11/29、子ども文教委員会が行われました。

〈審査案件〉
第79号議案 豊島区立保育所条例の一部を改正する条例
第83号議案 豊島区立体育施設の指定管理者の指定について
4陳情第30号 豊島区の小学生・中学生の給食費無償化を求める陳情
4陳情第36号 豊島区の小学生・中学生の学校給食費の無償化を求める陳情

〈報告事項〉
1. ヤングケアラー実態調査における中間報告について
2. 分園型認定こども園の設置について
3. 令和5年度 区立幼稚園入園応募者数について
4. 豊島区いじめ調査委員会の開催について

【第79号議案 豊島区立保育所条例の一部を改正する条例】
令和5年4月より豊島区立東池袋第一保育園を民営化するため、区立保育所条例から同園を削るものです。
なお、同園で民営化は12園目となり、現在予定されている区立園の民営化は同園で最後となります。

賛成多数で可決。

【第83号議案 豊島区立体育施設の指定管理者の指定について】
南長崎スポーツセンターの指定管理者の指定についての議案。
 

指定管理者候補:豊島区スポーツパートナーズ(代表団体:コナミスポーツ株式会社、構成団体:大林ファシリティーズ株式会社)
指定期間:令和5年4/1〜10年3/31(5年間)

令和5年4/1から指定管理者が交代となります。
各委員からは事業者間の引き継ぎを円滑に行うよう要望があり、区としても引き継ぎがしっかりなされるようにするなどの答弁。
以前の指定管理者交代時に引き継ぎがうまくいかなかった事が各委員の念頭にありました。この点はしっかりと対応していただきたいと思います。

議案は賛成多数で可決。

【4陳情第30号 豊島区の小学生・中学生の給食費無償化を求める陳情】
【4陳情第36号 豊島区の小学生・中学生の学校給食費の無償化を求める陳情】

いずれも、豊島区の小中学校の給食を無償化して欲しい、という旨の陳情です。

<憲法・法との関係>
学校給食は、学校給食法第11条に、施設設備費・修繕費・人件費は設置者である自治体が負担し、食材費は児童・生徒の保護者が負担すると規定されています。

陳情では、憲法26条2項「義務教育は、これを無償とする。」を引用していますが、最高裁判例では、義務教育の無償の範囲は普通教育の対価である授業料を意味しているとされており、この引用は不適当です。

なお、教科書の無償給与は、教科書無償法・無償措置法で定められているものです。

 

<現在の区の対応>

・既に経済的に厳しい就学援助認定者に対しては、就学援助費等で学校給食費は全額補助されています(区立小で12.7%、区立中で24.1%が就学援助の対象。合計で約9200万円)。

・令和2年度から、米飯給食の維持促進等のため、区立小中へ週2回分の米購入代を補助

食材費高騰の相当分に当たる米購入代を追加し、現在は週4回分の米購入代を補助(4年度予算で約3540万円)

 

<財政負担など>

・保護者負担は小学校6年生で57178円/年(297円/食)、中学3年生で61583円/年(340円/食)

・学校給食を無償化した場合、区の追加負担額は約5億7400万円/年が一般財源で必要(小学校 約4億3800万円、中学校 約1億3500万円)。

 

<判断のポイント>

・子育て支援を社会で行うという趣旨自体には賛同できる

・現在の給食費よりも更に保護者負担が上がることは避けている(最近の急激な食材費高騰への補助を実施)

・困窮世帯に対しては既に無償化が実施されている

・毎年の経常支出となり一般財源による負担が重い(他の教育関係の行政需要に対応しづらくなる)

・国により然るべき財政措置がとられるべきである

 

上記などにより私たちの会派は閉会中の継続審査としましたが、継続審査が賛成少数(私たちの会派と公明党)で否決されました。

継続審査が否決された後、区の一般財源のみで毎年負担することは現時点では重すぎることなどから、陳情を不採択と判断いたしました。

委員会の採決により、陳情は不採択となりました。

【報告1. ヤングケアラー実態調査における中間報告について】
豊島区と豊島区教育委員会が共同で、「ヤングケアラー」の実態調査、子供に関わる機関等への意識調査、を行ったことの報告。

