「二条河原の落書」に曲をつける | ほうしの部屋

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 シンガーソングライターのCAPOの新曲が発表されました。

 

 室町時代に京都の町に立て札で現われた、風刺狂歌の「二条河原の落書」を歌詞として作曲したものです。「二条河原の落書」は教科書にも出てくるような有名なものであり、「この頃、都で流行るもの……」で始まる世相風刺の狂歌です。

 現在ならばSNSなどで流通しそうな社会風刺の詞です。これに曲を付けるというのは、アイデアとして素晴らしいと思います。歴史的遺産をエレクトロ風の現代の音楽で盛り上げるという設定です。

 

 

 CAPO独自の変態的なコード進行があり、そこに和旋律が絡んでくるので、楽曲そのものは難解とも言えます。ボカロに歌わせなければ歌えないような複雑なメロディラインを持ちます。

 偉いところは、「二条河原の落書」の言葉そのものを、一つも改変せず、現代語に訳すこともなく、そのまま使っていることです。7・5調や8・5調の和歌モドキの落書の文句に合わせて、メロディや拍子を決めています。4/4拍子で扱いきれない部分は、2/4拍子、3/4拍子、7/8拍子、5/8拍子などの変拍子で処理しています。しかし、そのような変拍子の違和感はなく、全体的にインパクトのあるダンスミュージックに仕上げているのは見事です。ラップ調の歌詞も入ります。

 ロック、エレクトロ、ジャズ、バロック、謡曲などが順々に出てきたり、混合して、独自の雰囲気を作っています。和楽器や謡曲のサンプリングなども効果的に使っています。

 本格的な解説は、本人がやっていますので、下記ブログをごらんください。