昨年の9月下旬、秋田へ温泉旅に出かけました。
本来の目的地は那須湯本温泉でした。
ところが連休中ということもあり、「ここまで来たなら、もう少し先まで行ってみてもいいのでは」と、運転席で突然ひらめいてしまったのが運の尽きです。
気がつけば行き先は白紙。
計画性という言葉は、この時点で車のトランクに置き忘れてきたようでした。
とりあえず「暗くなるまで走れるところまで走ろう」と、実に大ざっぱな方針だけを掲げて車を進めました。
そして夕方、たどり着いたのが秋田県横手市でした。
運の良いことに、駅前に最近オープンしたばかりのビジネスホテル「HOTEL NOSTAL YOKOTE」がオープンセール中。
料金は良心的で、「これは泊まれということだな」と都合よく解釈し、今夜の宿に決定しました。
館内は新しく、とても綺麗。
バルコニーには電飾で彩られた椅子が並び、横手の市街地を一望できます。
無計画で走ってきた割に、なかなか絵になる景色でした。
少し落ち着いたところで、駅の様子を見に行ってみました。
すると構内には、シンガーソングライター・高橋優さんのポスターがあちこちに貼られています。
さすが秋田出身。
「ここは優さんのホームタウンなのだな」と、旅先に来た実感が一気に増しました。
さて、次は食事です。
駅前をぶらぶらしていると、ひときわ賑わっているお店「かしらや」を発見しました。
恐る恐る覗いてみると、長いカウンターが印象的な、昭和の空気が色濃く残るお店です。
「これは当たりかもしれない」と直感を信じて中に入り、生ビールとおすすめの焼き鳥を注文しました。
――美味しい。
しかも一本60円。
思わず値段を二度見しましたが、どうやら見間違いではありませんでした。
タレも塩も文句なしで、箸が止まる気配がありません。
名物の「梅割」もいただき、気分はすっかり上機嫌です。
ホテルへの帰り道には、「横手やきそば」までいただいてしまいました。
満腹中枢が仕事を放棄するのも、旅の夜ならではです。
翌朝はホテルの食堂で朝食をとりました。
焼きたてのパンがとても美味しく、前夜の食べ過ぎを一瞬だけ忘れさせてくれました。
無計画から始まった旅でしたが、振り返ってみると、こうした偶然の積み重ねこそが旅の醍醐味なのかもしれません。





