内澤旬子著「世界屠畜紀行」読了 | BOOGIEなイーブニング!

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了するまでに2カ月という、どえらい時間がかかってしまった。巨悪を追うジャーナリストのI氏から貰った本だ。僕はよく人から本を貰う。オールジャンルOKだ。その人のオススメ本を貰うので相手の個性が見えて面白い。もちろん、貰った本は解説まで読んで感想を伝える。そうすると不思議と次もまた読み終わると貰えるシステムになるのだ。ありがたや、ありがたや。しかし、今回の本は難関だった。ドラクエも邪魔をした。それよりも、作者の内澤旬子氏が物書きらしからぬ文体で書き綴られている部分が大きい。イラストレーターなので、しょうがないのだが、語り口が屠殺(屠畜)のオタクチックなので興奮しちゃって読みづらい。しかし、この文体が読み慣れてくると、独特のリズムを持ってグイグイくる。



世界の中の屠殺場をイラストと文章で紹介した本だ。韓国、バリ、エジプト、イスラム、チェコ、モンゴル、沖縄、東京、インド、アメリカと自腹で取材した彼女は屠殺が大好きという20人に1人の変態だ。僕はダメだ。自分で釣ったハゼさえも食べれない程のリトルハートなのだ。でも、彼女は全然平気らしい。牛の喉を掻っ切り、血がドバーッと滝のように出ても嬉々としてつぶさにイラスト化し、文章にまとめてしまう。これは本当に才能だと思う。

圧巻は世界中の中でも東京だろう。徹底管理された屠殺場は他の国と比べても異彩を放つ。当然、部落差別の問題にも直面するが、彼女はそこはさらりと明るく紹介する。逆に屠殺の魅力を伝えて、部落や職業差別が無くなるといいなと考えているようだ。

そうだよな。
毎日喰ってる肉は最初っからパックのまんま生まれてくるわけじゃないもんな。

彼女はこの本を書いた後、豚を自分で名前までつけて飼育して屠殺して食べるという離れ業をやってのける。『飼い喰い 三匹の豚とわたし』という本がそれだ。

飼い喰い――三匹の豚とわたし/岩波書店

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ちなみに、この変態著者の内澤さんは結構美人である。