ワールドトリガーおすすめ話 その③(後編)今回で一旦ラストです | 星屋画像工房ブログ

(前半からの続き)

そもそも上層部にいる古参メンバーは「隊員の中にネイバーがいる」ということに対してなんら抵抗を感じておらず、むしろ当たり前のようにとらえていているんですね。

例外的に三輪隊員のように感情的になっている者もいますがそれも個人の感情レベルのもので、呉越同舟となることに対してほとんどの上層部の者は感情ではなく危険性や信頼性という理性の面でもって、仲間うちのネイバーを評価しています。


なのにそのことはなぜか表向きには機密事項となっていて、特に一般市民に対してその情報が
漏れた場合はかなり面倒なことになると。
ただしヒュース君の場合はついこないだ攻めてきた国の兵士で、今は捕虜という立場だから・・・という複雑な事情があるから問題点はむしろ彼の正体が近界民であるということ自体よりも、そっちの方にあるのでしょうけど。
読者視点だとヒュース君の事情はよくわかるから「こいつは今は味方側」だとはっきりわかるのですが、もし何も知らない人にとっては「べジータは今は味方側なんで」って急に言われてもなかなか
その事実を受け入れられないナメック星人状態。

そう考えるとやはりそれだけでも面倒は避けたいところなのかなと思われます。

 

ただし。それでも、
「近界民が俺達に混じって普通に暮らしてるけどこれは絶対に内緒な」ということさえ機密事項なのかどうかまでは謎。もしかしたらクローニンさんにもヒュースと同様の事情があって、だから表向きは外国人ということにして隠しているのかもしれないし。
上層部や本部の人はエネドラッドのことも普通に知ってて受け入れてるんだから別に隠さなくても大丈夫なのでは、とも思われるのですがそうでもなさそうですね。

というより一般市民はどこまで情報を把握しているんだろう・・・
三門市の市民はボーダーに対してかなり好意的な姿勢で受け入れてくれてるぽいのですが、それでも遠征のことは今までずっと隠されてきたわけでしょう。


ここからちょっと考えるのが大変になってくるのですが、トリオンを使ったトリガーの技術は最初のうちは旧ボーダーが同盟を結んでいた3つの国からもたらされたものがほとんどであって、地球人が自ら発見して作り上げたものは当時はまだほぼ皆無に近い状態ではなかったのではないか、と私は考えています。
旧ボーダー設立者の中の誰かがゼロから作り上げたシステムも中にはあるようなのですが、その旧ボーダーの時代からすでに遠征で同盟国に渡って現地で戦っていたということなので、さすがにそこまでの技術がゼロから一気に用意できるというのはちょっと可能性としては薄いというか、そういう天才のような人物がもしいたとしたら作中でもっと大きくとりあげられているはずなんですね。
ここはやはり当時の同盟国、つまりネイバーから知識や技術、資材や人材の提供取引が多少なりともあったと考えるのが妥当なところではないかと推測されます。


そこで、もしかすると旧ボーダーの中にもすでに何人か同盟国の人が派遣された人材として混じっている可能性もあるのでは、と思われたのですが、当時の集合写真では記載されている名前が全て日本人なのでこの推測は間違っていそうです。
 

近界民は基本的に名前が苗字無しのカタカナ+日本人離れした顔つきになっているのでそういう描き分けをしてるぽいですから、
あれ?・・・今気がついたんだけど、集合写真にユーマの父親がいないのだが? 創設者の一人のはずでは?
・・・・・それにユーマの名前が「空閑 遊真」と漢字で書かれていたのはネイバーであることを隠して日本人にカモフラージュするための当て字だと思っていたのだけど、もしかして違うのか?
父親の有吾(ゆうご)からして日本人名だけど、まさか有吾さん、ネイバーじゃなかったのか?
じゃあユーマもネイバーじゃなくて「あっちの世界からやってきた」のは事実だけど本当は「あっちの世界から帰って来た」地球人の可能性?

もし、だとしたらその設定にした意図はなんだ?

