彼らの歌を聴くうちに、その歌詞の世界観を、メロディやリズムにのる日本語で再現したいと思うようになりました。中国語は入門編レベル。個人で歌って愉しむための日本語訳。間違いが見つかりましても、笑って目を瞑っていただければ幸いです。曲のメロディやリズムに合わせるため、個人的解釈の意訳が含まれます。音源をお聞きになりながらお読みくださいましたら、とてもうれしいです。
GQ の Yiboくん、また、うつくしい姿を見せてくれました。
ケム川のボートレースを思い浮かべるようなカンカン帽で、舟に乗っていました。
ボートレースは一年中夏服と聞いたことがあります。
Yiboくんの CHANEL の装い、冬を飛び越えたような明るい色でした。
来週は星光大賞もありますね。とてもたのしみです。
* * *
Yiboくんを知った秋から、毎年、この時期は「街舞」を見ていました。
今年は「街舞」をお休みして、今さらなのですが、Zhan Zhan の「燃烧吧少年2015」を見ました。
ご存じのように、アイドルオーディション番組「燃烧吧少年」は、デザイナーとして社会人生活を送っていた Zhan Zhan が、芸能界入りすることになった番組です。
情報に疎い私でも、Zhan Zhan が大学時代から声と容姿で絶大な人気があったことや、この番組のスタッフがそのことを知り、大学の教授に問い合わせた、という話は知っています。
『残酷月光』は、その番組で最初に披露した曲です。
初回の EP.1では、多くの応募者から予選を勝ち抜いたアイドル志望の若者たちがパフォーマンスを披露しました。
そして、3人の審査員が、これから番組でバトルしてゆく16名の候補者を選んだのです。
Zhan Zhan はこの曲を以前から歌いこなしていたようですし、オハコの一曲だったのかもしれません。
私もこの曲の部分だけは幾度も見ていました。
今回、初めて、番組の EP.1として冒頭から、他の出場者のパフォーマンスもきちんと見て、Zhan Zhan の歌唱を聞きました。
曲の歌詞の意味は、なんとなく理解していました。
『残酷月光』というタイトルは、日本語にそのまま置き換えることができます。
その意味が歌詞に秘められていることを、わかっていたからかもしれませんが、あらためて聞いたZhan Zhan の『残酷月光』は、とても胸を打ちました。
彼はこの時すでに、歌に心を込めることを知っていたのだと。
彼より上手く歌う人は、世に多くいるかもしれない。
けれど、歌詞に想いを “歌声” だけでこんなふうに表現できる人は少ないのではないかと。
「燃烧吧少年2015」 EP.1
肖戦『残酷月光』(歌唱の部分のみ)
2015年11月21日放送(10月22日収録)
◆ 拙い訳です。無断での転載はご遠慮願います。
* * *
やさしいからこその残酷。
酷く傷ついている心には、やわらかな月の光でさえも、刃になるのかもしれません。
心に沁み入るような歌詞世界を、Zhan Zhan の歌声は、とてもよく表しています。
Zhan Zhan は孤独を歌いながらも、やさしい月の光も歌っているのです。
彼の声で表現されるメロディだから、日本語を当てていく時も、言葉選びに迷いは生まれません。
ただ、文字数や発音のなめらかさなどがネックになって、違う言葉を見つけなくてはならなくなることはあります。
これはいつものことですし、とても悩みますが、実は、そんなこともたのしさのうち。
Zhan Zhan の声の心地よさが、辛抱強く言葉探しを手伝ってくれます。
こちらは、オリジナルの林宥嘉さんの『残酷月光』です。
Zhan Zhan の歌い方に比べると軽やかで、シニカルな感じがあり、主人公にスポットが当たっています。
月は、“見上げる感じ” でしょうか。
やはり、ご本家、味わい深く、とても魅力があります。
林宥嘉『残酷月光』MV
『尚好的青春』のオリジナル、孫燕姿さんの歌を聞いた時にも、同じように軽やかさを感じました。
しっとりと、あまく、歌い上げるのが、Zhan Zhan の個性なのでしょうか。
それだから、私は主人公だけでなく、あまねく照らす、やさしい月の光を、脳裡に浮かべたのかもしれません。
* * *
私自身は過去を振り返ることはあまりなく、思い出にひたることも滅多にありません。
自分の足跡である作品なども見返す勇気はなく、さっさと処分してしまいます。
これだけのものをよく仕上げたという努力賞を、若い頃の自分にあげたいとは思いますが、未熟な技術や感情を、あらためて目をすることは、ひりひりとした痛みすら感じます。
