今日のテーマ 「帰化申請には標準処理期間が無い!

一、

行政手続においては、通常、標準処理期間という期間が定まっています。
行政手続きの大原則として、
国民・市民が役所に申請等を行った場合、
役所は、法律で決められた一定期間(2週間など)内に、手続を受理し
なんらかの回答等を申請者に返答しなければなりません。
この期間のことを標準処理期間といいます。


余談ですが、昔は行政において この標準処理期間が定まっていませんでした。
なので、一部の役所では、国民・市民から申請書等が提出されても
そこらへんの机に放置して、挙句の果てには何年も処理しない、というようなことが
平気で行われていたことがありました。
ですが、このような事が横行しては 行政手続の本義が失われ、
国民の利益に反する、ということで
最近になって、標準処理期間が法定されるようになったのです。


なので、今では、皆さんが役所に書類を提出したら、
原則として、一定期間内に役所は必ず受理し、手続開始し、場合によっては
皆さんに手続の経過や結果を回答してくれるはずです。

、ここに例外があります。
そう、帰化許可申請については、この標準処理期間が規定されていないのです。
つまり、その気になれば、皆さんから提出された申請を
法務局等が放置していても、原則として違法にはならないのです。
(もちろん、今の大阪法務局の職員の方は、親切で優秀な方ですので、
受け取った書類を放置するということはしない・・・はずです。私の知る限り。)

ただ、法に規定が無いということは、
どこかの地方の法務局で、近い将来において 
不心得者が出てきて、あえて申請者の申請を放置したとしても
文句を言いにくいということです。



二、

このように標準処理期間が定められていない、という事実を見るだけで
この国が外国人の帰化について、どういうスタンスを取っているかが
なんとなく推測できます。

ただ、この標準処理期間の不平等については、
行政側の事情を鑑みると、
一概にその姿勢が悪いとも言い切れないのが難しいところです。

というのも、そもそも帰化というのは、
「日本国民になりたい!日本人にさせて!」と主張する外国人の素行や環境等を見て
①本当に心の底から日本人になりたいと思っているのか、
②日本人となるのにふさわしいかどうか、
③日本の仲間として一緒にこの国を動かしていく人物なのかどうか、を
国がじっくりと観察し、判断し、審査決定する重要な行政手続きです。

仮に変な外国人、たとえばテロリストや反社会的思想の持ち主などを
安易に日本国民にしてしまうと、我々既存の日本国民の利益を
大きく損なってしまいかねません。
そのため、その審査に際しては、限りなく慎重に決定する必要があるわけで、
変に標準処理期間を定めて「〇〇週間以内に処理しなさい」と期限を区切ってしまうと
国による慎重な判断を阻害してしまう危険性もあるわけです。


経験上、帰化のご依頼をいただく外国人の方は
みんな真面目で真摯な方が多い印象を持っています。
その方の立場から見ると、帰化申請の処理期間はできるだけ、
短く的確にして欲しいと思うわけですが、
一方で、国側の事情を考慮すると、安易に帰化を認めるわけにはいかないという
考えも十分納得できます。
帰化という特殊な行政手続の性質ゆえのジレンマですね。


三、


話は変わりますが、
帰化申請を希望する方からよく頂く質問で
「だいたい申請してから いつぐらいで許可が下りますか?」
聞かれることがありますが、
我々行政書士ですら「わかりません」としか答えるしかできない理由の一つは
この標準処理期間の定めが無いことに起因します。


とはいえ、我々行政書士にも、過去の実例におけるデータの蓄積があるので
保障はできませんが、おおよその許可までの期間は
目安としてお伝えできます。
(ただ、帰化申請は色々な要素が絡み合って 手続が進行しますので
事案の難しさや法務局の忙しさなどによって、処理期間が増減します。
あくまで、目安です。)

特別永住者の方で行政書士が関与して、スムーズに書類作成ができれば
およそ7,8ヶ月で できる場合があります。
通常の外国人の方だと、国籍等にもよりますが1年弱でできる場合があります。
本人のみで申請される場合だと、
書類の取り寄せや書類の書き方等で手間取って
申請してから一年強ほどかかる人もいます。
ただ、これも人によってケースバイケースなので
一概には言えません。
しつこいですが、あくまで目安です


大阪の帰化申請のプロフェッショナル
麻生行政書士事務所 
〒557-0051 大阪府大阪市西成区橘1-11-16
ご連絡は 06-7175-9497 まで  24時間年中無休で受付しています^^
今日のテーマ 「帰化の許可は法務大臣の裁量による」


