耐えに耐えて | ほうしの部屋

ほうしの部屋

哲学・現代思想・文学・社会批評・美術・映画・音楽・サッカー・軍事

 W杯カタール大会1次リーグ

 ポーランド2-0サウジアラビア

 

 ポーランドは、1トップにレバンドフスキを配した、4-2-3-1の布陣。

 サウジアラビアは、4-3-3の布陣。

 前半、サウジアラビアは、DFラインを高く保って、前からプレスをかけます。ポーランドは、ブロックで守り、ロングボールを前線に入れます。サウジアラビアのDFラインの裏を狙っています。サウジアラビアは、ボールを奪うと、速く攻めてシュートに持ち込みます。ポーランドは、サウジアラビアの速い仕掛けをファウルで止めることが多くなります。前線のレバンドフスキになかなかボールが入らず、レバンドフスキが引いてボールを受けることも多くなり、サウジアラビアにとっては脅威が減ります。しかし、ポーランドは、右クロスを、レバンドフスキがゴールライン沿いから折り返し、ジエリンスキが押し込んで先制します。

サウジアラビアは、相手ゴール前で倒されてPKを獲得しますが、アルブライカンのキックを、ポーランドのGKシュチェスニーが止めます。

サウジアラビアは、ボールを繋いで攻め続けますが、シュートにはなかなか至りません。

 後半、サウジアラビアが前掛かりに攻め込んできます。ポーランドは、GKシュチェスニーを中心に必死で守ります。ポーランドは、左クロスからのミリクのヘディングシュートがバーに嫌われ、右クロスからのレバンドフスキのシュートはポストに嫌われます。あとはほとんど攻めることができず、サウジアラビアの猛攻をしのぎます。サウジアラビアは、サイド攻撃からチャンスを何度も作ります。しかし、ポーランドは、サウジアラビアのDFラインでのパスミスをカットしたレバンドフスキがゴールを決めて2点目。

ポーランドは息を吹き返してやや攻勢になります。サウジアラビアは推進力が衰えます。サウジアラビアの攻撃をポーランドは人数をかけて守り、ゲームセット。

 

 初戦でアルゼンチンに逆転勝利したサウジアラビアは、その勢いのまま、ポーランドに対しても、積極的に攻め込んできました。ポーランドはほとんど防戦一方で、いつサウジアラビアが得点してもおかしくない状況がずっと続きました。しかし、ポーランドは、少ないチャンスを確実にものにしました。シュートがバーやポストに嫌われることもあり、決定力は、サウジアラビアよりも上だったと言えます。

 ポーランドは、大エースのレバンドフスキになかなか良い形でボールが入りませんでしたが、厳しくマークされながらも、レバンドフスキは味方を生かすプレーをしました。下がってきてボールを受けたり、サウジアラビアの浅いDFラインと駆け引きを繰り返したりしました。結果的には、相手のミスもありましたが、1ゴール1アシストの活躍でした。かつてブンデスリーガで何度も得点王に輝いた希代のストライカーですが、W杯での得点は、この試合(通算5試合目)が初めてとなりました。この大黒柱の得点を信じているからこそ、ポーランドの選手たちは、サウジアラビアの猛攻に対して、耐え忍び、必死でゴールを守ることができたと言えるでしょう。

 サウジアラビアは、かつての堅守速攻ではなく、ボールを保持してパスをつないで速く攻めるサッカーに変貌しており、チャンスは無数に作りましたが、決定力をやや欠きました。イエローカード覚悟のファウルで必死に守るポーランドが、耐えに耐えて、少ないチャンスをものにした試合でした。