障害の有無に関わらず一緒に遊ぶことが出来る遊び場の整備につき、当事者団体の皆さまからご要望を受け、会派として区に対して要望や打合せなどを行ってきました。

先日の会派を代表しての一般質問で区から前向きな答弁を頂けたので、この節目に要望内容と経緯等についてまとめてご報告させて頂きます。

 

<区に対する要望内容>

◆都民ファーストの会豊島区議団・民主の会 要望内容(要約)

障害者差別解消法などにより合理的な配慮は進められてきたが、障害のある子供たちの遊び場への配慮は都内で十分に行き届いていなかった。

この問題につき都議会の提案をきっかけに都が施設整備を表明、併せて市区町村へ情報提供や技術等のサポート方針を示した。

共生社会を実現させるため、本区でも同様の施設整備をすべきと考える。

 

1.区立公園等に、障害の有無に関わらず子供たちが安全に遊ぶことのできる遊び場の整備をすること。特に造幣局地区へ整備する「(仮称)としまキッズ・パーク」の遊具や舗装には配慮をして頂きたい。

2.区立公園等の遊具や舗装などを改修する際には、障害の有無、年齢等にかかわらず多様な人々が利用しやすくなるよう配慮すること。併せて相応するガイドラインの策定を検討して頂きたい。

3.具体的な整備方針を固めてノウハウを蓄積している都からの情報収集を行うと共に、都が開催する研修への参加を積極的に行うこと。

4.表記の遊び場整備の目的について区民への周知を行い、共生社会の実現を図ること。
 

◆NPO法人SUPLIFEなどからの要望内容(要旨)

要望団体名…NPO法人SUPLIFE、NPO法人アフタースクールの会、Mamma倶楽部、豊島区巣鴨地域特別支援教室卒業生仲間の会、ダウン症のある子の親の会スターオアシス

・安全面の問題から現状の公園では十分に遊ぶことが出来ない子供たちがいる。

・障害のある子もない子も一緒に遊べる公園は、地域住民の更なる交流につながることも期待される。

・豊島区にインクルーシブ公園の整備をして頂きたい。

 

<会派を代表しての一般質問に対する回答>(質問者:永野裕子議員)

Q:本区の公園整備及び遊具・舗装などの改修の際に、障害の有無に関わらず子供たちが安全に遊ぶことのできる遊び場としての視点を持ち、多様な人々が利用しやすくなる配慮を行って頂きたいが見解は。

A:今後の行政の在り方として重要。公園から街を考えていく、という本区の取組みがある事から進めていく。

 

Q:旧造幣局東京支局跡地の敷地内(仮移転する池袋保健所の隣接地)に整備する「キッズ・パーク」にインクルーシブな視点を盛り込んで頂きたいが見解は。

A:全ての遊具で満たすことは難しいが、出来る限りインクルーシブな視点を加えていく。

 

Q:「キッズ・パーク」は未就学児が対象との事だが、特別な配慮を要する子供の中には幼児期に十分な公園遊びの経験がない子もいるため、インクルーシブな視点を盛り込んだ公園が実現するのであれば一律に年齢で区切らず柔軟な対応を求めたいが見解は。

A:慎重な検討が必要。

(インクルーシブ公園に関しては)都と情報共有し、他の公園でも提供できるよう取り組む。

 

キッズ・パークではインクルーシブな視点を加えた施設整備を行うことが明確になりました。

他の公園での展開に関しては具体的な答弁はありませんでしたが、今後は公園整備の視点としてインクルーシブな視点を加えていくことも意向として確認できました。

今後も龍円都議など都議会と連携をして、都に公園整備の際のガイドラインを策定して頂く事、インクルーシブな視点での公園整備についての補助制度の検討をして頂く事、などの要望を行っていきたいです。

 

障害の有無に関わらず一緒に遊ぶことが出来る遊び場の整備は、当然ながら障害のある子供たちのためだけのものではありません。

共に遊ぶことにより障害者理解につき子供の頃から体感することは、障害のない子供にとっても大切な経験です。

世の中には多様性があるという事を自然に学べるきっかけにもなるのではないでしょうか。

来年のパラリンピックの開催地である東京で、この取組みを進めることは大いに意義があると考えます。

 

この件について進捗がありましたらblogなどでご報告させて頂きます。

以下にこれまでの経緯、関連用語の解説など記載しました。

 

<経緯>

2018年3/2 龍円あいり都議会議員(都民ファーストの会)が都議会一般質問にて「インクルーシブ公園」設置の提案。都が整備に向け検討開始。

 ・龍円都議2018年5/2blog「スペシャルニーズ児が安全に遊べる「インクルーシブ公園」実現します!!!

 

2019年2/28 龍円都議の一般質問で 都立公園(砧公園、府中の森公園)へ「障害の有無にかかわらず全ての子供たちが安全に楽しむことができる遊び場」を設置すること、市区町村への情報提供、情報発信等を行う旨の答弁。

 ・龍円都議2019年3/4blog「「インクルーシブ公園」が世田谷と府中にできますよ!一般質問2019

 

7月 龍円都議の情報発信を受け、豊島区内のNPO法人SUPLIFE(ダウン症のある子供を育てる母達を中心に発足)が中心となり、豊島区内のインクルーシブ公園実現に向けた署名活動を展開。

 

7/23 都民ファーストの会豊島区議団・民主の会で、SUPLIFEなどからの要望書を受取り意見交換。龍円都議も同席。

 

8/22 区へ会派からの要望書、SUPLIFEなどからの要望書を提出。斉藤副区長を始めとする関係理事者と意見交換。

 

8/29 高野之夫豊島区長へSUPLIFEなどからの要望書を直接提出し意見交換。

 

9/25 会派を代表し永野裕子議員が「インクルーシブ推進施策について」一般質問し、インクルーシブ公園の設置につき区から前向きな答弁。

 

※これまでの経緯については、SUPLIFE代表の美保さんもnoteに纏めておられます。

⇒SUPLIFE note「豊島区にもインクルーシブ公園を!

 

<参考:関連用語>(細川、龍円都議調べ)

◆インクルーシブ

・デジタル大辞泉…包含しているさま。含んでいるさま。包括的。
・ロングマン現代英英辞典… including a wide variety of people, things et(あらゆる多様な人やものが含まれている)
 

◆インクルーシブ公園

英語では「inclusive playground」(インクルーシブ遊技場)

都議会一般質問で龍円都議が分かりやすく表現するため「インクルーシブ公園」と説明。

都の答弁では「障害の有無にかかわらず全ての子供たちが安全に楽しむことができる遊び場」と表現されている。

下の図は龍円都議が作成。

 

◆インクルーシブ教育(文部科学省資料 障害者の権利に関する条約第24条の要約)
「インクルーシブ教育システム」とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。
    
◆ユニバーサルデザイン(障害者基本計画(内閣府)の定義)
バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するとの考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインはあらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。

◆バリアフリー(障害者基本計画(内閣府)の定義)
障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、もともと住宅建築用語で登場し、段差等の物理的障壁の除去をいうことが多いが、より広く障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも用いられる。

◆スペシャルニーズ

ケンブリッジ英英辞典によると「その人の病気や状態や状況によって、他の人たちがしていることを同じようにするのが難しく、特別なものや支援が必要とされたりすることや、提供されること。」

文部科学省は特別支援教育の事を「Special Needs Education」と訳す。

比較的新しい言葉であるため現時点で米国でも法律用語では使われていないが、口語では一般的に使用。