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「たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不死身の身体。鉄の悪魔を叩いて砕く。キャシャーンがやらねば誰がやる!」 |
オープニング・ナレーションだけでも血が騒ぐ!
「宇宙の騎士テッカマン」「科学忍者隊ガッチャマン」「破裏拳ポリマー」、タツノコヒーローは数々あれど、私のナンバーワンは、実にこの
1973年10月から翌年6月まで、全38話(内3話が再放送)がフジテレビ系で毎週火曜19:00~19:30まで放映された。
本来は「科学忍者隊ガッチャマン」の後番として企画されたそうなのだが、御存知の通り「ガッチャマン」が大当たり。放映期間が大幅に延長されることになり、上記の時間帯へ変更になったという。
予想外の大ヒットでタツノコプロの看板番組となった「ガッチャマン」と比べ、オイルショックによる宣伝費の削減やメインスポンサーの倒産など、「キャシャーン」はそのストーリー同様どこか悲劇的な推移を辿った傑作であった。
総監督は、あの「タイムボカン」の笹川ひろし氏。
こんなシリアスをやりながら、マージョ様御一行をも生み出してしまう頭の中は、さすがという他はない。
ストーリー
世界的ロボット工学の権威東光太郎博士の開発した公害処理用アンドロイドBK-1号。
人間に従うべくプログラムされていたはずの人工頭脳は落雷により自我に目覚め、自らブライキング・ボスと名乗り、博士の研究室である古城を占拠。そこを本拠地として攻撃用ロボットを量産し「アンドロ軍団」を組織、人類に挑戦状を叩きつけた。
BK-1号を開発した責任を問われ、世間の非難を一身に浴びる東博士。
息子鉄也は苦悩する父の姿を見るに忍びず、自ら機械と融合して新造人間となることを決心する。
驚愕する博士夫妻だったが、鉄也の決意は固く、また、博士の隠れ家にも「アンドロ軍団」の魔の手が伸びて、博士も遂に息子を新造人間として改造すべく覚悟を決める。
こうして、新造人間キャシャーンとして不死身の肉体を手に入れた鉄也は、ロボット犬フレンダー、幼馴染みの上月ルナとともに、「アンドロ軍団」に命を賭けて立ち向かう!
キャシャーンの魅力といえば、まずはそのダイナミックなアクションだろう。
光線や銃、剣などの武器は一切使用せず、その鋼鉄の肉体一つを武器に、群がるロボットたちを次から次へとなぎ倒す。
パンチ、キック。
頭上高く持ち上げ、真っ二つにへし折る!
悪のロボット軍団が完膚なきまでに破壊され尽くすさまは、子供心にそれはそれは素晴らしいカタルシスを与えてくれた。
当時の私は幼稚園児。
しかも、クレヨンしんちゃんのようなマセガキでもなかったので、キャシャーンとルナの恋愛までは思い至らなかったが、後から考えるとその辺も実に魅力的な要素だった。
新造人間となったキャシャーンは、確かに鉄也の人格や記憶を持っているけれど、それらはあくまでも電子頭脳のデータであって、決して人間には戻れない。
人間の心を持ちながら、人間であり得ない悲劇には、幼いながらも毎回泣かされていた。
ロボットからは裏切り者と言われ、人間からは機械の化け物と罵られ、それでもただ一人強大な「アンドロ軍団」に立ち向かうキャシャーン。
天晴れ、これこそヒーローの中のヒーローというもの!
そして忘れてはならないのが、最高の相棒フレンダー。
もとはアンドロ軍団に殺された東家の愛犬ラッキーを、博士がキャシャーン同様のやり方でロボット犬として蘇らせたものだが、キャシャーンがピンチになると必ず雄叫びとともに颯爽と登場。
鋭い牙でロボット軍団を蹴散らしてゆく。
その上、ジェット機になるわバイクになるわ、潜水艦になるわ……当時はドラえもんより欲しかった。
同じように思っていたアニメーターも多かったようで、この作品は20年後の1993年にタツノコプロ創立30周年記念作品としてOVA化された。
もちろん、私にとっても楽しみなリメイクではあったのだが……
確かにキャラクターのデザインはより洗練されてよりスタイリッシュになってはいたものの、いかんせん全4巻では焼き直しのダイジェストとしか思えず、とても満足できる内容ではなかった。
さらに、平成に入って後にも、新たなテレビシリーズが作られた。
それなりに楽しめたとはいえ、あの頃の感動には遠く及ばず、大人になってしまった自分が、ルナと結ばれ得ないキャシャーンのように寂しく感じられたものだった。
実写版に至っては……。
本家本元は、主題歌がまた素晴らしい。
宇宙戦艦ヤマトやゲッターロボの主題歌で知られるささきいさおによる歌唱曲なのだが、私としては彼のアニソンの中ではもっとも気に入っている。
特にエンディングのこのフレーズ。
夢も希望も昨日に捨てて、戦うだけに生きてゆく~
あまりといえばあまりに過酷なさだめではないか。
だが、これがキャシャーンなのだ!
番組を象徴する最高のエンド・テーマだと思った。
最近では古いアニメも配信でちょこちょこ観られるのがありがたい。
また、いずれ観られる時も来るだろう。
その時が楽しみだ。
※今回は2007年7月の記事を複製。
現在GYAOにて順次無料配信中なので久々に視聴中。
令和にはあり得ない台詞回しが懐かしく、童心に還って楽しんでいる。
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