朝起きると、また昨日がやってきた。
古典の先生のネクタイも同じ柄、体育館の会話も地震も火事も昨日と同じ。
来るはずの明日がこない。
明日の私は、どうなってしまったの?
(画像お借りしました)
公開時、薬師丸ひろ子さんの「探偵物語」と2本立てでした。
ラベンダーの香りといえば、この作品。
80年代の匂いがぷんぷん漂う懐かしさ。
フラスコからただよう白い煙、紅茶の湯気、たき火の煙。
エキストラの若者たちがリズムをとりながら、カメラ目線で歌う姿。
学生たちの名前がずら~~~~と並びます。
あぁ、監督って、若い人たちを応援する気持ちの強い人だなぁ。
愛情たっぷりだなぁ・・・って。
しかも締めくくりが、原田知世さんの笑顔でしょう?
画面いっぱいに広がる爽やかさと若さ!
新しさ×ノルタルジック=大林宣彦ワールド
あらためて、新鮮な映像だなぁと再認識しました(^ー^)
【ネタバレ感想】
本編が始まる前に、テロップが映ります。
現実よりも理想の愛を知ったとき
それは幸福か不幸か?
昔、どういう意味なのか、ピンとこなくて。
ただポカーンとみていたんです。
今は、せつない幸福って思える。
私が大好きな場面は桃栗三年柿八年のシーン。
ひなまつりを幼馴染の男の子と2人きり。
嵐と雷の晩、障子の外に庭の枝のシルエットがうつります。
ホラー風味でミステリアスなんです。「もも、くり、3ねん。 かき、8ねん。ゆずは9年でなりさがり~」
追いかけっこして、鏡台が倒れる。
割れた鏡の破片で手を怪我する女の子。
破片をとってあげようとした男の子も、親指を切る。血がにじむ。
互いの指の傷をなめあう。
こうした無邪気さの中にあるエロティックな妖しい味わい。
秘め事のようなシーンが面白い。
和子ちゃんの幼心に芽生えた淡い恋心。
その特別な記憶が、もしも別人との思い出だったら・・・?
「あなたは昔から優しかったわね」
謎めいた同級生が、初恋の相手だと思い込んでいたのに。。
「まさか、そんなはずないわ」
から
「そうだったのね」
に変わっていく。
ぐっと成長した瞬間がみえますねぇ。
謎の青年の言葉が、優しくよりそいます。
「あの歌の続きはウソじゃない。僕の本当の気持ちだよ。」
好きな人と一緒にすごす幸せな時間、
「時よこのまま止まって!」と願う。
でも、非情にも、現実の時計の針は進んでいく。
ふたたび時がめぐりあう優しい結末。
ほのぼのと温かい気持ちになります。
今はまだ互いに気づかなくても、
きっと2人はこれから・・・
未来に対して
「若者よ、怖がらずに希望を持って歩いていきなさい」
そんなメッセージを感じるSFファンタジーです。
「ハウス HOUSE」レビュー⇒こちら