3/17、本会議最終日に議員提出議案第4号「あらゆる性暴力の根絶を目指す決議」が上程、賛成少数により否決されました。
私が幹事長を務める「都民ファーストの会豊島区議団・民主の会」、自民党豊島区議団、公明党豊島区議団、テレビ改革党が反対しています。
タイトルだけ見ると、あたかも私たちが「あらゆる性暴力の根絶を目指さない」ように思えるかもしれませんが、当然ながらそうではありません。
この件について、一方的な見解が発信されているようですので、説明を加えさせていただきます。

◆前提
・私たちの会派は、あらゆる性暴力の根絶を目指す、ということには当然賛成です。
昨年12月のくつざわ区議のtwitterへの投稿内容には全く賛同できません。
・決議の否決には、くつざわ区議の投稿内容を擁護する目的は一切ありません。
・「決議」とは…議会の意思を対外的に表明するために行う議決。決議は意見書と違い法的根拠がなく、関係先に提出しません。

◆否決理由
1.目的が曖昧
タイトルは「あらゆる性暴力の根絶を目指す決議」とありますが、提案に至る経緯などからくつざわ区議の投稿内容を糾弾する目的があるのは明らかでした。しかし、本文を読むと目的が曖昧。正副幹事長会での詳しい説明もありませんでした。本会議当日の提案理由説明や賛成討論などから、やはりくつざわ区議の投稿内容を追求する目的があるのが分かりました。くつざわ区議の投稿に端を発したとしても、あらゆる性暴力の根絶を目指す、ことと投稿内容の糾弾は別に行うべきです。

2.議論が不足している
議員個人の議会外の発言に対してどこまで他の議員が関わっていくのか、議論が分かれるところだと考えます。
どんなに(私と)意見の合わない議員だったとしても、その方も一定の有権者の支持を受けたからこそ議席を得ています。仮に何か不祥事を起こした議員に対して、その他の議員が全会一致で議員辞職勧告決議を採択したとしても、その議員を罷免することはできません。
そうした中で、議会が議員個人の投稿内容に端を発した決議をするには、相応の議論が必要だと考えます。
しかし、今回は正式な場(議事録に残る会議体)での議論は殆ど行われていません。
そもそもの決議(案)の提案理由説明も殆どなく、くつざわ区議の投稿内容について正副幹事長会で議題になったこともありません(立憲民主党の古堺幹事長は議題を議長へ提案することができる立場でしたが、投稿内容を糾弾する提案も行われていません)。
更に、議員協議会でくつざわ区議が謝罪をした際にも、どなたからも発言がありませんでした。くつざわ区議本人とのやり取りをする場面でしたが、これが行われなかったということです。そのため、私たちの会派は決議(案)の検討をなさっていた方々は謝罪を受け入れたものと考えていました。
決議は議会の意思を対外的に表明するために行うものです。
議論を深める機会は何度もあったのに議論をせず、決議だけを行うというやり方には違和感があります。

3.決議文の内容が練られていない
決議文の画像を載せていますので、そちらをご覧ください。
私たちの会派は、タイトルと本文の内容がうまく整合できていないと捉えています。
文言修正にも応じる、という古堺幹事長の発言が正副幹事長会でありましたが、もし賛成に回るのであれば少しの文言修正ではなく、根本的に組み立てから変えねばならない文章だと考えていました。
1段落目と2段落目はどう繋がっているのか。更に3段落目は唐突だし、この文章だけ読んで何のことを指しているのか理解できる人は殆どいないでしょう。句読点に誤りがある、又は非常にわかりづらく書いている、という箇所もあります。
区議会として決議するのであれば、きちんと推敲した文案を作るべきです。


◆今後の展開
繰り返しになりますが、私たちの会派は「あらゆる性暴力の根絶を目指す」ことについては賛成です。
今回提案された決議は上記の理由で賛成できませんでしたが、せっかくこのような提案もあったので決議のタイトルの内容を満たす動きはした方がよいと考えています。
豊島区は平成25年第1回定例会で「虐待と暴力のないまちづくり宣言」を全会一致で議決しています。
宣言は「性暴力」に対して明言がないので、この事も含めて改めて宣言内容をブラッシュアップするという方法もあると思います。
今後、第2回定例会に向けて検討し、議論を深めていきたいと考えております。

3月上旬、非公式な場ですが古堺幹事長へこの考えはお伝えしてあります。
全会一致を目指す、という正副幹事長会での古堺幹事長のご発言もあったので、第2回定例会に向けて取りまとめて頂けることを期待したのですが、結果的には今定例会での提案ということになってしまいました。
全会一致をあくまで目指す、という方向でご検討いただけなかったのは残念に思います。

◆参考:3/19東京新聞朝刊に記事が掲載されました。
「方針に大半賛同も『より精査』 性暴力根絶目指す決議案 豊島区議会が否決」


◆参考:これまでの経緯
この件の発端は、くつざわ亮治区議が昨年12月にtwitterに投稿した内容でした。
伊藤詩織さんの東京地裁での勝訴判決を受け、その判決内容を批判する投稿を立て続けにしました(現在は削除されています)。
この件について、区議会事務局や区民相談課などに年末時点で合計58件の意見が寄せられました(2/3の正副幹事長会での議会事務局からの報告の数値。内容は苦情と受け止めています)。その他、私たちの会派や各議員にもご意見を頂戴しています。

2/3 正副幹事長会で立憲民主党の古堺幹事長が、くつざわ区議の投稿内容について有志で活動をする、旨の宣言がありました(具体的な提案はこの時点でありませんでした)。
2/4 私たちの会派控室へ4名の区議が決議(案)を持参し、決議を行いたい旨を伝えられました(非公式な提案を受けた、という段階です)
2/10 正副幹事長会で、2/12の議員協議会でくつざわ区議から発言通告があった旨、共有されました。
2/12 議員協議会(全区議が参加)が行われ、くつざわ区議が混乱を招いたことについて謝罪。この場での質疑は一切ありませんでした(内容に異議があれば、発言すべき場面です)。
2/19 追加議案付託の為の正副幹事長会(臨時で開かれた、時間が限られた会)にて、古堺幹事長から決議(案)の提案があったが、詳しい内容の説明は無し。
3/16 正副幹事長会にて決議(案)についての態度表明。私たちの会派は決議(案)に賛成できない旨を表明。自民党豊島区議団、公明党豊島区議団も乗れない、としました。私は賛成できない理由についてもこの場で述べています。
3/17 本会議最終日にて決議が提案され、賛成少数で否決。