

 

 これからの世界の流れは、本格的な戦車と装輪戦車の二段構えになるのでしょう。