「いいわね、夏休み」
女教師がつぶやく。
演劇部の女子高生たちに、
お待ちかねの夏休みがやってきた!
リーダー格”オシャレ”の伯母の屋敷へ
遊びにいく。
田舎の景色、おいしい空気、
自由に羽をのばす娘たち。
車椅子のおばちゃまが微笑みながら
「あなた達が来てくれたおかげで、元気になるわ」
 
「ハウス HOUSE」
大林宣彦監督 1977年
池上季実子 大場久美子
神保美喜 南田洋子
尾崎紀世彦 小林亜星
 
お盆が近づく
なぜか観たくなる「時をかける少女」
今回は監督一作目「ハウス」初鑑賞しました。

 
大林宣彦監督の作品は
亡くなった人の声に
耳をかたむける。
死者の想いを聴く。
あちらの世界とこちらの世界を
優しくつなぐ物語が多いですね。
 
今作は死者の想いを
陽気でコミカルなホラー仕立てにした娯楽作
古いアルバムを開くと
セピア色の写真が語りはじめる。
 
大切な人と過ごした日々、
亡くなった人を偲ぶ深い想いがふわ~っと広がっていく。
シンプルなお話だけど
日本のノルタルジーと海外のポップの二刀流です。
 
「雨月物語」「牡丹燈籠」「化け猫騒動」怪談話
「ドラキュラ」のように若い女の血を吸うバンパイア
「ジョーズ」のように人を餌食にするパニックもの。
戦争の影、死者のがただよう悲話
若者のキラキラした青春
 
それらの材料大きな鍋にほうりこみ、
ファンタジーやコメディという香辛料で味を調えた
エンターティメントな一品に仕上がっています。

 
【感想】
匂い立つ若さはじける
7人の女子高生。
とにかく若い!
キラキラしたエネルギーが眩しい!

 
池上季実子
大人びたドキッとするような色っぽさ
大場久美子
可憐な仕草と大仰な演技の楽しさ!
神保美喜
パンツで空手、跳び蹴りする美脚!
松原愛
メガネをはずすと意外と美人のガリ勉。
7人のキャラクターとニックネーム
コミック漫画のようでユーモラス。
制服姿の女子高生2人が腕を組み、
ぴったりくっついて石段を降りてくる。
耳元でおしゃべりしたり、
ケラケラ笑いながら「そうよねぇ~」って頷き合う姿。
監督が「かわいいなぁ」って
目を細めてうっとりしている姿が
目に浮かびます。

 

無邪気で自由きままな女の子たちが
田舎の屋敷にやってくる。
おばちゃま羽臼香麗 ハウスカレー、このダジャレ好き(笑)にとって、
彼女たちは飛んで火にいる夏の虫
白いペルシャネコの瞳が光ると、なにかが起きる!
 
画的に好きなのは、
入浴したオシャレちゃん(池上季実子)が
三面鏡の前に座るシーン。
白いネグリジェに長い黒髪をとかす姿は
貞子のようで、ぞくっと神秘的。
魂がぬけたような目つき、真っ赤な紅を唇にぬり、
金襴緞子の帯をしめ、白無垢の花嫁姿に。
美しい~~。横溝正史っぽくて萌えます。
一方、メロディーちゃんは
ピアノを弾く手がとまらない。
ピアノの蓋がパクパク動きはじめ
彼女の指が鍵盤の上を踊る指先のコワ面白さ!
可愛い女の子たちが
キャーキャー腰をぬかしながら
家に食べられていく様子が、
可愛くて可笑しくて
ツッコミどころいっぱい♪
そして、オシャレちゃんを追って
お父さんの婚約者がやってくる!
化粧品やお酒のCMのような、カット!
ニヤニヤが止まりません(≧∀≦)ぷぷぷ
常に風がふきスカーフがなびく。
どこをみているのか、
わからないようなキラキラ輝く瞳。
笑みを浮かべながら、遠い目をしています。
もう、クセが強すぎて(#^m^#)
ミステリアスで破滅に導く魔性の女っぽい女優さん。
鰐淵晴子さんは金田一耕助シリーズや映画でも
お馴染みのかたですよね。

 

なんというか・・・
女性陣のキャラクターが
大渋滞!

「お友達はまだ寝ているの?
 
「ええ、でもそろそろ起きる頃ですわ。
目覚めるとお腹がすきますもの」
 
遊園地のお化け屋敷が好きだった私にとって
アトラクション気分で楽しみました。
「時をかける少女」レビュー⇒こちら
「本陣殺人事件」レビュー⇒こちら