新居へ向かう道中

銀行での決済を無事終えた私たちは、その足で新居へと向かいました。いよいよ「わが家」に初めて正式に足を踏み入れる瞬間。車を走らせながら、これまでの長い家探しや打ち合わせ、契約のやりとりを思い返すと、胸がじわじわ熱くなってきます。けれど同時に、「あの施工不良の部分、ちゃんと直っているかな?」という一抹の不安も。今日はその確認作業も大事なミッションです。

厳しい目での施工チェック

現地に到着し、まずは前回チェックした施工不良の部分を一つ一つ確認。ブロックの穴や外壁の欠け、クロスのちょっとした傷など、細かい部分までしっかり目を光らせます。大半はしっかり修正されていて、職人さんの手が入った跡も見受けられました。

ただし、中にはまだ直っていない部分もちらほら。内部の細かなものはその場で手直ししてもらい、外部に関しては「後日改めて工事に入ります」とのこと。雨漏りや重大な欠陥ではなく、見た目や仕上げの問題に近いものでしたが、これから30年40年と住む家。小さなことでも妥協せず、しっかりやってもらおうと改めて心に決めました。

住宅設備の説明タイム

チェックが一通り終わると、次は住宅設備の説明へ。キッチンはリフォーム予定なのでここでは説明をスキップ。その他の浴室・トイレ・洗面・給湯器や換気システム、窓サッシの使い方に至るまで、営業担当の方が丁寧に解説してくれました。

「ここはこう動かすとロックがかかります」「フィルターは半年に一度清掃してください」など、説明を受けながらも頭の中は情報でいっぱいに。説明書をもらってはいるものの、やっぱり口頭で聞くと安心感があります。こうして約1時間半、みっちりと設備講習会を受けたような気分でした。

鍵の引き渡し、そして二人だけの家

そしていよいよクライマックス。住宅会社の方から、玄関の鍵が正式に私たちの手に渡されました。これでこの家は名実ともに「私たちの家」に。住宅会社の人たちが帰って行き、玄関を閉めた瞬間、家の中には夫婦二人だけ。

何も入っていない広々とした空間。声を出すと音が反響し、がらんどうの部屋に自分たちの存在が強調されます。その中で「ついに私たちの家になったんだなぁ」としみじみと実感がこみあげ、しばらく言葉も出ませんでした。

夏の暑さと工事待ちの日々

ただし現実は甘くありません。引き渡し時期は夏真っ盛り。しかもこの家は高気密高断熱仕様なので、外よりも家の中の熱がこもりやすい。開け放した窓から熱風が入り込み、じっとしているだけで汗がにじみます。

さらにエアコンの取り付け工事は2週間後、キッチンのリフォームは3週間後、そして完全な引っ越しは1か月後の予定。つまり当面は「暑さと格闘しながらの部分的な引っ越し」が続くのです。

それでも、せっかく鍵が手元にあるのだからと、少しずつ小物や段ボールから運び込んでいこうと計画。まるでプレ引っ越しのような日々のスタートです。

 

ついにこの日がやってきた

いよいよ「引き渡し当日」。私たち夫婦は、少し緊張した面持ちで銀行へと向かいました。今日は融資実行の日。つまり、数か月にわたる家探し・契約・リフォームの打ち合わせなど、すべての努力が「お金」として動く瞬間です。普段の銀行訪問なら口座の確認やちょっとした手続きで終わるのに、この日は違います。4800万円という、桁違いの金額が動くのです。気持ちが引き締まらないわけがありません。

銀行の応接室へ

銀行に到着すると、担当の行員の方がにこやかに出迎えてくれ、そのまま奥の応接室へと案内されました。そこにはすでに住宅会社の担当者と行政書士の方がスタンバイ済み。さらに間もなく、銀行の偉い人たちがぞろぞろと登場し、一斉にごあいさつ。普段なら絶対に会えないような役職の方々に囲まれて、改めて「家を買う」という行為の重みを実感しました。「あぁ、私たち本当に大金を借りるんだな…」と背筋がピンと伸びます。

署名と押印のラッシュ

着席すると、まずは住宅会社の方から改めて費用の説明を受け、契約書類に署名と押印。次に行政書士の方から登記手続きについての説明を受け、こちらも同じように署名・押印。印鑑を押すたびに「これで後戻りはできない」と感じながらも、不思議と気持ちは前向きになっていきます。

