女性記者が窓際でタイプを打っていると、
向かいのマンションの窓に男の姿が。
手も顔も血で真っ赤に染まり、
瀕死で助けを求めている。
警察に通報し部屋へ向かうが、
痕跡も遺体もない。
腰をおろした白いソファーの裏に、
赤いシミがあることを誰も気づかない。
オープニングクレジットから
すでに物語がはじまっているんです。
「いよっ!デパルマ屋!」
掛け声(大向こう)をかけたくなるような
スリリングで気色の悪い演出が最高!
ヒッチコック「裏窓」「サイコ」臭が強め。
クセになる後味。
江戸川乱歩「人間椅子」「双生児」など
怪奇小説風でいいですよ。
モデルのダニエルはカナダからNYへ引っ越したばかり。
友達がいない。
「きょうは私たちの誕生日なのに
TV番組で知り合った男と
寂しさを埋めるように、一夜をともにする。
翌朝、男が目覚めると
彼女が誰かと言い争っている。
あんたは男と一晩中遊んで
私は精神病院に…」
どうやら妹ドミニクが押しかけ、
文句を言っているらしい。
頭痛がする彼女のために、男は薬局へ。
ふと思いついてケーキ屋に立ち寄る。
「お祝いのメッセージはどうしますか?」
生クリームの上にピンクのデコレーションをあしらった愛らしいケーキ。
ベビーピンク色のクリームで
HAPPY BIRTHDAYの文字が書かれる。
男はケーキにロウソクを立て火をともす。
さぁ、これでよし。
お祝いの準備ができた。
彼女が休んでいるベッドまで
ゆっくり、そぉーっとケーキを運ぶ。
「おめでとう」
そして・・・
向かいのビルへ助けを求める。
窓際で仕事をしている女が気づく。
なんてこと!
このシーンの演出が面白い!
画面が2つに分割される
スプリットスクリーン手法が用いられています。
同時に起きていることが一目瞭然。
右側では、女が警察へ通報するが
事情聴取にモタモタ。
左側では証拠隠滅が進んでいく。
ダニエルは何事もなかったように化粧をする。
クローゼットをのぞくと
なんだか妙な違和感をかんじる。
「なぜ同じ服が2着ずつあるの?」
「予備のためよ」
警察は「事件性がない」と
取り合ってくれない。
しかし、グレースは記者としての血が騒ぐ。
絶対に怪しいわ。
彼女は捜査する気のない警察を見返そうと
きっと死体を運び出すはず。
部屋に手がかりがあるはず。
部屋に忍び込む探偵を
向かいのビルから双眼鏡でのぞく。
探偵は手がかりをつかんだらしく、
あっ!
数人が入ってきた。
見つかる、見つかる!
あわてて電話をかけて知らせる。
グレースは、
ダニエルの乗ったタクシーを尾行し、
猪突猛進タイプの彼女は、
「殺人はなかった。死体もみなかった。」
警察の質問に、そう繰り返す彼女。
「一体どうしたんだ?
彼女に何が起きたのか?
本編でお楽しみください。
ちなみに、
同監督作品「レイジング・ケイン」のレビュー⇒こちら
「キャリー」⇒こちら
「アンタッチャブル」⇒こちら