帰化の許可は法務大臣の裁量(法務大臣のその時々の判断)で最終決定します。
帰化審査の最終段階で、申請者の提出した書類は法務大臣の下に送られ、
そこで法務大臣による最後の審査が行われます。
そして、どの申請を許可し、または不許可にするかは
その時の法務大臣の判断にゆだねられている、ということです。


つまり、どういうことかというと、①仮に帰化申請のための書類を
不備なく作ったとしても、許可されるとは限らないということです。

また、②過去に自分と同じ境遇の人が帰化許可を受けたからといって、
自分も同じように許可されるという保障はまったくないということです。

もちろん、「法律による行政」の大原則があるので、
法務大臣の裁量もまったくの無制約というわけではなく、
法律に則って帰化許可が決定されます。
しかし、条文の構成や過去の判例から見て、
帰化における法務大臣の裁量の範囲は
かなり広いと見られています。
私見ですが、よほどの明確な法令違反の事情がない限り、
法務大臣の裁量が違法になるのは無いといっても過言ではないかもしれません。


法務大臣の裁量については、一概にはいえませんが、
その時々の政治状況・国内外の事情によって
許可が下りる件数が左右されている
傾向にあります。
詳しくは、専門の白書を見て頂ければ分かると思いますが、
例えば、その当時の北朝鮮・韓国・中国との親密さの度合いによって、
かかる国民への帰化許可件数が増減しています。
また、特定の国による不法就労などの入管違反が増えれば
そのときの許可申請も慎重になる傾向があるようです。

申請する側からすれば、そんな政治状況や法務大臣の裁量で
自分の人生の一大事が左右されるのは、
理不尽極まりない事に他なりませんが
これがこの国の帰化申請事情です。


日本の帰化の現状に憤ることも もちろん大事ですが、
より大事なのは、
あらゆる事情を想定しても、
なお揺るがぬほどに完璧な申請を
手続の最初から最後まで貫くことです。

自分の帰化申請を少しでも確実に許可されるために
あらゆる手段を尽くすことです。
そのための一手段として、身近な行政書士に頼むことが
私は大事だと思います。

なにも私が行政書士で営業のためにこれを言うのではなく、
たとえ私が行政書士でなかったとしても同じことを言います。
この理由を語ると長くなるので いずれ改めて述べますが、
端的にいうと

①申請者が一人で帰化申請をやると、時間・労力・手間がかかる。

②申請事情に無知であると、ちょっとした不注意をしただけで
 あとで取り返しの無いミスにつながって、不許可になってしまう
 (コレに関しては前回の帰化についても述べました)

③日本において、帰化申請をプロフェッショナルに執り行ってきたのは
 行政書士です。弁護士でも取り扱っている方はいましたが、
 行政書士に比較すると少数です。
 行政書士の業界内では、これまでの帰化申請業務で培ったノウハウが
 あるため、気をつけなればいけない点等に知悉しています。

ということです。
帰化を考えられている方は、お近くの行政書士にご相談されることを
強くオススメします。
僭越ながら、私のHPのリンクで、
自分の条件にあう士業や行政書士を
検索するサイトを
いくつか紹介させて頂いています。皆様の検索の一助になれば幸いです。


大阪の帰化申請のプロフェッショナル
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今日は、帰化申請のお仕事の関係で大阪法務局本局に行ってきました。

帰化についてのパンフレットとか手引きとかマニュアルがあれば持って帰って

依頼者に渡せればイイナァ、と軽い気持ちで行ったのですが、

無条件でもらえた資料は皆無でした。

どうやら、相談員にきちんと申請人の状況を説明しないと、

必要書類の手引き等は貰えないみたいですね。残念 

というわけで、今日は手ぶらで大人しく帰ってきたのですが、

書籍等で帰化申請については、色々調べたので、

今日は帰化についての知っていることと、注意点を少しばかり。



帰化申請のために、大阪法務局を訪れた場合、

まず、3F奥にある国籍課に行かねばなりません。

国籍課に入ると、番号札を取り、相談員との面談を待ちます。

この待ち時間の間に、フロアに備え付けている相談票に

自分の簡単な情報(名前とか家族構成とか)を書きます。

ちなみに、帰化の相談受付時間は、16時までです。

相談員との面談は1時間前後にわたりじっくりと行われるので

帰化の相談は、最低でも15時までに行くようにして下さい。

これが相談票(大阪法務局 備え付け)


