2/9(金)、「東京23区の大学の定員抑制に反対するシンポジウム~これでいいのか⁉︎地方創生、大学のあり方~

に出席しました。

主催は東京都、会場は都民ホール(都議会議事堂1階)

{12A69BC4-FB63-49DE-AF64-6A7B0146D4C7}


※中継動画⇒コチラ

 

まずはこれまでの東京23区大学定員抑制に向けた国の動きの説明がありました。

<経緯>

28年11月 全国知事会議・政府主催知事会議

 東京23区における大学・学部の新増設の制限を含む緊急決議を行い、政府主催知事会議において、安倍総理大臣に要望

29年2月 地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議

 まち・ひと・しごと創生担当大臣の下に、有識者会議を設置

29年6月 まち・ひと・しごと創生基本方針2017 経済財政運営と改革の基本方針2017

 東京23区の大学の学部・学科の新増設を抑制することとする閣議決定

29年9月 文部科学省

 東京23区内の大学の定員増に関する申請を許可しない告示を制定

29年12月 地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議

 原則として東京23区の大学の定員増を認めないこととする最終報告

30年2月 政府

 原則として東京23区内の大学の定員増を認めないこととする法案を閣議決定

⇒国は、平成30年の通常国会に、東京23区の大学の定員増を抑制する法案を提出

 

<法律案(概要)>

地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の就学及び就業の促進に関する法律案(概要)

 

◆特定地域の大学(学部等)の定員増は10年間原則認めない。

・特定地域⇒東京23区(政令で定める)

 

 主な例外事項

 ・スクラップアンドビルドによる新たな学部等の設置

 ・留学生、社会人、通信教育、夜間学部

 ・すでに必要な投資・機関決定等を行っている場合

 ・専門職大学等の設置(5年間の経過措置)

 

◆地域における大学の振興や、地方での若者の就労を支援する交付金の創設

◆地域における若者雇用促進に向け、国や自治体は必要な措置を講じるよう努力すると明記

 

<東京都の主な取組み>

29年7月27日、28日 全国知事会議(岩手県)で小池知事が発言。

 「大学の国際競争力の向上は、大学の自由な努力があってこそ。自由な努力を妨げる要望はするべきではない。国に対しては、学生の学ぶ意欲に応える魅力ある大学づくりのための支援策を要望すべき」と主張。

29年9月4日    まち・ひと・しごと創生担当大臣への緊急要望 実施 [要望書]
29年9月11日   文部科学大臣への緊急要望 実施 [要望書]
29年9月29日   東京23区の大学における定員増の抑制等に係る文部科学省の告示に関する知事コメント 発出 [知事コメント]
29年11月21日  地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議最終報告(素案)に関する知事コメント 発出 [知事コメント]
29年11月24日  全国知事会議(都内)

 「地方創生は、東京隊地方という構図でなく、東京と地方が共存共栄し、日本全体の創生を目指すべき。戦うべきは国内でなく、むしろ世界で勝てる大学を、それが東京であれ、地方であれ、更に強化していくことが必要」と主張

29年12月8日   地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議最終報告に関する知事コメント 発出 [知事コメント]

 

 

続いてパネルディスカッション。

出演者は以下の通りでした。

小池百合子都知事

尾木直樹氏(教育評論家、法政大学特任教授)

パックン氏(タレント)

八代尚宏氏(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・特命教授)

 

{BBF06E77-0E1C-4481-9D3F-7512789FA3D6}

 

小池知事

・東京一極集中、大学の質、大学経営(少子化の問題)…など色々な問題をごっちゃにして議論している。

百年の計である教育の問題が、東京対地方の問題に矮小化されてしまっている。

 

八代氏

・経済学の立場からのご発言をなさっておられました。地方大学の創生は保護主義からは生まれない。

・八代氏の主張⇒「23区の大学定員抑制では地方創生はできない(日経ビジネスオンライン(2017.8.22)」

 

尾木氏

・教育評論家として述べられていました。

・ご自身のblogにてご意見を披露なさっています⇒「世紀の愚策‼️23区の大学定員抑制ー

 

パックン氏

・ハーバード大学出身、アメリカが母国で現在は福井県在住、子育て中、という経験の下、意見を述べておられました。

 

パネルディスカッションの論点

①国の規制は大学の国際競争力の低下を招くのでは?~どうすれば日本の大学の国際的評価が上がるか~

・世界81か国1102校の世界大学ランキング2018(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(イギリスの教育専門誌))では、日本の大学で200位以内にランクしたのは、46位の東京大学、74位の京都大学のみ。東京大学は昨年から7ランクダウンし過去最低。

早稲田大学、慶応大学は601-800位、法政大学は801-1000位。

・アジアの中で比較しても、東京大学は8位に留まる。

{1BB946F0-2EA7-4D51-B16D-46781C6A900B}

 

②「東京対地方」の構図は日本全体にとってマイナスになるのでは?~本当の地方創生のためには何をすればいいのか~

・日本の世界のGDPに占める割合が低下し続けている中、「東京対地方」の構図にこだわっていてよいのか。

・(八代氏)地方大学の経営悪化を防ぐための定員抑制は「保護主義の論理」

・(八代氏)「工場等制限法(2002年廃止)」の再来である。東京・大阪の大都市部に一定面積以上の工場や大学の新設・増設などを制限した規制の復活と言える。

 

③学びたいという若者の夢をつぶしていいの?~場所に限定されることなく、若者が学びたいことを学べるようにするにはどうすればいいか~

・リクルート進学総研「進学センサス2016」進学先検討時の最重要項目(進学者(浪人含む)/単一回答

1位 学びたい学部・学科・コースがあること(27.1%)

2位 資格取得に有利であること(7.9%)

3位 就職に有利であること(5.8%)

 

・2018年卒マイナビ大学生「Uターン・地元就職に関する調査」

地元就職を「(どちらかといえば)希望しない」と答えた方

地元(Uターン含む)就職を希望しない理由は何ですか?/複数回答

1位 都会のほうが便利だから(38.4%)

2位 志望する企業がないから(38.1%)

3位 実家に住みたくない(離れたい)から(29.9%)

4位 地域にとらわれず働きたいから(28.3%)

⇒上記アンケート結果からは、場所よりも学びたい内容が重要である、大学や地域の魅力を高めることが大事、ということが見える。

 

・国際教養大学(秋田県)、金沢工業大学(石川県)など、人気の高い地方大学は現に存在する。

・(パックン)アメリカでは都心部に必ずしもトップクラスの大学はない。日本でも同じようにできるはず。地方の良さで競争力を保つことはできるのではないか。

{FDFCB64E-748A-4183-913C-8A4FE6147D9F}

 

東京都は、閣議決定を受けて緊急声明を出しています。

また、これに賛同して、特別区長会、東京都公立高等学校長協会、東京都専修学校各種学校協会、がそれぞれ声明・意見を出しています。

・東京都   東京23区の大学の定員増の抑制に係る緊急声明
・特別区長会 「東京23区の大学の定員抑制」に関する声明 
・東京都公立高等学校長協会  東京23区の大学の定員増の抑制への意見
・東京都専修学校各種学校協会 東京23区の大学の定員増の抑制への意見

 

大学の定員を抑制することが、本当に地方創生へ繋がるのでしょうか。

そもそも大学の設置は大学教育がどうあるべきかの議論から生まれるべきではないでしょうか。

23区の大学の定員抑制を10年間行うという法案が閣議決定されましたが、納得しがたいものです。