(といっても、“若気の至り” を笑う気は、まったくありません)
俳句は基本的に私情を描くことがない文学ですので、このあたりが、私と相性よいのでしょう。
自分の過去を振り返るのは嫌なのに、Zhan Zhan や Yiboくんの過去の姿や作品を、見たり、たのしんだりするのは、ちょっと申し訳ないような気もします。
(他者の心を勝手に推察するなど僭越なのですが、どうしても自分の好き嫌いの尺度で量ってしまいます)
「燃烧吧少年」はファイナルまで、計12回のエピソードがあります。
「街舞」も1シーズン12回でしたので、このことに抵抗はありませんでした。
1回の長さも、「街舞」の約半分。長いとも感じませんでした。
ただ、中国語字幕しかなく、自動翻訳機能もきかないため、審査員のコメントは、“ほとんど雰囲気” での理解になりました。
気になるところは辞書を引きましたが、「すべて知りたい」という気持にはなれなかったのです。
演出なのかもしれませんが、審査員の方がたの口調が激しく、語気が荒いと感じて臆してしまいました。
そういうものにあまり慣れていないこともあり、どちらかというと避けて通りたいと…。
「街舞」の時は、まったく逆でした。
審査員やリーダーや挑戦者が、何を語るのか、いつもたのしみでした。
とくに、Yiboくんのコメントがたのしみで、これは彼のファンだからではなく、解説者として優れていたからです。
彼は短く的確に語り、非常にクレバー。そして、勘もすごくよいのです。
私は彼を知ったばかりの頃に「街舞3」を見て、パフォーマンスだけではなく、性格や考え方に触れ、その魅力にどんどん惹かれていきました。
「燃烧吧少年」は、残念ながら、私にそうした気持を起こさせてはくれませんでした。
これは語学力の問題です。
もし、審査員の方がたの発言を正確に聞き取ることができたら、語気におびえることもなかったでしょう。
このような個人的事情で、審査員のコメントは “ほとんど雰囲気” の理解となりました。
その上、Zhan Zhan に肩入れした偏ったまなざしで見てしまったことも、先にお断りしておきます。
すべての挑戦者にエールを送りながら、彼らのパフォーマンスはどれも真剣に拝見しました。
ですが、こちらでは、Zhan Zhan 以外の挑戦者については、ほんの少し、一部を語っているだけです。
そして、以下に記すことは、そのような私の個人的な感想です。
他意はありませんので、ご興味がおありの方だけお読みいただければと思っております。
* * *
視聴中、幾度か、「もしかしたら、初めからゴールが決まっているのではないかしら」と思うことがありました。
というのも、出場者のスキルがとても高く、プロといってもよいような人たちばかり。
スキルだけでなく、パフォーマンス力やオーラが、これからデビューする原石とは思えない。
すでにピカピカに磨かれ、自らも発光しているような人ばかりだったからです。
日本のものも海外のものも、こうしたオーディション番組を見たことがないので、他でもそうなのか、まったくわからないのですが、判定を分けるものが、審査員の “好み” しかないような、誰もが逸材。
そのため、バトルの勝ち負け的な殺伐感がなく、エンターテインメント番組として、甲乙つけがたいすばらしいパフォーマンスを、とてもたのしく見ることができました。
ルールはシンプルで、わかりやすかったです。
EP.1で紅白の2組に振り分けられた16名の挑戦者。
それぞれの組には “掌门人(掌門人)” がいます。
私は「街舞」のように “リーダー” と呼んでいました。
16歳から25歳までの挑戦者は “メンバー” と呼びました。
Zhan Zhan は、当時24歳。上から2番目の年齢です。
白組リーダーは、歌手の李宇春さん。
紅組リーダーは、女優の舒淇さん。
“掌門人” の人選がどのように決まったのかはわかりませんが、この両者の職業の違いが、2組の作品の傾向を分けていったように感じ、とても興味深かったです。
どちらもリーダーとして、また、芸能界の先輩として、若き挑戦者たちを、技術的にも、メンタル的にも、真摯に支えていらっしゃいました。
その姿には、幾度も感動と尊敬をいだきました。
さて、我らが Zhan Zhan ですが、初回 EP.1の『残酷月光』は、歌唱のみでした。
歌だけで挑んだのは、彼ひとりです。
