角館を後にし、車は玉川温泉へ向かって走り出しました。
しばらくは田畑が広がる平地が続き、周囲にはまだ夏の名残を感じさせるような濃い緑が広がっています。
そして、道が次第に山へと分け入っていくにつれ、景色は深い緑に包まれていきました。
やがて道路の右手に現れるのが、鮮やかなコバルトブルー――瑠璃色とも言える宝仙湖と、玉川の渓流です。
この独特の湖の色は、玉川温泉を源とする強い酸性の水に含まれる成分や、微細な鉱物粒子が光を反射することで生まれるものだといわれています。
自然がつくり出した色とは思えないほどの鮮烈さに、思わず見入ってしまいました。
標高が高くなるにつれて、風景はさらに表情を変えていきます。
八幡平大沼の入口付近まで来ると、山肌にはうっすらと色づき始めた木々が見え、秋が確実に山から降りてきていることを感じさせてくれました。
平地との季節のズレが、旅の気分をいっそう高めてくれます。
さらに車を進めると、今度は湿原の近くへ。
開けた空と草原が広がり、どこか静けさをまとった風景が続きます。
派手さはありませんが、足を止めて深呼吸したくなるような、八幡平らしい穏やかさが印象的でした。
そして、ついに玉川温泉を見下ろす場所へ。
谷あいから立ち上る白い湯煙が目に入った瞬間、思わず気持ちが高鳴ります。
「ああ、来たな」という実感とともに、胸の奥がじんわりと熱くなる感覚。
玉川温泉は、温泉好きにとってまさに憧れの地です。
山の紅葉、湿原の静けさ、そして湯煙――この道のりそのものが、玉川温泉への序章のように感じられたドライブでした。
次はいよいよ、あの強烈な湯と対面です。