で最初の注意点。

①この相談票に適当なことを書かないこと

そもそも帰化申請の審査では、法務局や担当部署は申請者から提出された

色んな情報を精査して、本当に帰化が適当かどうかを判断するわけですが、

その際に重要視される情報の一つとして、申請者の素行を見ます。

そして、素行の良好さの判断材料の一つとして、ウソをつく人間か否か

注意してみています。

そして、判断資料として、初訪問時の相談票も もちろん考慮されています。

さらに、この相談票に基づいて、この後の面談が進められるわけですが、

あいまいな記憶に基づいて、相談票に適当なことを書いていると

後の面談の際に必ず矛盾を追求されます。

相談員に「あれ?相談票には〇〇って書いてますけど、お話を聞く限りでは××ですよね?」

という風になると、相談員の心証も悪くなるし、そのマイナスポイントが後の審査に

どれほどの悪影響を及ぼすか分かりません。

帰化を成就させる確立をより高めるには、法務局に訪問する前から

きちんと準備をし、答える内容をきちんとまとめておくことが大事なのです。

とはいえ、何も難しいことではなく、ご自身のこととご家族のことを

正確に把握しておいて、それをそのまま相談員に伝えるだけでいいのです。

大事なのは、自分の都合の悪いことでも、隠さず正直に話すことです。

ウソは絶対に駄目です。法務局の調査能力を馬鹿にしてはいけません。

具体的に、どの程度の情報をまとめておくべきかは後述しますが、

大まかにいうと

・自分の国籍と日本での居住暦

・自分の現在の職業と年収

・自分の家族の関係図(家族の出生・死亡、自分の結婚・離婚歴
               自分・家族の本名)

・自分の犯罪歴(小さな交通違反も含む)、税金の滞納歴


などをきちんと整理しておくと、面談もスムーズに進みます。

特に家族関係図をしっかり作っておくと、相談員も面談の際に助かると言っていました



以上が、帰化相談に行くまでの注意点です。

次回の帰化についての記事は、帰化手続での注意点の残りと

帰化に至るまでの流れ・所要時間等を書いて行きたいと思います。


大阪の帰化申請のプロフェッショナル
麻生行政書士事務所 
〒557-0051 大阪府大阪市西成区橘1-11-16
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大阪行政書士会の総会に出席してきました



何の因果か受付のお手伝いをすることになりまして、
ハイアットリージェンシーホテルに9時入り。
10時開場に向けて、来場者の名簿チェックしたり、名札用意したりと
色々な仕込みに奔走。

結局、受付は14時まで行い、つつがなく完遂v(´∀`*v)
で、16時まで総会に出席し、
18時からの懇親会に参加。

18時からの懇親会は、まさかの立食パーティー!!!
お恥ずかしながら、30年生きてきて、立食パーティーって初めてで
テンション上がりまくりですΣ(゚∀゚)

料理も美味しかったし(すぐ無くなったけど(´;ω;`) )
お酒も飲み放題!
・・・とはいえ、懇親会という会の性質上、
メインは飲み食いではなく、
来場者との親睦を深めることが大事なのは百も承知です。

食事そっちのけで、ここぞとばかり
同じ支部の先生方にご挨拶、
ひいては、貴重なご指導を仰いできました(´∇`)



昨日一日を通じて、西成支部との先生方はもちろんのこと、
他の支部の先生方とも交流を深めることが出来、
色々と貴重なアドバイスを受けることが出来ました。
(自分の不見識に気付くことが出来たり、
新しい業務の切り口のヒントをたくさん頂きました♪)


参加するまでは、正直、行政書士総会や懇親会の意義を過小評価していたのですが、
実際、参加してみて、その認識は大きく間違っていたと気付かされました。
当たり前の話ですが、
やっぱり 人と人とのつながりはとても大事で、
しかも、人との出会いは自分からアクションを起こさないと、
決して発展しないことを改めて教えて頂きました。
(今更ですが、再認識させて貰いました;^_^A)

行政書士は独立独歩の職業です。
自分と依頼者だけの関係に終始しても仕事は成立しうるので、
極論すれば、社会や組織団体から孤立しても、仕事に直接的な支障は生じません

でも、そんな独立性の強い職業、下手すると孤立しやすい職業だからこそ!
普段からの人とのつながりが
他の職業よりも大事だと気付かされた一日でした♪
以前、私は関西ローカルの某ラジオ番組の法律相談コーナーの

