※このシリーズは、僕たち夫婦が過去に取り組んだ妊活・不妊治療についての振り返り記録です。


「おめでとう」が、少しだけ胸に刺さる日

妊活を始めてから、いろんな感情の波があるけれど、この頃に強く感じるようになったのが、「プレッシャー」でした。

ある日、妻がぽつりとこぼしました。

「妊活を始めるとさ、妊娠とか出産のニュースが、ちょっとしんどくなるときがあるのよね」

芸能人の出産報告、SNSに並ぶお祝いの投稿。
もちろん「おめでたい」と思う気持ちはあるけれど、自分たちの現状とうまく重ならないと、心が少しざわつく。
その感覚を言葉にしてくれたとき、僕はうまく返すことができませんでした。

身体が言うことをきかない苦しさ

ピルをやめてからも体調が安定せず、基礎体温もバラバラ。薬の影響で感情も揺れやすくなっていて、妻は何度も「なんで自分はこんな体なんだろう」と自分を責めているようでした。

僕の家族も、妻の家族も、「孫はまだ?」みたいなプレッシャーをかけてくるような人はいませんでした。
それでも、誰かに何かを言われたわけでもないのに、プレッシャーを感じてしまう。それは、妊活あるあるなのかもしれません。

「大丈夫だよ」が言えなかった

こういうとき、「大丈夫だよ」「気にしすぎじゃない?」と言ってしまうのは簡単です。でも、それは違う気がして。

僕は、できるだけ妻の気持ちのアップダウンに寄り添うようにしていました。

相槌をうつだけの日もあれば、無理に笑わせようと話題を変えてみたり、そっと隣にいるだけのときもありました。
どれが正解だったかは今も分かりません。でも、「否定しない」「受け止める」という姿勢だけは、意識していたつもりです。

時間はある。けど、永遠じゃない

心のどこかでは、「まだ1回。まだ始まったばかり。時間はある」と思っていました。

でも同時に、「じゃああと5年、このまま続ける?」と聞かれたら、答えは出ません。
治療が長期化する可能性もあるし、精神的にも金銭的にも、続けることが“普通”ではないことは感じていました。

だからこそ、「できることはやりたい」「少しでも早く、納得できる形で区切りをつけたい」と思うようになっていきました。

妊活は、終わりの見えない旅

妊活って、「いつ終わるか分からない旅」みたいなものだと思います。
ゴールがあるようで見えなくて、自分たちが今どこを歩いているのかさえ、よく分からない。

だからこそ、どこかで「区切り」や「納得」を求めたくなる。
それは弱さじゃなくて、人間らしさなんだと思います。

 

こんにちは、スミです。

前回、「建売住宅という選択肢もありでは?」と私から妻に提案した話を書きました。

住宅性能や立地、価格のバランスは良好。
早めの入居ができる点でも、建売はかなり魅力的に思えました。

でも――結論から言うと、建売に決めることはできませんでした。

話し合った結果の、私たちの方向性

夫婦で何度も話し合った結果、今後の方向性はこうなりました。

  • 最優先案:駐車場の土地+地元工務店で注文住宅

  • 次点案:建売+キッチンリフォーム

価格と引っ越し時期を考えると建売もかなり現実的なんですが、最終的にどうしても引っかかったのは、「自由度の小ささ」

妻のひとことがすべてを表していた

建売住宅の内覧を終えて、帰り道。

妻がぽつりと、
「やっぱ内装はちょっと建売感出ちゃうなぁ……」と。

それを聞いたとき、私も「そうだよな」と納得しました。

建売だからこそ価格が抑えられていて、デザインも“今風”に整えられてはいます。
でも、「これは私たちの家だ」と言えるだけの個性や納得感には、やはり少し欠けていたのかもしれません。

「キッチンはリフォームすればいい」という考えもありましたが、やっぱり最初から全部、自分たちで考えて形にしていく過程を重視したい。

妻の気持ちは、その方向に向いていたようです。

というわけで

方向性は定まりました。
駐車場の土地を軸に、地元工務店で注文住宅を目指して、再び動き出します。

とはいえ、建売の選択肢も完全に捨てたわけではありません。
土地の進捗や予算の変動次第では、再浮上する可能性もあります。

ただ、今は「自分たちらしい家」をつくることを最優先に、また歩き出そうと思います。

※このシリーズは、僕たち夫婦が過去に取り組んだ妊活・不妊治療についての振り返り記録です。


タイミング法、1回目はあっけなく

妊活を始めて、初めてのタイミング法に挑戦した月。
結果から言えば、うまくはいきませんでした。

もともと妻は基礎体温が不安定で、高温期がはっきりしないタイプ。
だからこのときは、生理日から逆算して「この辺かな」という1週間ほどを目安に、シリンジ法でタイミングを合わせてみましたが、結果はリセット。

「1回目だから、そんなうまくいかないよね」とふたりで言い合ったものの、スミ妻はやっぱり少し落ち込んでいるようでした。
無理もありません。ピルをやめて、身体の不調や不安と向き合いながら挑んだ、気持ちのこもった1回目だったから。

クロミッドの影響と、心の揺れ

翌月、妻はかかりつけの婦人科で「クロミッド」という排卵誘発剤を処方され、服用をスタート。

ホルモンに作用する薬だけあって、これが心身にじわじわ響いてくるものでした。
感情のアップダウンが起こりやすくなり、最初のうちは僕も「ちょっと機嫌悪いのかな?」くらいの軽い認識だったんですが、日を追うごとに「どう接すればいいんだろう…」と戸惑う場面が増えていきました。

怒ってるわけでも泣きたいわけでもない。でもモヤモヤしてる。
妻自身も説明が難しそうで、僕としても何が正解か分からない。気をつけて話してるつもりでも、どこかズレてしまうこともありました。

「支える」って、そんな簡単なことじゃない

よく目にする「夫の支えが大事」という言葉。
ネットの記事でも、SNSでも、医師のアドバイスでも、繰り返されるフレーズです。

たしかに間違ってはいない。けれど、正直、そんなにきれいにできるもんじゃない。

僕自身も正解がわからないし、プレッシャーに感じることもある。
「支える」という言葉は立派だけど、実際のところは、不器用なやりとりと、小さなすれ違いの繰り返しの中で、どうにか関係を保っていく——そんな泥くささがある気がします。

話せる関係に救われた

そんな中でも、僕たちがまだ救われたのは、「話せる夫婦」でいられたことでした。

ある日、落ち着いたタイミングで妻が「最近ちょっと情緒的でごめんね」と言ってくれて、僕も「いや、むしろどうしていいか分からん時ある」と打ち明けることができた。

それだけで、少し肩の力が抜けた気がしました。

最後に、これだけは言いたい

もしこの記事を読んでいる旦那さんがいたら、ひとつだけ伝えたいことがあります。

「奥さんの話、聞いてあげてください」

ぜんぶ理解しようとしなくてもいい。正解を出さなくてもいい。
ただ耳を傾けてあげるだけで、気持ちは思っている以上に伝わるものです。