鯨の入り江(31) 鯨の入り江(31) 鉄男が冗談に発した恐竜の骨なんかであるわけはないが、 その太さから推理すると、たいていの動物はあてはまらなくなる。 「おじさんはもうわかってるけど、悠君はどうかな」 悠平の眼が夕映えの色を映して輝いていた。 「イルカかなあ、でなけりゃエイ、マンボウか」 「まだまだでっかい、けど本当は魚じゃないぞ」 悠平の手が、そのへら状の骨のひび割れた表面をうっとりと撫でてゆく。 「じゃあ、クジラしかないけど!」 「それだよ、クジラなんだよ。鯨。これはね、ザトウク ジラのあばら骨なんだよ」