じいさんの話し相手という名の面接 | BOOGIEなイーブニング!

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2年くらい前の真夏に
転職しようと思い面接に行ったときの話しだ。
会社は田舎の小さな編集プロダクションだった。

面接までまだ時間もあるし
汗を引かせるために
駅前のコーヒーショップで
クールダウンさせた。
地元の学生が楽しそうにしゃべっている。
典型的な田舎の学園都市だ。
確か姉も30年前この駅から通学していたはずだった。

会社は駅から10分ほど歩いた
コンクリート打ちっぱなしの
瀟洒な建物だった。
ガーデニングも見事だ。
この辺は地元では有名な高級住宅街なのだ。

ボクは自分の作品を大量に持って面接に望んだ。

正直、こんな田舎の編プロは余裕で受かると思っていた。
実際、この会社がやっている仕事も
地方のチラシや広報誌みたいなもので
デザインセンスなどは欠片もなかった。

面接には社長が2人現れた。
60歳過ぎの真面目な職人のようなじいさんと
50代前半のやたら明るい
毛むくじゃらのおっさんだった。

聞けば毛むくじゃらは別の会社の社長らしい。
なんじゃそりゃ!

ボクはどんな人材が必要なのか
探りを入れながら
彼らの欲しい人材に化けようとする。

「ガンガン」タイプが必要な会社が大半だが
「ガンガン」を欲していない会社もあるからだ。
無論ボクは「ガンガン」タイプである。
それは隠してニュートラルにしていおく。

しかし面接が開始してから
30分間一向に話しが噛み合ない。
あろうことかボクの作品すら見ないのである。

結局最終的に
「もう募集はしていない」
と言われた。

は?

作品も「見なくてもわかる」
「あなたは凄いよ」らしい。

話しは噛み合ない訳である。
最初から面接に落ちていたのだ。

失礼だ!
では何故呼んだのか。

ただの興味本位なのだ。
どんな人間か経歴書から
興味をもっただけらしい。

東京にオフィスがあるから
そこで独立してやらないかと言われた。
オレは田舎で仕事がしたいのだ。
東京でやるなら別に転職する必要はない。

気がつけば3時間も
じいさんの話し相手になっていた。
まったく無駄な面接だった。

あとで帰り道にジワジワと腹が立ってきた。

悔しいことに家までの帰り道は短かった。