鯨の入り江(48) | 星ねこブログ

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鯨の入り江(48)


 綾も鉄男もクジラの陸揚げ作戦に力を合わせた。


 鉄男の耳たぶが松明(たいまつ)の灯に照らされ、真っ赤に燃えていた。


すぐ後ろで綾もロープを引いていたが、掌に切れん


ばかりの痛みを覚え、


思わず悲鳴を上げた。
OYAKONEKO


スカートのすそをたくし上げ、手袋がわりに使って、


引いたのを思い出す。


掛け声が深夜の山肌にこだました。


 どれくらいの時が経ったろうか。


「クジラだ、クジラだぞ」


 ついに歓声が上がった。


しかし、綾たちが見たのは、クジラの本体ではなく
tosinobu
ほんの尾ひれに過ぎなかった。


 気の早い者たちが、それをクジラだと勘違いしたそ


の時、