鯨の入り江(43) | 星ねこブログ

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鯨の入り江(43)


「 親会社も零細だったから、真っ先にギブアップだ。


その点、今度のタイについては、親会社強力だから、


俺も安心している」
うち猫


「でも綾さん、この人ったら、失敗しても失敗しても、懲りないで山を次々売ってしまうんで


本当は大変なんですよ」


 影みたいに座ったまま聞いていた久子が突然、しゃべりだした。


ほつれた髪の毛が面長の顔に垂れている。


「先祖さまからの大事な預かり物を、この人ったら借金のかたにどんどん丸裸にして、、、」



yoru

 鉄男の眼が強く光った。


「久しぶりに見えたお客さんの前で、久子、何を言い出す」


 二人の険悪な様子に、綾はあわてて話題を変えた。


「悠平が拾った鯨の骨、あれ、本当にザトウクジラの、、、」


ポーズ
「そうだとも、君も子供のころ、見ただろ」 


鉄男の機嫌がなおった。