と、ここに来て完全にわからなくなったので考えるのをやめました。
 

おそらく「一般市民にはここまで情報を公開してるけど」っていう明確なラインがあって、
なぜそのラインを決めているのかという理由も設定として存在してるはず。
ただ私にはそこまでは推測しきれないですね・・・・想像や憶測で語るにしても何かとっかかりになるヒントを見つけられないと難しいです。
で、「上層部や遠征に行ったことがあるA級隊員とかがもしやめて一般市民に戻るっていう場合は
悪いけどそのラインまで記憶を封印させてね」てことなのかなと。

言葉だけ聞かされたときにはなんだかぶっそうに思えた記憶封印措置でしたが、こんな風に考えてみると実際はとても紳士的というか、まあそれでも根付さんが「最悪の場合は」って言ってる以上非人道的なことをしてるのに変わりはなく、
けっして安易に使っていい手段ではないのは確かなんでしょうけどね。
その後の生活に支障をきたすほどの厳しい罰を与えるようなものではないと思われます。

今回も私なりの推測、解釈であり実際には間違っているのかもしれませんが
だいたいこんな感じであってたらいいな・・と・・。


記憶を封印するメカニズムは謎だけどこれも異世界の技術のひとつなんだろうか。
封印するだけなら催眠術でできそうな気もする。少年漫画だし。
けどもし戦闘中に敵の記憶を消す武器とか作れたらめちゃくちゃ強そうね。
無敵すぎて漫画としては出しにくいけど。


3回にわたってワールドトリガーの魅力について語ってみましたが、まだ読んだことの無い方にも面白そうと思っていただけたら幸いです。

これまで細かく作りこまれた世界観や伏線の見せ方の魅力についてのみ触れてきましたが、
この漫画の魅力はそこだけでなく非常に高いドラマ展開にもあります。
物語がはじまってわりとすぐにA級隊員や黒トリガー同士の最強戦力のぶつかり合いを見せてくれたあとで、「これからB級下位からのランクマッチをします」という展開がはじまって、ええ~あんなテンションの高いバトルをやったあとなのに今度はB級下位同士の戦いとか、落差すごくない?

と、どうなるのか気になりながらも読み進めるとこれがまあ非常に面白い。
バトルの流れが相変わらずハイクオリティ。

それまでは圧倒的な戦力を持つ者は何も考えずにごり押しプレイで良かったのですし、その油断につけいる隙もあったのですが、戦力が拮抗する者同士の戦いでは皆ものすごく頭を使って慎重に慎重に考えながら動いてるんですね。

個人のスキルや力量だけでなく、作戦を立てて計画的に動くというのがここまで重要視されているバトル描写はなかなか見られるものじゃない。


それに隊員一人ひとりの抱えている背景や魅力あるキャラクター、かっこいいセリフ回し、熱い人間関係など、少年漫画、とりわけ青春熱血群像劇が好きな人にはたまらない要素がこれでもかというくらいにつめこまれていてまた機会があればその点についても語っていきたいと思います。
セリフのひとつひとつに作者の葦原先生の繊細な気配りが見え隠れするのが、私自身作劇を考えている者としてもとても勉強になるし、一体どういう頭脳をしていたらここまで気の遠くなるような創作ができるのか戦慄さえ感じられます。

3回通してベタ褒めになってしまいましたが、この作品の魅力が少しでも伝えられたら、と思って頑張ってみました。

書いてみると想像してたよりずっと難しくて、記憶違いをしていた箇所があったことを露呈してしまったり、好きな作品を正しく紹介したいという、ただそれだけのことがここまで頭を使う大変なことだと私はわかっていませんでした。
けど、今回のような紹介ブログはまた機会をみつけて行っていく予定です。
今後、自分がお仕事で関わった作品の魅力を正確に伝えるためにも、こういう文章を書くことを経験しておくべきだと考えるからです。


では。長くなりすぎてしまいましたが、
今回も読んでいただいてありがとうございます。
前回より字を大きくしたので読みやすくなってます・・・よ・・・ね・・?

 

次回の内容はまだ未定ですが、

現在紹介を予定している漫画作品は

鬼滅の刃、
須藤真澄先生の「グッディ」とか語りたいと考えています。
「グッデイ」を語ろうとするとその前に

「長い長いさんぽ」やアクアリウム、庭先案内シリーズまで触れないといけない。

大変なのでまた時間があるときに。

ここでも公開できる新作イラストも製作中です。

うん。ちょっと文章ばっかり書いてて他のことが全く進んでないから、とうぶんはこういう長文は控えよう。