嬉しさと悔しさの全日本男子フリー | ほりきりのブログ

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 全日本男子フリー、全部見ました。前半グループも、なんかしながらでもBSで見ました。
 みんながいい演技をそろえたすばらしい試合だった。順位じゃない演技がすべてだと思えるほど、みんなががんばった。だからその試合の率直な感想を書いていきます。


 8位の吉岡からその萌芽はあった。
 4T2本含めて、ひとつステップアウトであとはすべてきれいに降りた。
 吉岡ってずっとほんとにジャンプだけで、演技は棒って感じだったのに、ずいぶん細かく神経が行き届いて別人のようになった。すっごくがんばってるね。


 壷井は冒頭の4Sがステップアウトしただけ。次の4Sコンボは極上だった。
 彼はもとよりスケーティングがきれいなんだけど、なんか最近マイナスイオン出してきてる気がする。これは羽生山本三原に出てるといつも主張してて、彼らに共通するのは身体的弱点というのが持論だったのだが。私が知らないだけでたっちゃんもなにかすごい苦労してるのか?


 最終グループになると、この神大会のテンションがさらにあがってきた。


 友野すごかった。クワド3本、ひとつお手付きだけ。
 何かの大会で初めて見たとき、いつものエンターティナーの友野と違う、ニュー友野だと思ったが、ピアノの旋律と音をきちんととって静かな曲をきれいに表現してた。こういうのができるんだよ。拍手が止まらない。


 佐藤は祈るように見てた。あれ、この感じは久しくなかったぞ。私この子マジで応援してるのか?
 ルッツが決まって大きな声出しちゃった。
 3連のサードがステップアウトしただけ。ここのジャンプがダブルになったために逃したファイナル。ここは意地でも多少乱れても回りきる。
 4T3Tはあまりの美しさにほおおおおと声が出た。
 ステップとコレオの攻勢はすごいな。シゼロンどんな魔法を使ったの?こんなにしなやかな演技をするようになるなんて。(あとはスピンだ。うーん無良コーチも苦手だったなあ)
 出てくるときグータッチで送りだされたコーチたちに向けて、フィニッシュではまっすぐに拳を伸ばす。会心の演技だったんだね。
 ジャンプの軸の細さとシャープさ、スケーティングのしなやかさ。駿の演技はしなやかな鞭のようだ。(野球が好きな彼らのために、駿はダルビッシュ系)


 三浦の体調が心配すぎて、手を握るコーチと気持ちかぶっておかんになっていた。
 それが、悪い体調で追い込まれていた反動のように、気迫がビンビンに感じられた。
 ミスは4Sのステップアウトか。絶対転ばない(屈しない)ど迫力の調査兵団だった。
 あらキスクラで泣いちゃってる?出し切ったのと緊張が溶けたかな。
 彼のジャンプは飛距離があって気持ちいい。佐藤に比べるとやや軸が太い気がするが(佐藤が細すぎ)それが豪快さを感じさせる。(佳生は大谷系かな。元ファイターズばっかやん)
 最後まで迫力満点の進撃の巨人。すごかった。がんばりました。


 山本オールグリーン!クワド3本込みのジャンプ全部完璧に降りて、スピンもステップも全部レベル4。これってパーフェクトだよね。なにひとつ欠けることのない、珠のような演技だ。
 ショートもノーミスだから、本当に完全なるパーフェクトだ。
 ニュー草太のショートはかっこいいプログラムでうまく滑ってはいたけど、滑りがやっぱりザ・草太なんだな、ってそこだけ違和感持ってみていたんだけど、どハマリのフリーはこれぞザ・草太でよかった。解説の本田さんもイナバウアーやイーグルで表現することができるって。それこそがザ・草太だ。ああマイナスイオンが出まくり。
 草太が泣いてる。やっとここまできたね。見事な演技だった。


 鍵山もノーミス。
 若手3人の中で、柔と剛に振り切った二人の中間の中庸な演技だと思う。それはそれで個性だと思う。インパクトが足らないだけで。(該当する投手が思いつかない…なんでも野球にすな)
 ノーミスとはいえクワド2本でこの点数はすごいな。よほどGOEの加点がすごかったんだねえ。


 優勝は宇野。おめでとうございます。
 一見ミスはステップアウト1個だけど。コンビネーションジャンプが、どうなってるのかな。4-2は3-3と同じだと何度も主張してるし。最近は3連コンボは構成に入れてないのだろうか?3連が一個とんだ構成でずいぶんと高い点数が出ているのだな、他でカバーできるんだすごいな、と思います。



 とにかく全員が転ばない、抜けない、だから演技を壊さない、見事な試合でした。ここまできれいな演技がそろう試合ってまず見ることがないかも。すばらしかったです。

 みんなの演技はすばらしかったので、演技だけで感動していればいいのです。それ以上つつかない方がいいのかな。
 だってGOEの加点の加減とか。PCSの付き方とか、考えたら苦しくなるもん。あれだけすばらしい演技をしても、美しいジャンプを跳びきっても、PCSで10点差をつけられたら勝負できないもんね。
 それほど格が違うものなのかなと思っていたら、そのあともっと、格の違いを見せてくれるものを見ちゃった。
 ねえ、格の違いってああいうもんよ。




 これほどすばらしい演技をたくさん見られて、すっごく盛り上がって、ほんとうにいい試合だったのだけど。
 最後になんか釈然としない気持ちになってしまうのはなぜなんだろう。

 選手たちが、特に若手の3人が、まるで申し合わせたように「嬉しさ」と「悔しさ」を語った。
 すべて出し切れて思うような演技ができて、うれしい。
 それでも届かなくて、悔しい。 
 といったところだろうか。

 私はきっと、明確に応援する選手ができてしまったのだ。
 だからどんなにいい試合をしても、結果として報われなかったら悔しいのだ。(早実駒苫の決勝戦がいくら史上最高の試合と言われても、駒苫が負けたんじゃ全然最高じゃないのと同じか)
 全員がいい演技をしても順位はつく。その差が誰の目にも明確ならば文句もないけど、みんないろいろ思うところがある。採点競技の難点だな。
 だから勝ってうれしい。負けて悔しい。好きな選手が結果として報われなければ、見ている方も悔しい。
 それがスポーツってもんだ。全員応援なんて、私には絶対にできない。


 それでも選手たちは次を見ているだろうね。若者は強いな。
 私が応援している誰がどこに派遣されても、その試合を応援するから。


 全日本はみんなすごくがんばりました。
 力出しきってくれました。
 それだけがすべてです。
 お疲れ様でした!