他のメンバーはダンスや楽器演奏などの特技をまじえてパフォーマンスし、「これぞエンターテインメント!」というものを見せていました。
それでも、Zhan Zhan が16名に残ったのは、あの声と歌の表現力、そして、外観が認められたからだと思います。
歌い始めてすぐに、白組の李宇春さんがボタンを押しました。
それを見た舒淇さんは(先を越された!という感じで)「我大方!(私は寛大よ!)」と言っています。
歌い終えた Zhan Zhan に、審査員が「きみを選んだのはどちらだと思う?」と問います。
Zhan Zhan は「舒淇老師と思います」と答えました。
もちろん、ボタンを押した李宇春さんの白組になりました。
この時、Zhan Zhan が舒淇さんを選んでいるのが、とても興味深いです。
やはり、舒淇さんを選んだ白澍くんが、「最初から舒湛さんに自分を選んでほしかった。彼女はスター女優。こどもの頃から彼女の映画をたくさん見てきて、大好きだから」と言っていたので、Zhan Zhan の理由もそうしたものかもしれません。
白澍くんは、僅差で舒淇さんがボタンを押し、紅組に加わりました。
各組メンバーは8名ですが、同組の2名でチームをつくり、計8チームで順位を競います。
Zhan Zhan は、韓沐伯くんと組みました。
彼は23歳で、Zhan Zhan と同世代。
EP.1ではチェロを使ったパフォーマンスをし、歌い出す以前の、チェロを弾いたところで、李宇春さんが即決。ボタンを押しました。
チームそれぞれを見ると、どれもとてもよい組み合わせです。
Zhan Zhan チームは、端正で品のよい、知的な2人、というイメージ。
このようにメンバーを活かし合ってできたチーム、それぞれの魅力が、日本語や英語の字幕もない番組に、私をすんなりと入り込ませたように感じます。
紅白それぞれの組には、絶対的エース2名が組む最強チームがいました。
白組は、伍嘉成と谷嘉诚チーム。後のX玖少年团のメンバーで、名前の発音がほとんど同じな2人です。
紅組は、やはりX玖少年团のメンバーとなる彭楚粤と、後に俳優となる白澍のチーム。
どちらも最初からプロフェッショナルなパフォーマンスを見せていました。
この両チームも、彼ら4名も、それぞれがまさしく天の配材といったポジションにいました。
どちらのチームもそれぞれの組を率いていく存在になり、2つのチームの個性の違いが、リーダーのキャラクターと同じく道を分けていき、とてもおもしろいと思いました。
あまりに上手くできていたので、この組み分けはあらかじめ決まっていたのかもしれない…などと考えてしまったくらいです。
たしかに、番組の演出として、考えられないことではありません。
ドラマでも何でも演出家の思惑どおりに導かれるタイプの私でも、そのようなことを思いました。
片方の組にこの両チームがいたら、番組のおもしろさは半減したでしょう。
回が進むごとに、メンバーはふるいにかけられます。
チーム編成も、2名から3名へ、そして、最終的には、5名ずつの組対抗となり、白組は伍嘉成が、紅組は彭楚粤がキャプテンになりました。
以前、X玖少年団について調べた時、このキャプテン抜擢に触れた記事がありました。
彼らは同じ大学の同期だけれど、伍嘉成は番組スタッフが招待した特待生で、彭楚粤は一般公募を勝ち抜いてきた叩き上げ、と。
真偽はわかりませんが、2組の個性の違いは、そうしたドラマチックな背景を感じさせるものでもありました。
白組リーダーの李宇春さんは、歌手。
紅組リーダーの舒淇さんは、女優。
回を重ねるごとに、白組は、「見せる」。華やかなエンターティナー的なパフォーマンス。
紅組は、「表現」。内なるものの表出のパフォーマンス。
と、カラーがきわめられていきました。
派手な演出で夢のようなステージを見せる白組。
物語を紡ぎ出すような … 例えば手話をとりいれたり etc. … 表現したいものの本質を丁寧に描く紅組。
これは、もう、「あなたはどちらがお好みですか?」ですよね。
メンバーはほとんどが高校生や大学生。
といっても、音楽や舞踏、演技などを専門的に学ぶ学生です。
中には、子役経験者やプロ歌手もいました。
そんな中で、Zhan Zhan は表現の仕事に就いていたプロといっても、身体を使った表現ではありません。
ダンスもこれを機に本格的に学びはじめたそうですから、決して得意ではない。
でも、下手というわけではありません。
ただ、「見せる」ということにかけて、劣っていました。
これはしかたがないと思います。