続いて銀行側の手続きへ。融資金額の最終確認と、住宅の購入金額の確認が行われ、通帳を手にした銀行員の方が奥の事務室へ消えていきました。ここからはしばしの待ち時間。

ちょっとした和みの時間

待ち時間の間、住宅会社の担当者から「観葉植物をプレゼントしますので、お好きなものを選んでください」とうれしい提案が。数種類の候補写真を見ながら、「リビングには背の高いものがいいかな」「ダイニングの横には小ぶりのものでも映えそうだね」なんて、少し緊張がほぐれる会話ができました。

融資実行、そして現実

そうこうしている間に、融資が実行され、住宅購入に関わる一連の支払いも完了。銀行の方が通帳を持って戻ってきて、記帳された内容を見せてくれました。

そこには、確かに一度は4800万円が入金されている履歴が残っています。けれどもページをめくった瞬間、あっという間に残高は100万円強にまで減少。たった数秒で「大金持ち」から「ふつうの人」に戻ったような、なんとも言えない切なさに包まれました。

ちなみに、カーテンレールやキッチンリフォームの費用は、この段階ではまだ支払われませんでした。これらは住宅ローンに組み込まれているため、「通知預金」という形で資金拘束されています。つまり、口座に入金された時点で、すでに自由には使えないお金。勝手に引き出すこともできず、記帳上も減額済みになっていました。

契約完了、次は新居へ

こうしてすべての支払いと手続きが無事に終わり、銀行での契約は完了しました。長かったようで短い1時間、印鑑を押す手が少し重くなる瞬間もありましたが、終わってみれば清々しい気持ちです。

この後、いよいよ新居へ移動して最終確認。新しい生活への一歩を踏み出す準備が整いました。

 

返済予定額が届いた!

先日、銀行から12月までの返済予定額の一覧が届きました。いよいよ現実味を帯びてきた「住宅ローン生活」の始まりです。返済額は約14万円。うちは夫婦で連帯債務なので、いちおう7万円ずつ負担する形です。

これまで住んでいた賃貸の家賃が駐車場込みで7万円弱だったので、私側の負担はあまり変わりませんが、スミ妻側の負担が大きくなっちゃいますね。毎月の給与や売上から天引きされていくわけではありませんが、「これを32年・384か月続けるのか…」と考えると、なかなかズシリときます。

繰り上げ返済をする?しない?

ここで頭をよぎるのが「繰り上げ返済」の存在。ローンの総返済額を減らせる有効な手段ですが、我が家のファイナンシャルプランでは、20年後に残る約2000万円を一括返済できそうな雰囲気があります。もし20年後にその資金を投下すれば、総返済額を約300万円減らせる計算。

けれども、悩ましいのはここからです。20年後に一気に2000万円キャッシュアウトしてしまうのか、それともそのまま12年間で300万円の利息を払ってでも2000万円を手元に残しておくのか。どちらが正しいかなんて、そのときの経済状況や家族の事情によってまったく変わってきます。

キャッシュを残すか、利息を減らすか

繰り上げ返済は確かに「利息を減らす」というメリットがあります。ただし、キャッシュを減らすというリスクもあるわけです。もし20年後に子どもの教育費がピークを迎えていたり、老後資金の見直しが必要になったりしたら、一括返済で手元の現金がなくなるのは不安材料。逆に言えば、余裕があるなら一括返済でスッキリしたい気持ちもある。…結局、未来の自分に判断を委ねることになりそうです。

そもそもプラン通りにいくのか?

さらに忘れてはいけないのが、「そもそも20年後に今のプランどおりになっているのか?」という根本的な疑問です。仕事や収入の変動、物価上昇、社会情勢の変化など、想定外の出来事がたくさん起こる可能性はあります。だからこそ、今から「必ず20年後に一括返済!」と決めるのは少し無謀かもしれません。

結論:今は家計を育てる

そんなわけで、現時点での結論は「繰り上げ返済は可能性として頭の片隅に置いておく」。そして大事なのは、毎月の家計を整え、資産をコツコツ積み立てて「家計を育てる」ことだと考えています。20年後の自分が「あのときちゃんと準備していてよかった」と思えるように、今は無理なく安定的にローン返済と資産形成を両立させていきたいと思います。