山あいの温泉街を歩いて、湯けむりを見つけると、ついつい近寄ってしまいます。
ところが、驚くような場所にも「湯」が湧いています。
それが――海底です。
科学的には「海底熱水噴出孔」と呼ばれる場所で、地球内部の熱によって温められた熱水が、海底から噴き出しています。
海底熱水の温度は場所によって異なりますが、350~400℃程度に達することがあります。
「400℃の温泉?」
温泉好きとしては興味津々ですが、もちろん入浴はできません(笑)。
なぜそんな高温でも水が沸騰しないのか。
その秘密は深海の水圧です。
深い海では数百気圧もの圧力がかかるため、水の沸点が大きく上がります。
そのため、地球内部の熱で強烈に加熱されても、熱水は液体の状態を保つことができます。
海水は海底の岩盤の割れ目から地下へ入り込み、マグマなどの熱で加熱されます。
その過程で岩石と化学反応を起こし、鉄、銅、亜鉛などの金属や、硫化水素、水素、二酸化炭素、メタンなどを取り込みます。
つまり、海底から出てくる熱水は、単なる「熱い海水」ではありません。
岩石からさまざまな成分を溶かし込んだ、地球の天然エキスともいえます。
そして、この熱水が冷たい海水と混ざると、金属の化合物などが沈殿します。
これが黒い煙のように見えるのが、いわゆる「ブラックスモーカー」です💨
さらに驚くのは、この過酷な環境に独特の生態系が存在すること。
太陽の光が届かない深海なのに、熱水に含まれる硫化水素や水素などの化学物質をエネルギー源として生きる微生物がいます。
その微生物を利用して、エビや貝などさまざまな生物が暮らしています。
つまり海底熱水噴出孔は、「地球の熱」と「生命」が出会う場所でもあるのです。
もちろん、400℃の熱水に入ることはできません。
「海底温泉に入ってみたい!」
と思っても、温泉好きの私でもさすがに遠慮します😅
でも、温泉に浸かりながら、
「このお湯も、地球内部で生まれたんだよな」と考えると、いつもの温泉が少し違って感じられます。
その湯の向こうには地下の世界があり、さらにその先には――
海底から湧き出す、誰にも入れない究極の「秘湯」があるのです。
参考:ウィキペディア(熱水噴出孔)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E6%B0%B4%E5%99%B4%E5%87%BA%E5%AD%94