専門教育を受け、同じ志の学友と凌ぎを削ってきた人たちと、すぐに同じ土俵に立てるものではありません。
ですから、初めのうちは立ち位置も端の見切れる場所が多く、画面にあまり映らず、とにかく、いちばん背が高い人を探す…と、ひさしぶりに目を酷使しました。
最近は、Zhan Zhan や Yiboくんのようにセンターに立つ人たちばかりを見ているので、すっかり動体視力が鈍くなっていました。
その程度の私の苦労とは比較にならない日々を送ることになった Zhan Zhan。
EP.1で見せた若く初々しい姿も、EP.2以降、どんどんと生気が失われていきます。
覚悟していたとはいえ、レッスンについてゆくだけでも、とても大変だったのではないでしょうか。
そうした彼の姿に、九學で言っていた「设计有什么用呢(デザインに何の意味がある?)」という言葉を思い出しました。
あれは心底から発した、骨身に沁みた実感の言葉だったのですね。
でも、現在は、あの時 Yiboくんが返した言葉どおりになっているでしょう。
EP.3で、下位2チーム、7位と8位のメンバー4名を落とすことになりました。
5位と6位のチームは解体。
解体チームのメンバーは1位~4位のチームに振り分けられ、1チーム3人の体制に。
この時、Zhan Zhan チームは5位。解体されるチームでした。
脱落した2チームがどちらも紅組だったため、舒淇さんが先に、欲しいメンバーを名指しする権利を得ました。
舒淇さんは Zhan Zhan を選びます。
Zhan Zhan が舒淇さんを選んだことが心のどこかにあったのか、あるいは、女優という表現者の目が、ストレスでくすみかけている Zhan Zhan の本質を見逃さなかったのか、わかりません。
私は勝手に後者であったように感じています。
Zhan Zhan は、この回の1位だった彭楚粤と白澍のチームに入ります。
私はここまで見てきて、この彭楚粤と白澍のチームのパフォーマンスがとても好きだったので、よかったと思いました。
ところが、Zhan Zhan は、パフォーマンス力の高い彭楚粤と白澍の陰に「埋もれてしまった」と評されてしまいます。
合宿も、彼らの部屋に移り、3人部屋に。
後から移った Zhan Zhan も、落ちついていた生活空間に新しい人 … 180cm 越えの大男 … を迎えるほうも、どちらもすぐには慣れなかったでしょうね。
この番組のバトルは、単にパフォーマンスを競うだけではなく、ポスターや PV、ミニドラマなどを撮ったり、著名な先輩アーティストとコラボをしたりと、回を追うごとに大掛かりになっていきました。
Zhan Zhan が 紅組になってから、突如、あることを思い出しました。
舒淇さんのチャームポイントでもある個性的な唇に、見覚えが…。
『満足』を歌ったステージで、Zhan Zhan が親しげに話していた、あの印象深い女性が、この方では? と。
すごくきれいな方で、Zhan Zhanに接する姿がとてもかわいらしく、着ていたドレスもすてきで、チャーミングだと思ったことを。
YouTube を探すと、2020年11月16日の BAZAAR のチャリティコンサートでした。
舒淇さんと同台したのですね。
「あなたを愛し、ぼくは “非凡” になりました」と呟いた、あの BAZAAR の動画から、ぴったり1年後のことです。
客席一面、Zhan Zhan の応援カラーの赤いライト。
自身のソロ曲『満足』を歌う Zhan Zhan を見て、舒淇さんもうれしかったでしょう。
見つけ出したその動画をあらためて見て、私も目頭が熱くなってしまいました。
舒淇さんはメンバーから「舒哥」と呼ばれていました。
いつも装いがかわいらしいし、見た感じも「哥哥」から遠い印象ですのに、とてもハートを感じる方なので、男性ばかりのメンバーたちから、信頼の証しとして「兄貴」と呼ばれていたのかもしれません。
この番組内での Zhan Zhan は「見せる」ことに関して、まだまだ未熟でした。
けれど、彼の内面にある、感覚や思考の深さ、強い理念、そして、社会人として働いてきた組織人としての考え方などは、将来の彼にかならずプラスになることを、いちばんに見抜いていたのが舒淇さんではないかと感じています。
番組が進むにつれて、ここで生み出すアイドル、審査員がもとめるアイドルは、どのようなイメージなのか、私にはわからなくなりました。
いわゆるジャパニーズアイドルと言われるような若くフレッシュなアイドル?
