不安な世の中を祓い給え・いきなり安倍晴明祭り | ほりきりのブログ

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 水曜夜のNHKの歴史タイム。本日はなぜか安倍晴明祭り。

 

 夜8時はBSで英雄たちの選択の、晴明特集の再放送。

 10時からは地上波で歴史探偵。


 今更どうした?いや、大河ドラマとタイアップだろうな。
 今年の大河ドラマは平安時代。紫式部と藤原道長の話なんで、もろに時代があう。ドラマにも初回から出ていたぞ。あべのはるあきら様が。
 安倍サンタマリア晴明さまです。いやー、今までの萬斎さま系のイメージとは真逆ね。でも実は肖像画には似てたりして。もういっそこのくらい振り切って違う方が見てておもしろいわ。

 今になって光る君へに連動してどういうふうに晴明さまを扱うのかな?これは私の歴史分野での領分なので、じっくり見ていきます。





 では新作の、歴史探偵の方から。

 やっぱり大河ドラマからみできたけれど、まあ、安倍晴明というよりは陰陽師について説明しよう!って感じだった。
 陰陽師が国家公務員であること。
 職場の陰陽寮は内裏の中の天皇のそば近くにあったこと。
 そこで天体観測をして、天変を見極めて知らせることが重要な仕事であったこと。
 天の動きから暦を作り、当時の人々はその暦に縛られて生活していたこと。
 というような、陰陽師と平安京の関係について語られる。


 その中で、平安京の闇の部分についても。
 「呪い」について佐藤所長がえらくビビッていたけど。あのひとがたの呪物は確かに気味悪い。
 そういった呪いを行うのは、むしろ民間の陰陽師だそうで。坊さんとか法力を学んだ人がアルバイトでやるんだって。(闇バイト?)
 道長とかはもうさいっこうに呪われる対象だったようだね。そこでそれを祓う役目が、公務員の方の正式な陰陽師。
 バイトが呪って、役人が祓う?うーーん。まあそんなわけで、陰陽師安倍晴明さまはヒーローたりえるわけだね。


 闇についてもっと詳しく。京都闇ツアーっておもしろそう。私そういうの好き。連れていってほしいわ。(変態?)


 最初は妖怪。これが宇治の平等院だって。ここ藤原氏が建てたんだけどね。

 このへんは妖怪の通り道になりやすいんだそうだ。(都につながる大きな道)そこに酒呑童子とか玉藻の前とかの超一級妖怪の死骸を埋め込むんだって。それで下っ端妖怪は恐れをなして通れなくなる。魔をもって魔を制す、と言っていたね。

 宇治平等院にはじいちゃんと京都旅行したときに言ったぞ。知らんかった。


 次祟り。鴨川より東側は昔は洛外で、人の領域ではなかったんだよ。今でも寺ばかり。

 (ちなみに平安末期平家はこのあたりの六波羅一帯に屋敷を集めたんだけど、きっと普通の人が住んでないから土地が余ってたんだろうね) 

 そこは鳥辺野って死んだ人を葬る場所だった。だから三年坂のあたりに縁起の悪い言い伝えもあるって。今は清水寺周辺の大観光地で人がうじゃうじゃいるのにね。みんな足元に気をつけて。


 あと疫病。ここで紹介された神社、知らないわ。そんなに気持ち悪いところなの?

 早良親王きましたーー!最凶の怨霊だね。萬斎さんのときの映画にも出てきた。そのために桓武天皇はあちこち都を移したあげく平安京でもまだ不安で徹底的に結界はったんだもんね。


 というわけで京の都は不安だらけ。
 そんな人々、貴族も庶民も、みんなの不安を祓うために陰陽師がいて、特にその中でもスーパーヒーローの安倍晴明が活躍するのですよ。
 特に藤原氏、それも道長とつながりが強い。それはこのまま大河ドラマにもつながるんじゃないかな。(サンタマリア晴明の出番が多くなるのだな)




 たぶん素人さんにわかりやすく、大河ドラマのとっかかりになりやすいように説明してくれていたと思う。

 でも人々の不安を取り除く陰陽師の役割については、その2時間前に放送したBSの英雄たちの選択の方がより詳しかった。ここはもっと専門的に突っ込んでいたものね。
 こちらは「選」ということで、以前やった再放送です。この回については当時ものすごく詳細にまとめた。
 いっそリブログした方が早いね。はい、こちら。
 

 この中で、小説陰陽師の作者夢枕獏先生と、脳学者の中野先生と、歴史学者の磯田先生がよってたかって、不安国家日本と陰陽道について語っていてとてもおもしろかった。
 当時ブログで書いたものから、日本人の根本の信仰と陰陽師について抜粋してみる。


 日本人の心の奥深くに根付く言葉(教典ということかな)を持たない宗教であると。現代においても日を見て行動を考えること(仏滅の結婚式をきらうとか友引の葬式を避けるとか宝くじを買う日を選ぶとか)においてそれはずっと受け継がれていると。おもしれええ。
 天皇貴族を中心として一般庶民にいたるまで、人々の不安を取り除くために陰陽道はあった。それは日本人の中に不安因子が多いからだって。脳内物質の名前まで出して科学的に説明する中野先生さすがだ。それは日本に災害が多いことにも起因するって。そうかきっと不安に思って警戒し対処する気持ちの強い人が生き残って淘汰されてきたのかもしれないな。今のコロナの時代でもみんながマスクしてるのはそういうことかもしれない。
 不安な日本人が多ければ多いほど陰陽道は必要とされる。その頂点にのぼった晴明は当時も今でも必要とされて日本人の心のよりどころになっているんだ。


 絵巻に出てきたつくもがみもそうなんだけど、日本人はあらゆるものや事象に神を見るのだと。それこそ縄文の昔から。ご飯粒にも(コナンでげんたくんも言ってた)大きな石にも(蝦夷の巨岩信仰が代表的かな)そういう土壌があるから陰陽道がずっと心の奥底に生活にしみついて流れ続けているのだということだ。

 だから陰陽道は神道と一体というか絡まったもので、日本人の信仰の根本なんだと思う。仏教やキリスト教は異国の神さまで、それを取り入れることにそれほど抵抗がなかったようなのも、日本の元々の信仰がそういう自然と一体になったもので特定の神さまの存在に固執するものじゃなかったからなんじゃないかな。

 地震津波水害疫病。今の日本は平安時代みたいだと磯田先生が言っていた。うん、私もそう思う。今こそ陰陽道、今こそ安倍晴明なんだね。でも現代に晴明さまはいらっしゃらないんだから、羽生さんにみんな思いを託してしまうんだわ。


 これ日付が2020年12月3日になってます。
 コロナ禍真っ最中です。不安のど真ん中です。
 そんなときにNHKが引っ張り出してきたのが安倍晴明です。

 今また晴明なのは?大河ドラマ連動はもちろんだけど、きっと今も不安のただ中なんだわ。
 元旦から災厄が続いているもの。こんな年ってないでしょ。
 今こそ、安倍晴明なのか。サンタマリア晴明でいいのかどうかはわからないけど。


 でも私らは勝手に、羽生晴明さまにすがっちゃうよね。
 私らの心にはいつもSEIMEIさまがいるもん。

 と結局ここに行きついてしまう、晴明祭りの夜でした。