鯨の入り江(27) | 星ねこブログ

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鯨の入り江(27)


 綾が小学校に入ったころから、セトウチでは缶詰めパイン工場をはじめ、大型製糖工場だのが

次々と誘致され、農業活性化に取り組んでいた。


 しかし、どれ一つとして

長続きするものがなかった。


 缶詰めだけでなく、ジュース工場も設立されたが、5年と持たない。


 養豚団地もはなばなしくスタートを切ったが、

これも芳しくなかった。

情報収集の遅れが市場価格の変動についていけなくて、いつも目算を狂わせる。


yoru

 高値の子豚を購入させられ、いざ売りに出すとなれば飼料代も賄えないほど、損をする。


 失敗の連続で、町長の首がすげ変わる騒ぎもあった。


 あとからあとから、国や県が補助金を注ぎ込んでも、赤字額は雪だるま式に


膨れ上がり、何もかも軒並みつぶれて行った。

gohann