それとも、実力派のエンターティナー的アイドル?
あるいは、Zhan Zhan のように無限大の伸びしろを感じさせる原石?
すぐに売り出したいのか、じっくり育てたいのか…。
勝ち負けを決める以上は、一般的な評価はどうであれ、主催の私たちはこうした基準でアイドルを発掘します、というものがほしい。
逸材ばかりなので、次代を担う人材を、大切に育ててほしいと、一観客としての思いが強くなっていきました。
審査員には、後に Zhan Zhan が所属することになる哇唧唧哇娯楽の社長さんもいらっしゃいました。
ああ、この方が…と。
Yiboくんの YHエンターテインメントの社長さんとは、お見受けした感じが真逆です。
比べる必要はないのですが、私が知る中国の芸能事務所は、この2社と肖战工作室ぐらいなものですから、ついつい比較してしまいました。
折り返しとなる EP.06、EP.07くらいから、Zhan Zhan も、よく知る Zhan Zhan に変わってきました。
それまでは「こんな Zhan Zhan 見たことない!」と、心配に思ってしまうような、どよんと澱んだお顔の日も、ずいぶんとあったのです。
かなり痩せました。
ものすごく大変だったのね、と思いつつも、心身ともにシャープになって、目力も戻り、長身と長い脚も目立って、「これが私の知っているZhan Zhan だわ!」と。
EP.7からは、各組5名となり、組対抗の戦いになりました。
白組メンバーは、伍嘉成、谷嘉诚、赵磊、郭子凡、韓沐伯。
紅組メンバーは、彭楚粤、白澍、夏之光、肖战、阵泽希。
この回のメインボーカル対決で、Zhan Zhan は彭楚粤と「野子」を歌います。
この番組を見て、Zhan Zhan の歌声が唯一無二であることに気づきました。
あまりに聞き慣れていたので、そんなことを考えたこともありませんでした。
けれど、誰と歌っても、聞き間違えることがない。
混ざり合う他のメンバーたちの声に、一条の光のように Zhan Zhan の歌声が響くのです。
思いがけない再発見でした。
EP.9で阵泽希が、EP.10で韓沐伯が落ちました。
阵泽希くんの名が呼ばれた時、夏之光くんが泣きじゃくってその肩に飛びついたシーンは忘れられません。
2人でダンス対決にも出ました。
紅組唯一の10代の涙に、皆がもらい泣きしていました。
紅組メンバーを見ると、消去法で阵泽希くんが去ったのはしかたがなかったと思いましたが、白組の韓沐伯くんが落ちたのは、私には残念でした。
たしかに、彼がいなくなると、伍嘉成くんと谷嘉诚くんの最強度が高まります。
そういうことだったのかも、と、勝手に憶測してしまいました。
赵磊くんと郭子凡くんは白組の年下組的なポジションで、そこに16歳の夏之光くんやかわいい焉栩嘉くんを集めたら、すぐにジャパニーズアイドル的グループになるのでは?と思いました。
でも、焉栩嘉くんが早々に脱落した時点で、そういうアイドルをもとめているわけではないのだと。
夏之光くんは、紅組のお兄さんたちの中で、外観がものすごく大人びました。
表現の紅組では、弟ポジション的な位置づけはいらなかったのでしょう。
だから、よけいに、泣きじゃくって阵泽希くんに飛びついた時、やっぱり16歳だった、と思いました。
親元離れての合宿も、つらかったでしょう。
(そう考えると、Yiboくんは13歳で親元を離れ、その後3年間、外国でレッスン生の厳しい毎日を送ったのですから、すごいです)
夏之光くんのピルエット、ほんとうにうつくしかったです。
EP.12のファイナルはライブ配信のため、中国語の字幕もありませんでした。
「街舞」のファイナルでもそういうことがありました。
聞き取りだけでは、お手上げの語学力です。
純粋に、目で、耳で、パフォーマンスを拝見しました。
