女性記者が窓際でタイプを打っていると、
向かいのマンションのに男の姿が。
手も顔も血で真っ赤に染まり、
瀕死で助けを求めている。
警察に通報し部屋へ向かうが、
痕跡も遺体もない。
腰をおろした白いソファーの裏に、
赤いシミがあることを誰も気づかない。
 

 

 
悪魔のシスター 
ブライアン・デ・パルマ監督
1973年
マーゴット・キダー
チャールズ・ダーニング
ジェニファー・ソルト

 

オープニングクレジットから
すでに物語がはじまっているんです。
画面いっぱいに映し出される胎児の写真
だんだん成長して、
目・鼻・口がはっきりしていく。

「いよっ!デパルマ屋!」

掛け声(大向こう)をかけたくなるような
スリリングで気色の悪い演出が最高!
 

ヒッチコック「裏窓」「サイコ」臭が強め。

クセになる後味。

江戸川乱歩「人間椅子」「双生児」など
怪奇小説風でいいですよ。
 
おもちゃの行進のような不気味なメロディ
バーナード・ハーマンの恐怖音楽に
ぞくぞくしちゃいます。
 

 

  感想

 

深層心理をのぞく。
 
扉の向こうで、向かいのビルで
どんな人が何をしているのか?
隠しているものをのぞいてみたい
という欲求。
今作は、のぞきクイズ番組、
やエレベーターの
心を覗く催眠が登場するホラー作品。
 
モデルのダニエルはカナダからNYへ引っ越したばかり。
友達がいない。
双子の妹の不在を嘆く。
 
妹が去ってからは、とても孤独よ。
心が通じあう人がいない。
 
TV番組で知り合った男と
寂しさを埋めるように、一夜をともにする。
翌朝、男が目覚めると
彼女が誰かと言い争っている
 
「きょうは私たちの誕生日なのに
あんたは男と一晩中遊んで
私は精神病院に…」
 
どうやら妹ドミニクが押しかけ、
文句を言っているらしい。
 
頭痛がする彼女のために、男は薬局へ。

ふと思いついてケーキ屋に立ち寄る。

「お祝いのメッセージはどうしますか?」
「ダニエルとドミニクでお願いします」
生クリームの上にピンクのデコレーションをあしらった愛らしいケーキ。
ベビーピンク色のクリームで
HAPPY BIRTHDAYの文字が書かれる。

男はケーキにロウソクを立て火をともす。

さぁ、これでよし。
お祝いの準備ができた。
彼女が休んでいるベッドまで
ゆっくり、そぉーっとケーキを運ぶ。
 
「おめでとう」
 
そして・・・
 
瀕死の男が這って窓へ。
向かいのビルへ助けを求める。
窓際で仕事をしている女が気づく
なんてこと!
人が刺されている。
このシーンの演出が面白い!
画面が2つ分割される
スプリットスクリーン手法が用いられています。
同時に起きていることが一目瞭然。
側では、女が警察へ通報するが
事情聴取にモタモタ。
側では証拠隠滅が進んでいく
ダニエルは何事もなかったように化粧をする。
ようやく問題の部屋に到着した警察。

刑事と一緒に目撃者グレースは各部屋を確認する。
クローゼットをのぞく
なんだか妙な違和感をかんじる。
「なぜ同じ服が2着ずつあるの?」
「予備のためよ」
ダニエルの首の十字架がキラキラ輝く。
警察は「事件性がない」
取り合ってくれない。
 
しかし、グレースは記者としての血が騒ぐ。
絶対に怪しいわ。

 

彼女は捜査する気のない警察を見返そうと
探偵を雇うことに。
きっと死体を運び出すはず。
部屋に手がかりがあるはず。
部屋に忍び込む探偵を
向かいのビルから双眼鏡でのぞく
探偵は手がかりをつかんだらしく、
窓から合図をおくる。
あっ!
数人が入ってきた。
見つかる、見つかる!
あわてて電話をかけて知らせる。
この展開が、映画「裏窓」っぽくて嬉しい(*^。^*)
グレースは、
ダニエルの乗ったタクシーを尾行し、
ある場所へたどりつく。
猪突猛進タイプの彼女は、
一人で乗り込んでいく。
そこで、彼女がのぞいた驚愕の真実とは。

 
「殺人はなかった。死体もみなかった。」
警察の質問に、そう繰り返す彼女
 
「一体どうしたんだ?
あれほど殺人事件だと言い張っていたのに」
彼女に何が起きたのか?
 
本編でお楽しみください。
 

ちなみに、

同監督作品「レイジング・ケイン」のレビュー⇒こちら

「キャリー」⇒こちら  
「アンタッチャブル」⇒こちら