実は"最後の悪足掻き"とでも言うべきか、このアルバムを妻の出産三日前に購入したのですが、結局、娘達が産まれてからはまともに聴く時間も無く悶々とした日々を過ごしていました。
しかし、先日ようやくまともにアルバムを聴く事が出来ましたので、この場を借りてレビュー記事を書いて行きとう御座います。
まぁ"聴いた"とは言っても、まだガッツリ聴き込んだ訳ではなく、辛うじて一通り全曲聴いた程度の聴き方なので第一印象を語る程度のレビューになってはしまいますが...
過去の記事でも触れていますように、僕は音楽ブログをやっている割にギターに関する知識がほぼ皆無なのですが、そんな僕でも「この人のギター好きだなぁ..」と思えるギタリストのひとりにはトム·モレロが挙がります。
トム·モレロと言えば、特にRAGE AGAINST THE MACHINE(レイジ·アゲインスト·ザ·マシーン)のギタリストとして有名なのですが、個人的には2001年にSOUND GARDEN(サウンド·ガーデン)とレイジの元メンバーを中心に結成されたスーパーバンドAUDIO SLAVE(オーディオ·スレイヴ)のギタリストだった頃の方が馴染みがありますね。
オーディオ·スレイヴに関してはクリス·コーネル(Vo)の歌も渋くて素敵でしたが、やはり作品を聴いていても特に耳に残るのはトム·モレロのトリッキーなギターでしたし、実際に僕自身、トム·モレロのギタープレイが聴きたいが為に彼らのアルバムを買い続けているところもありましたね。
しかし、そんなオーディオ·スレイヴも2007年に惜しまれつつも、解散してしまったのですが、解散の原因は「政治的メッセージの込められた曲も作っていきたい..」と言い出したトム·モレロと「俺は音楽でそういうのはやりたくない..」というクリス·コーネルとの間で方向性の違いが出てしまった為だと言われています。
さて、肝心のアルバム『THE ATLAS UNDERGROUND』の内容は、ギタリストのソロアルバムにも関わらず、今流行りのEDM(エレクトロ·ダンス·ミュージック)とのクロスオーバーを果たした作品となっており、そう聞くと「ギタリストがエレクトロなんて邪道じゃねえか!」と思われるのでしょうが、このアルバムのインナースリーブには”この作品のレコーディングにおいてサンプリング、キーボード、シンセサイザーは一切使われておりません”と書かれています。
つまり、一聴してエレクトロサウンドの様に聴こえる音は全てトムのギターによって鳴らされている音だという事なのですが、レイジやオーディオ·スレイヴの頃からも顕著なように、この人はただ”格好良いリフ”を鳴らすだけのギタリストでは無く、音に対する探究心が物凄いですし、そんな”冒険的な音”を鳴らそうとするトム·モレロというギタリストに僕自身も魅力を感じています。
それでは、そんな”トム·モレロ流EDM”とも呼べるアルバム『THE ATLAS UNDERGROUND』の中から、エレクトロ好きな今時の若者受けも良さそうなアルバム3曲目『EVERY STEP THAT I TAKE』をお聴き下さい。
元々、EDMという音楽に対しては否定的だったトム·モレロですが、メタル顔負けな攻撃的エレクトロサウンドを武器とするSKRILLEX(スクリレックス)のようなエレクトロ系アーティストの音楽を聴いて感銘を受け、それ以来EDMという音楽に対する考え方も変わっていったそうです。
昨今の”ROCK IS DEAD”なミュージックシーンの元凶とも言えるEDMを敢えて自身の作品に取り込む(しかもギターで..)等、貪欲に音楽的裾野を広げて行こうとする姿勢は、流石、過去にミクスチャーロックの代表格バンド、レイジ·アゲインスト·ザ·マシーンに籍を置いていただけの事はありますね。
アルバム『THE ATLAS UNDERGROUND』では音楽的な部分だけでなく、曲毎にフューチャーされているゲストミュージシャンもラッパー、シンガー、エレクトロ系アーティスト等ジャンルレスなのですが、時代に着いていけず、ここ最近の洋楽事情にもすっかり疎くなってしまっている僕は、クレジットを見ても知らないアーティストばかりで悲しくなってきます。
唯一、LINKIN PARK(リンキン·パーク)やBTS(防弾少年団)等、あちこちのアーティストと仕事をしているSTEVE AOKI(スティーヴ·アオキ)だけは辛うじて知っていますが...
この曲では、ラッパーとしての側面も持つアメリカのシンガーソングライターのK.フレイをフューチャーしていますが、当然僕はこの方の事も知りません。