紅組の最終パフォーマンスは、『夜空中最亮的星(夜空にいちばん輝く星)』。
舒淇さんのナレーションで幻想的な宇宙の映像が流れます。
未知の、果てない宇宙。
そこに映るのは、紅組だけでなく白組メンバーの顔も。
結果はどうであれ、無限の可能性が満つ未来に羽ばたいてほしい、という熱い想いを見ました。
「私は歌手ではありません」と語った舒淇さん。
幾度となく、もっと彼らに、エンターテインメントのステージの現場に即した具体的なサポートができたら、と悔やまれたことでしょう。
でも、彼女のアドバイスには、このバトルを勝ち抜くだけではない、長い人生で、一人の人間として自己を生きるために必要な言葉がたくさんありました。
4人が歌った『夜空中最亮的星』。とてもすばらしかった。
静謐で、力強く。
それぞれが “最亮的星” に成らんと、決意を持って歌う姿は、ファイナルにふさわしく、そして、爽やかでした。
以前も、この曲の部分だけを見ていましたが、こうして EP.1からこれまでの彼らの歩みを見て、あらためて聞くと、感慨深かったです。
彼らも思いが溢れてしまっているのか、いつものように声が出ていないので、より押し迫るものを感じました。
しかも、舒淇さんの涙を見たら、私も涙が止まらなくなってしまいました。
後に、Zhan Zhan がこの歌を歌ったことも、もちろん思い出されました。
「手放せなかった夢。それは歌」
そう言って、グラフィックデザイナーとしてのキャリアを捨て、この番組にトライをした。
この曲は、Zhan Zhan の原点だったのかもしれません。
紅組がこの曲をファイナルに選んだことを見ても、この組がメッセージ性を大切にしていたことがよくわかります。
白組はドラムを使った派手な演出でのパフォーマンス。
なんと、リーダーの李宇春さんもマイクを持ち、歌いました。
ファンはうれしいでしょうし、番組も盛り上がるのかもしれませんが、「私は歌手ではありません」と言った舒淇さんのことを思ってしまいました。
けれど、芸能の世界というものは、いえ、どのような人生でも、こうしたことが、つねに起こりうるのです。
勝った白組も、優勝した伍嘉成くんも、すばらしかったです。
この逸材たちは、今、どうしているのでしょう。
9名は後に、X玖少年团として、アイドルデビューをしました。
白澍くんはドラマのポスターで見かけたことがあります。
きっと、それぞれが、それぞれの宇宙の “最亮的星” として輝き、ご活躍されていると信じています。
Zhan Zhan の現在を考えると、「見せ方」よりも「見せるもの」、その人の内面がとても大切なのではないかと感じます。
内なるものを、たゆまず磨きつづけること。
そうしたものを表現できるスキルをたゆまず磨きつづけること。
持って生まれた天賦の才だけではなく、地道な努力が必要なのです。
有能な人は星の数ほどいる。
いちばん輝く星とは、光の強さではなく、唯一無二の光り方。
そのことを再確認した番組でした。
マインドとスキルの両輪がなくてはならないのは、どのような職業でも同じです。
思いがあっても、表現できなければ、他者に伝えることはできないし、技術があっても、表現するものがなければ、他者の心に響くことはないでしょう。
* * *
EP.1では Zhan Zhan のパフォーマンスの前に、「私は一介のグラフィックデザイナー」と始まる自己紹介ビデオがありました。
私は一介のグラフィックデザイナー。
絵を習い始めたのは、8歳の時。
手にした絵筆に導かれて生きてきた。
仕事は充実している。
けれど、心には、手放せなかった夢が…。
それは、歌。
今日、ぼくはアトリエから離れたいと思います。
手放せなかったこの夢のために。
Zhan Zhan、夢を手放さずにいてくれてありがとう。