鯨の入り江(23) | 星ねこブログ

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猫好き&詩&小説のコラボマガジンです

たくさんの方が、鯨の入り江を呼んでくださってありがとうございます。


この小説は、沖縄の地元紙である沖縄タイムス紙に、今から26年前

連載したものです。


どうぞ、引き続き読んでいただけると、うれしいです。


鯨の入り江(23)



鉄男の高価なランドセルより、本当はその布かばんの方がずっと軽くて扱いやすい。


soba


「きれいなもようだね」

 などと大人にほめられ、深くは考えずに喜んでいた。


 食糧の乏しかった割りに綾はすくすくと育って、

男の子より体格がよかった。


体育の時間に相撲を取らせると、学級一強い。

女の子をよく泣かす乱暴者も綾の粘り強さには勝てなかった。
公園

それくらいだから上級生の苛めっ子に鉄男がつかまっているときなど、何度

助けてやったかしれない。


 岸に近づいた。

 浜では、上半身はだかの男たちが漁網を干している。

日に焼けたむき出しの肩や腕がたくましい。
おどけたいり