昭和の縁故主義の終わり

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 渡辺恒雄、中曽根康弘、葛西敬之、安倍晋三、日枝久⋯

 読売新聞社の渡辺恒雄は、中曽根康弘の盟友で大連立構想や憲法改正論、反小沢キャンペーンなどで支えた。中曽根康弘はのちのJR東海会長葛西敬之らを起用して国鉄民営化を進め、国労・動労といった野党の基盤を崩す。この葛西敬之は安倍晋三の家庭教師であり、保守の思想を支え、リニア事業を国策にさせる。いま話題の日枝久は安倍晋三らと親交を深め、改憲や軍拡、アベノミクスを支持した。こうした個人的な関係が、昭和の時代を形づくっていた。

 いずれの人物もその規制に守られた組織では、独裁者として長期にわたり権能を奮い、政財界の癒着を強めた。メディアや鉄道といった公益性が問われる組織でありながら政権批判どころか政権の意向のように世論を誘導し、あるいは政治が私企業を特別法、許認可や低利融資などで優遇しながら。ごく一握りの人たちによる統制国家が形作られ、対米従属をベースに、改憲、軍拡、原発、放漫財政、教育統制、経済統制、報道統制に傾いていった。こうして収奪型の経済体制になれば、失われた三十年になるのも道理である。

 こうした縁故主義も終わるのだろうか。主要メンバーが相次いで鬼籍に入る。残る日枝相談役もいま上納システムの元凶として、ようやく内からも批判されはじめた。しかし縁故主義の作り上げた国家統制システムは利権絡みで堅固であり、二代目、三代目と頭は代わっても、破綻するまで中身は変わらない、というのが世の常である。裏金問題で批判された自民党をみれば、自浄作用は期待薄である。

 縁故主義のアンフェアアドバンテージを失くすためには、とりあえずメディアについてはクロスオーナーシップの禁止、周波数オークション、政党では一票格差の是正やネット投票、企業献金の禁止、といった施策を実行する必要がある。それでもってようやく昭和の悪弊から離れ始めることができるだろう。国会で野党がりーどしていってほしいものである。

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