一部門を担当していたことがあり、身近な法律紛争についての相談案件を目にする機会が

多々ありました。

色々な種類の相談がありましたが、お金や家族関係のトラブル、隣近所のトラブルのほか、

ペットに関するトラブルの相談が多く寄せられていたように記憶しています。

その中で、今日はペットによる事故・損害について、軽くお話させて頂きます。


Q ペットの咬みつき事故、鳴き声・悪臭等のトラブルが起きたら
  どうすればいいか



1 民事での損害賠償問題の原則
 
 ペットの咬みつき事故や、鳴き声が異常にうるさい・異常な悪臭がただよって困っている、

等の事情により、何らかの損害が発生した場合には、ペットの飼い主に対して

損害賠償が可能です(民法718条)

 この場合、被害者は、①自分が受けた損害を立証し、②損害を与えた動物が加害者の

ペットであることを立証すれば、賠償請求が認められます。

 これに対し、加害者(つまりは飼い主)側は、自分が飼い主として

相当(十分)な注意を尽くしたことを立証すれば、賠償責任を免れることができます。

 しかし、この免責について裁判所は厳格に捉えていて、裁判例上、

きわめて認められにくいものとなっています。

 つまり、ペットが他人に損害を与えた場合(特に人を傷つけた場合、

よほどの事情が無い限り、賠償の責任を覚悟してください



2 事故が起きたとき、被害者側が調達すべき証拠

 ① 当該動物が、飼い主のペットであることを示す証拠
  (※ まれに飼い主が責任を逃れるために、自分のペットではないと
    しらばっくれることがあるため)
  
  ・ 事故状況の写真、飼い主が紐などでペットをつないでいた写真など

  ・ 当該動物が飼い主のペットであることを証言するの周辺住民の陳述書

 ② 動物による被害の内容を示す証拠
  
  ・ 診断書、診療報酬明細書

  ・ (鳴き声被害の場合)録音テープ、ビデオテープ
  
  ・ (悪臭被害の場合) 臭気測定器の結果

3 事故が起きたとき、加害者側が調達すべき証拠

 ① 自分が飼い主として十分な注意を払ったことを証明する証拠
   ( ※ 裁判例上、動物の種類・年齢、動物の性格、動物の加害前歴、しつけや訓練
     保管態様、被害者の対応等を考慮して、注意義務違反かが判断される)
 
  ・ 当該動物が一般的に有する性格を示す文献
   (この犬種は一般的に大人しい・荒々しい性格を有する等)

  ・ 当該動物が有していた性格について、飼い主の周辺住民の証言

  ・ 当該動物を飼育していた普段の状況を示す写真、ビデオ
  
  ・ 当該動物を管理していた際につかっていたリードや鉄鎖、飼育箱など
 
 ② 被害者側の過失を証明する証拠
    (これを提示することで、過失相殺を主張し、賠償額の減額を主張します)
 
  ・ 被害者側の事故時の行動の証言
   (飼い主による証言、できれば目撃者の証言) 
   (※ 例えば被害者がペットへ軽率な接近をした、ペットを挑発した等)


4 その他、行政に対してとるべき手続   
 
 ① 犬に咬まれたとき
   
   ・咬まれた被害者が、
   ・最寄の保健所に、
   ・事故後なるべく早く
   ・犬によるこう傷被害届
(保健所でもらえます)を
    提出する
   ・届出の際に必要なのは 被害者の印鑑 です
  ※ この届出は義務ではないが、これが出されないと
    咬んだ犬に対して狂犬病検査を行うことができません。
    加害者・被害者 双方のためにも 被害届の提出が望ましいです。

 ② 飼い犬が他人を咬んでしまったとき
   
   ・咬んだ犬を飼っている飼い主が、
   ・最寄の保健所に
   ・事故後24時間以内に(自治体によって異なります)
   ・事故発生届出書
(保健所でもらえます)を
   提出する
   ・持参物は特に無いが、犬の登録番号を書かなければならないので
    鑑札や狂犬病予防注射証明書などを用意しておくと良いです。
  ※ ちなみに、この届出は義務です

   さらに、上記届出に加え
    ・咬んだ犬を飼っている飼い主が、
   ・最寄の動物病院に
   ・事故後48時間以内に
   ・獣医師に狂犬病の検診をしてもらい、
    その検診証明書を最寄の保健所と被害者に渡さなければいけません

  ※ ちなみに、この届出も義務です


なお、麻生行政書士事務所は、上記の証拠収集のお手伝いや
賠償額の算定、行政への届出手続も承っています
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