 

・子供たちの実態把握、今後の効果的な支援方法の検討、関係機関の意識調査とヤングケアラーの啓発を図るため、などの目的で実施。

・調査期間は、令和4年8/31~9/15

・対象者は、区立小学4年~中学3年。区内在住高校生年齢の児童。関係機関及び関係者個人。

・回答率は、子供向けアンケートが30.3%、関係機関向けアンケートが30.2%

・自分がヤングケアラーに当てはまる、と回答した子供は2%前後

 

無記名アンケートのため、直接具体的な支援策を講じる事はできませんが、自由記述なども含めて関係課連絡会で課題を抽出・整理し機関ごとの支援策検討を行うとの事。

1月に最終報告書が作成され、2月に区職員向け研修が行われる予定です。
 

【報告2. 分園型認定こども園の設置について】
区立池袋幼稚園と区立池袋第五保育園を統合し、分園型認定こども園を設置することにつき、現時点での報告がありました。

区立幼稚園の認定こども園化については以前から議会で取り上げてきました。分園型認定こども園については、私の予算特別委員会での質疑が初めての具体的な答弁でした。

⇒blog「令和3年度予算特別委員会

 

・池袋第五保育園の園舎で、0~3歳児を受入れ。現状の定員70名と同等の人数の受入れを想定。4~5歳児分のスペースが空くため広くなる。

池袋幼稚園の園舎で、4~5歳児を受入れ。定員は幼稚園が60名、保育園が43名に対し、在籍はそれぞれ26名、34名。認定こども園化の後は定員63名とすることを想定。別用途だった2階も園舎として活用するため広くなる。

・上記定員は現在の在園児数をそのまま受け入れた場合の想定。

認定区分ごと(1号:教育標準時間認定、2号:保育認定満3歳以上、3号:保育認定満3歳未満)の定員設定は、分園型認定こども園検討会で検討する。
・認定こども園は令和7年度(7年4月~)開設予定。

区立幼稚園3園は、全て認定こども園化を将来的に行っていくという方針が示されています。これまではハード面の課題で検討が進まなかった経緯がありましたが、大きな一歩を踏み出せることになります。

区立幼稚園には幼児教育のセンター的機能が期待されていますが、近年は園児数が定員を大きく割り込んでいるために、役割を果たせなくなるという危機感もありました。

現状の区立幼稚園は、4・5歳の2年間のみの受入れです。幼稚園は学校教育法で定めがある教育施設で、法に「満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児」が入園できるとあります。区立幼稚園はこのうち、3歳児の受入れをしていない状態です。幼児教育のセンター的機能の役割を果たすため、区立幼稚園の認定こども園化を契機に、この課題にも踏み込むべきと考えます。


【報告3. 令和5年度 区立幼稚園入園応募者数について】
・令和5年度の区立幼稚園の入園応募者数は、各園30名定員に対して、11/25現在 で西巣鴨幼稚園6名、池袋幼稚園11名、南長崎幼稚園8名。
各園とも充足率は20~30%程度に留まっています。
・教育部内に「区立幼稚園運営会議」を設置し、各園における学級編成や少人数教育の在り方を検討する、とのこと。

【報告4. 豊島区いじめ調査委員会の開催について】
法に定めのある「いじめ重大事態」が発生したことによる「豊島区教育委員会いじめ調査委員会」を開催したことの報告がありました。

同調査委員会は毎年開催されていますが、定例で行われているものは勉強会の意味合いが強いもの。「いじめ重大事態の発生」を議題とした同調査委員会の開催は設置後初めてのことで、調査終結後に子ども文教委員会で調査結果の報告がある予定です。当事者の個人情報への配慮が必要なため、個人の特定がされない形での報告が想定されます。

 

いじめ重大事態とは、以下のいずれかに該当すること(法28条1項)で、今回は2点目に該当したもの。

・生命、心身又は財産に対する重大な被害

・相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている状態が生じている

 

※関連法令

いじめ防止対策推進法

豊島区いじめ防止対策推進条例

豊島区教育委員会いじめ調査委員会規則

豊島区いじめ防止対策推進基本方針

子ども文教委員会の案件は以上です。