幼少期は人生で一番大切な人格をつくる時期
君の子を特別なプログラムに任せてみないか?」
心理学者の言葉に、子育て中の母親が笑いとばす。
「観察なんてそれじゃあモルモットじゃないの。うちの子には必要ないわ」
「レイジング・ケイン」ブライアン・デ・パルマ監督1992年
ジョン・リスゴー、ロリータ・ダヴィドウィッチ

レイジングとは、育てるという意味。

「サイコ」×「殺しのドレス」×「アンタッチャブル」
三作品による三つ巴の演出バトル!
瞬きできないクライマックスに胸躍ります。
思わず巻き戻してスリルのおかわりしちゃいました(*^_^*)
ストーリーがシンプルに作られているので、
その分、幾重にも積み重ねられた演出と、
1人5役ジョン・リスゴーの演技が光ります。

 
【あらすじ】
心理学者カーターは、育児方法をわが子で試し、本を出す予定。
しかし、妻は夫に違和感をおぼえはじめ・・・


【感想】
人の中に潜む残忍な心。
夫は気が優しく子煩悩愛妻家
妻は女医の仕事を精力的にこなし、夫の夢を応援している。

しかし、夫にも妻にも心の奥に秘められた顔がある。

サイコパスの以上に変化するの顔が強烈です。

もうすぐバレンタイン。
時計がずらりと並ぶ専門店で夫への贈り物を選ぶ妻。
突然、一人の男が現れた。
彼女の表情がせつなさから恍惚の顔に変わっていく。

久しぶりに会ったジャックは昔のまま、ハンサムで魅力的。
まだ私のことを忘れられないみたいだわ。
胸が高なり、期待が膨らむ。
「こちらの時計も買うわ」
夫に選んだ時計よりも、おしゃれな品を選ぶ。
イタズラ心が湧いてくる。
カードにメッセージを書き、ホテルの部屋の引き出しへ包みをしのばせる。

本能のままに動いていく女の顔になった途端、
母親の顔は消え去りという別人格が現れる。
彼女の衝動が、不安定な夫の心に追い打ちをかけることになるとも知らず・・・
私が一番恐ろしかったのは、病院の場面
ジェニーが独身の頃の回想シーンです。

病室のTVで流れる新年のカウントダウン
女医ジェニーは、闘病中の妻を介護するジャックに恋していた。

ベッドには点滴の管でつながれたジャックの妻が眠っている。

カウントダウンとともに2人の顔が近づいていき、唇が重なる。

ジャックが女医の肩越しにTVの画面に目をやると・・・

妻がこっちをみつめている!あわてて振り返るジャック。
こちらを凝視する大きく見開いた目

!!!!

心肺停止の音が病室にひびく。

浮気が人を殺す。
しかし、ジェニーはうろたえもせず
冷静沈着な医師の顔になり蘇生処置をはじめる。

サイコキラーでなくても、人には残酷な顔がある。

ジャックの亡くなった妻も、ケインが手にかけた被害者も、
同じ表情をして絶命するという・・・描写の面白さ。

そして、
精神的に傷をつけられれば、つけられるほど、
夫の心に眠っていた悪魔が呼び覚まされる。

物語が加速していき、ジェニーは強い母になり、夫に襲いかかる。
「娘はどこなの?」
そして、怒涛のクライマックスへ。

娘の居場所をつきとめようと、車を走らせるジェニー。

たどりついたモーテルのエレベーターに乗り込むと、隅には・・・。

息をのむ瞬間です\(゜ロ\)(/ロ゜)/おぉっ

娘がマミー、マミーと泣きじゃくりながら、手を伸ばす。
ベビーカーがゆっくりと動き出す。

頭上にふりおろされるナイフ。
3階から、幼い娘が落ちていく。

母親が慌てて駆け寄る。
しかし、娘はフルーツ、人形、雨と一緒にスローモーションで下へ。

2階では、警官が。

1階では、ジャックが幼女をうけとめようと走り出す。

ジャックの前には、トラックがバックしてきた。
車の荷台から、先が鋭く尖った荷物が突き出ている!

男がピストルを撃つ。

ジェニーが悲鳴をあげた・・・

一つの画面に、
すべての動きが入っているこの映像!

見事なクライマックスに脱帽です。

デパルマ監督のいやらしい演出が炸裂してますので
ゾクゾクしてくださいね(^_-)