7/9、議会運営委員会が行われました。

<審査案件>

1.2請願第2号 議員による差別発言やヘイトスピーチへの対応を求める請願

2.2陳情第10号 請願権条例制定に必要な検討を求める陳情

 

【1.2請願第2号 議員による差別発言やヘイトスピーチへの対応を求める請願】

記1.豊島区議会として、差別やヘイトスピーチに反対する声明を出すこと

記2.豊島区議会として、議会内外で議員による差別発言やヘイトスピーチにあたると思われる発言があったとき、どのように対応をするか示すこと

 

上記を求める請願です。

請願者による意見陳述あり。

・議員個人への懲罰は求めていない。差別やヘイトに反対の意思を示してほしい。

・性暴力などの問題と外国人差別の問題は地続きだと思っている。

・職務上知り得た請願者の住所などを「把握している」という発信を区議がTwitter上で行った。請願を行う際には個人情報の明記が必要でリスクがある状態。区民の声を拾い上げて動いてほしい。

 

基本的には議員はそれぞれが選挙で選ばれてる立場であり、議員個々人の発言にはそれぞれが責任を負うものであると考えます。

議会外での議員の発言に対して、どこまで他の議員が関わっていくのかについては議論が分かれるところ、ということは過去のblogにも考えを記載しています⇒blog「決議案の否決について」否決理由2に記載

 

上記の考えを冒頭に申し上げ、質疑を行いました。

 

記1について…

・「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」第2条にいわゆるヘイトスピーチの定義があります。

加えて、法務省HP「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」に法の附帯決議の説明があります。

「なお, ヘイトスピーチ解消法第2条が規定する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」以外のものであれば,いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり,本邦外出身者に対するものであるか否かを問わず,国籍,人種,民族等を理由として,差別意識を助長し又は誘発する目的で行われる排他的言動はあってはならないものです。」

とあり、本区としては法2条の定義に留まらず、法務省の見解を踏まえたものと考えていると確認しました。

・本区議会は第2回定例会初日に「SDGsの実現に向け『誰一人取り残さない』まちづくりを推進する決議」を全会一致で決議しています。

区からは第3回定例会に向けて、SDGsに関する都市宣言を準備する、ということも公明党の一般質問への回答で示されています。

この決議や宣言の内容に、今回の記1の主旨は包含されている、と私たちの会派は考えています。

⇒参考:外務省HP「SDGsとは

 

記2について…

・請願や陳情以外で、議会事務局などへ区民から意見が寄せられた時などの対応を確認しました。

 ・内容により、軽微なものは事務局判断で回答する場合あり

 ・議会として回答を求められる場合あり。その際は正副議長へ伝えて回答。全議員へ周知して欲しいという内容の場合、全議員へ内容周知の場合あり。

 ・特定の議員についての場合、正副議長へ内容共有。

・区民からの意見が多く寄せられるような案件の場合で、特定の議員が関わっているケースなどにおいては、必要に応じて当該議員へ事情をヒアリングする旨、議長から回答がありました。

・請願、陳情などで特定の議員に関するケースが取り上げられている場合、状況を把握するために当該議員へヒアリングをした方が良いのではないかと提起。必要に応じてヒアリングする、と議長からの回答あり。

※上記の当該議員へのヒアリングは状況を把握するためのものであり、懲戒する目的ではありません。

・記2に関しては、上記のやり取りで今後のプロセスが確認できたと私たちの会派は判断。

 

上記により、記1、記2共に請願の主旨を満たせると判断し、私たちの会派は採択に賛成しました。

他の会派も採択に賛成し、全会派一致での採択となりました。

 

請願の内容は上記の通りですが、請願内容以外に確認すべき内容がありました。

・区議に請願者の住所などを「把握している」とtwitterに書き込まれた請願者が、そのことに対して恐怖を覚えている、と感じている件についてです(実際に請願者の住所を公開なさった訳ではありません)。

この件、正副議長が当該議員とお会いし、ヒアリングを行ったとのこと。正副議長としては憂慮している、と伝え、その際に当該議員からは、悪意はなかった、との発言があったとのこと。

・今回の書き込みは削除なさったようですが、請願者が委縮するような発言は、区議としては慎むべきと考えます。

 

今後、請願者や陳情者の住所の表記方法について工夫の余地がありそうです。

 

【2.2陳情第10号 請願権条例制定に必要な検討を求める陳情】

請願権条例制定を求める陳情内容です。

 

・本区での請願・陳情の手続きについては以下のリンク先の通りです。

⇒豊島区議会HP「請願・陳情の手続き

・審議結果は請願・陳情者へ通知する仕組みとなっています。もちろん傍聴も可能です。

・請願権条例制定の効果を議会事務局へ確認。制定済みのつくば市へ問い合わせた結果、議会規則から議会運営以外の内容である請願・陳情の内容を抜き出して条例化したものであるとのこと。実質は議会規則の内容と変わりがないことを確認。

・請願の議員紹介について、議員の公務所が明示されていないと議員の紹介を受けられない、請願の内容に賛同できなくとも議員は署名を拒否すべきではない、という趣旨の展開あり。

議員の連絡先は豊島区議会においては公開しています。

また、これまでの豊島区議会では請願の主旨に賛同するものが署名をしてきた慣例があり、専門書の中でも請願内容に賛同できない議員が紹介議員となるべきではない、という記載がある旨も陳情文にあります。

少なくとも豊島区議会においては、請願の議員紹介について、請願権が制限されるような内容にはなっていないと判断できます。

 

上記の確認を行い、本区においては請願権条例の制定が必要であるとのは認められませんでした。

従って、私たちの会派は当該陳情を不採択とすべきものと判断しました。

採択結果は、全会派一致で不採択となりました。

 

議会運営委員会の請願・陳情審議は以上です。