参院選東京選挙区の当落は以下の通りです。
当選 丸川珠代 自現 1143458
当選 山口那津男 公現 815445
当選 吉良佳子 共現 706532
当選 塩村文夏 立新 688234
当選 音喜多駿 維新 526575
当選 武見敬三 自現 525302
落選 山岸一生 立新 496347
(以下省略)
私は、期日前投票で山岸一生(立新)に投票しました。結果は7位で惜敗でした。
私には投票戦術がありました。立憲民主党を支持する私は、立憲民主党から立候補した、塩村、山岸の2人とも当選させたかったのです。丸川、山口、吉良は、支持基盤や人気からして、やる前から当選確実でした。残りの3議席に立憲民主党の2人を滑り込ませなくてはなりません。
実のところ、私が応援していたのは塩村でした。都議時代にセクハラヤジで嫌がらせを受けたり、苦労を重ねてきた人です。美人でもあります。しかし、塩村は、立憲民主党支持者だけでなく、無党派層からもかなりの支持を集めると予測されました。私が投票せずとも当選すると見られました。そこで、問題は、朝日新聞元記者の山岸です。知名度で劣る山岸は苦戦すると思われました。そこで、私は、あえて、塩村でなく山岸に投票しました。当落ギリギリになると予測された山岸に1票の応援を送るつもりだったのです。
結果は、予想通りでした。残り2議席を巡って、武見、音喜多、山岸がデットヒートを繰り広げました。そして、山岸は惜しくも落選しました。
得票数を見れば、塩村に行った票のうち3万票が山岸に行っていれば、山岸は当選できました。塩村の人気票が、立憲民主党全体としては、山岸の票を喰ってしまったと言えます。無党派層で個人に投票する場合はともかく、支持政党がある場合、その支持政党から出た候補者を全員当選させる戦術が有権者には求められます。塩村は人気で当選できます(無党派層からの得票も期待できます)。そこで、危険水域にある山岸にあえて1票を投じることで、立憲民主党候補全員の当選を狙うというのが戦術というものでしょう。私自身、塩村に投票したい気持ちをぐっと堪えて、あえて山岸に投票したのです。しかし、その戦術は、惜しくも実りませんでした。僅差の7位で落選とはまことに残念です。繰り返しますが、塩村に行った票のうち3万票が山岸に流れていれば、立憲民主党の新顔2人が当選できたのです。
同じような現象は、自民党候補にも見られました。丸川が圧倒的な人気で大量の票を集めたために、武見が苦戦を強いられました。武見は、見識があり、議論も上手で、リベラルからも一目置かれている存在です。その武見が、女性とは言え、個人的人気のみの丸川に票を飲み込まれたのです。ここでも、複数の候補者がいる場合の、人気や認知度の違いが、得票に直結してしまいます。自民党支持層は、下手すれば、丸川の圧勝と引き換えに、武見の落選という憂き目にあう危険性もあったのです。
私の投票戦術は、かつての中選挙区制では、しばしば見られたものです。複数の候補者が棲み分けて得票を分けあったのです。しかし、現在は、衆院選のような小選挙区制が一般的であり、一つの選挙区で1人しか当選できないシステムになっています。各政党は1人の候補者を立てて戦います。そのため、ある政党の支持者は、そこから立候補した1人きりの候補者に投票すれば良いことになり、複数候補を当選させる戦術に慣れていません。そのため、参院選の大都市圏のような小選挙区制(一人区)でない選挙区でも、同じ政党から複数立候補した場合、人気や知名度などで1人の候補者のみに投票が流れてしまう現象が起きがちです。
選挙は個人対個人の対決は表面的なもので本質は政党対政党の戦いです。いかに多くの当選者を支持政党から生み出すかを考えて投票する必要があるのです。
今回の東京選挙区の場合、投票日前の選挙情勢報道も悪影響を与えました。立憲民主党の2人の候補の場合、立憲民主党支持者の多くの票を集め、無党派層にも一定の浸透をしていると言って山岸が優位だという報道が相次ぎました。塩村は、立憲民主党支持者からも無党派層からも支持を取り付け損ない、苦戦していると報道されました。この塩村苦戦報道が、投票日の、特に無党派層の投票行動に影響を与えたとも考えられます。つまり、直前になって、塩村に、同情票のような票が集まったとも考えられるのです。報道のミスリードなのか、実際に、投開票日当日に塩村が爆発的に得票を増やしたのかはわかりませんが、報道が、塩村人気を煽り、山岸無視の姿勢を作ってしまった可能性もあります。
いずれにせよ、接戦の末、ギリギリの7位で落選した山岸は誠に残念です。繰り返しますが、塩村に行った票のうち3万票が山岸に行けば、立憲民主党は2人の新人を国会に送り込むことができたのです。
有権者の投票行動に際しての熟考が問われる東京選挙区の選挙でした。
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