今回の旅の目的のひとつは、かねてから憧れていた「斜陽館」を訪れることでした。
青森県金木町(現在の五所川原市)にある斜陽館は、言わずと知れた文豪・太宰治の生家です。
太宰が旧制中学に進学するまで過ごした家であり、その後も節目ごとに訪れたことが知られています。
建物は、戦後に旅館として利用された時期に「斜陽館」と名付けられ、現在は文化財として保存され、全国から多くの人が訪れる人気スポットになっています。
私も、中高生の頃に太宰作品を読んだ一人。
『斜陽』『人間失格』『津軽』……と有名どころには触れたものの、当時は金木町や津軽の風景がどうにも想像しづらく、「どんな場所なんだろう」とずっと気になっていました。
大人になってもその思いを持ち続けていたのですが、ついに今回、念願かなって足を運ぶことができました。
そして運命の当日。
空はこれでもかというほどの青空。
受付では優しいスタッフさんに迎えられ、いざ館内へ。
二階建ての建物は広々としていて、和洋折衷の造りや装飾に当時の暮らしぶりが感じられます。
特に2階の襖や調度品は、当時の暮らしの豊かさや格式の高さを感じさせ、思わず足を止めてじっくり見入ってしまいました。
手入れの行き届いた中庭も見事で、静かな時間がゆっくりと流れていきます。
周囲を散策すると、太宰作品に登場する場所やゆかりの風景が点在していて、「太宰はこの景色を見ていたのか」と思わず立ち止まってしまう場面も。
作品の世界と現実の風景が重なるような、不思議で心地よい余韻の残る時間でした。





