YAMAHA STAGEPAS 1K | MacとXPERIA、それにヤマハとベリ。

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音楽とデジタルと、自分のエゴについての備忘録。


追記。新型発表前の執筆です。

日本国内のレビューほとんどないから、誰も買わなくてSTAGEPAS史上、最速の生産完了になったのかな…。まぁ、続編は出るだろうけど。


1Kというのは1キロWの出力ということで、シリーズ最大である。

中高音域用の細長いラインアレイスピーカー部分に、1.5インチの小さなユニットを10基搭載。そして低音域用に12インチサブウーハー。その部分に操作系統、接続ジャックなど全て集まっている。
ラインアレイは190W、サブウーハーは810Wの出力とのこと。お決まりのClass-Dアンプで駆動だ。



昨今ではすっかりお馴染みになった、ウーハー上部にラインアレイ型スピーカーを差し込むだけの簡単設計。

ただ、ロックされるわけでもないこの方式は、差しっぱなしにする設備用としての購入ではないので、頻繁に抜き差しすることを考えると、接続端子の強度に不安は残る。

 


ミキサー部分はSTAGEPASシリーズ共通のアナログライクのものだが、本機はデジタルミキサー。

iPhoneのアプリで操作できる。

ただし、本体のツマミはそれに追従するものではないし、このアプリ自体、すこぶる操作性が悪い。加えてiPad版はない。

マイク/ラインがのモノラルチャンネルが3つ、Bluetooth兼用のステレオチャンネルがひとつの合計5チャンネル仕様となっている。

本機に先行しているSTAGEPAS 600BT/400BTに比べてもこのチャンネルの少なさはなんなのだろうか。単純に、ツマミのスペースの違いなのか。

BOSEのL1Proシリーズよりは多いが、EVのEvolveシリーズの秀逸性には全くかなわない。そもそもこの部分なんて本番中そうそういじれないんだから、こんなにツマミいらないだろうと思うが、誰にでも簡単に、のコンセプトだからいたしかたないのだろうか。



背面接続端子部分はこんな感じ。

モノラルチャンネルはコンボタイプ。しかもロック付きだ。

未だに疑問な、フットスイッチによるリバーブのオンオフもできる。YAMAHAはアナログミキサーやSTAGEPASシリーズから絶対にこれを排除しないのだが、なんのポリシーなのか。理解に苦しむ。



底面にはゴム足が付いている。

これにより数ミリ地面から浮く。

ウーハー筐体は、スピーカーグリル部分を除き、底面を含めて全面がプラスチックのザラザラした仕上げ。傷は目立たないが、汚れがつくとへたな布などで拭くとボロボロなって大変そうだ。

ちなみにスピーカーグリル部分はつるっとしたスチール製。



これが中高音域用の細長いラインアレイスピーカー部分と高さ調整用のスペーサー。

サイズは高さがラインアレイスピーカー部分は582mm、スペーサーが555mmと3cmほど違うものの、幅と奥行きはそれぞれ67mm/86mmと全く同じ。

すっきり1本にまとまるこのデザインは美しい。



これが付属のカバー。

サイドにあるYAMAHAマークが付いたポケットにはラインアレイスピーカー、スペーサーが収納できる。

上部にはフラップがあり、ウーハー本体のハンドルをつかむことができる。

ラインアレイ収納部と反対には、ポケットが大小2つ。


 

スペーサーを2つかませてセットすると、高さは2,242mmとなり頭の高さをゆうに超える。

お客さんが座りの時は、距離によっては2つで丁度いいかもしれない。それだと1,687mmとなる。



自身初のコラムスピーカーということで、なかなか音像のセパレート感に慣れない。

ラインアレイ部分を高くすればするほど、それは増大する。

従来のスピーカーは点音源といわれている。指向角度は水平60°前後で、垂直に広いのが特徴。

間近での音圧に優れるが、垂直に広いのがあだとなり、天井や床に音が反射してしまい、スピーカーからの距離が離れると音はどんどん減衰してゆく。遠くまで音を飛ばしたい場合は、音量をあげるしかない。しかしそうなると、スピーカーに近ければ近いほど爆音になり、快適な環境とは言い難くなる。

対して、線音源と言われるラインアレイ、コラムスピーカーはその点が有利で、本機は水平170°という広い指向角度と垂直30°という狭い角度により、天井や床の反射による減衰が少なく、さほど音量をあげなくとも音を遠くに飛ばすことが可能なので、スピーカーに近くとも、ある程度遠くとも、似たような聞きごこちになるという。音の遠達性に優れているとのことだ。なんとなく、WiFiの2.4GHzと5GHzの違いのようにも思える。

空間を包み込むように均一な音量、音質を届けることができるということで、購入した店舗内で試させてもらったところ、音が前からというより上から降ってくるようだった。しかし、音圧はやはり点音源には敵わないように思える。もちろん音像の分離がハッキリしている、というのもあるのだろうが。



とはいえ、正確に言えばラインアレイスピーカーとコラムスピーカーは違うもの。
性質は似ているとはいえ、その性能はコラムスピーカーはラインアレイに劣る。
正方形の部屋で試しただけなので、そこだとやはり点音源のスピーカーの方がいいような気がした。やはりよく言われているように、両者の間には環境による優劣というものだけでは測れない、空間のうねりが複雑に絡み合う。

デザインはとにかく素晴らしいし、音も他のSTAGEPASで感じたザラザラ感もなくクリアなのだが、

①とにかく重いデカい。付属のケースにラインアレイとスペーサー、ケーブルなんかを入れていると余計きつい。腰やられるレベル。

②そこからつながるが、ウーハー上部のハンドル、縦方向(奥行き方向)ではなくて横向きだといいのに。グリル方向が重いので、すごく持ちづらい。しかもそこしか持ち手がない。

③チャンネル数が少なすぎ。結局外部ミキサーが必須。

④アプリがiPhone版しかなく、しかもかなり出来が悪い。CL/QL/TFシリーズはとにかく良くできているのに、これはひどい。相変わらずの部門違いか。

⑤お決まりの1-Knob EQが使いづらい。そもそも1-Knobっていうところが同意できない。

⑥Bluetoothで音源を鳴らそうとするとノイズが。再生すれば気にならなくなるが。


といった不満な点が。

重さはしかたないのかな。でも、W数の振り分け、どうなのかな、とか。

いや。

重さなんとかならんか

そこに尽きる笑